給食トピックス

スーパー食育スクールにおける食育を題材とした総合的な学習の授業を視察してきました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 11月7日(金)、8日(土)、東京都杉並区の三谷小学校で学校公開が行われ、で食育を題材とした総合的な学習の授業と、校内研究報告会がありました。 三谷小学校は文部科学省から平成26年度スーパー食育スクールとして指定された小学校でです。 文科省では、学校における食育を充実するため、関係機関・団体との連携による食育のモデル実践プログラムを構築する「スーパー食育スクール」事業を今年度から開始しました。

 三谷小学校は、日本国内で小学校26校、中学校8校 高等学校5校、中高一貫校3校の計42校の指定校のひとつなのです。


 文部科学省が設置した「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」の最終報告(平成25年12月)において、食を架け橋とした地域と学校の活動が進むよう、「食とスポーツ」、「食と健康」、「食と学力」などテーマを明確にして先進的な食育の取組を行うモデル校を「スーパー食育スクール」として指定し事業を行うよう提案がありました。

 そこでは「スーパー食育スクール」が、大学や企業、生産者、関係機関等と連携し、食育を通じた学力向上、健康増進、地産地消の推進、食文化理解など食育の多角的効果について科学的データに基づいて検証を行うものとされています。そして、スーパー食育スクールの成果を分かりやすく示し、普及啓発することで食育のより一層の充実を図るというものです。

文部科学省の資料を見てスーパー食育スクールの概念を確認してみましょう。

SSS

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 三谷小学校におけるスーパー食育スクールとしての取組テーマは「学校、家庭での和食推進の取組みを通した社会性の向上と生活リズムの改善」です。 校舎には大きな垂れ幕がかかっていました。 児童も先生もこのテーマを毎日見て過ごしているのです。

 今回は1時間目から給食時間も含めて公開されていました。 今から思えば給食の時間も見ておけばよかったなと思います。 いや、むしろ給食を食べさせてくださいとお願いすればよかった・・・・、というのは置いといて。 総合的な学習は5時間目で、1時45分から45分間でした。 1、2年生は生活科、3~6年生は総合的な学習となっています。

 

 

 


 

 それぞれ単元のテーマが次のとおり決まっています。

 1年生:「給食の食べ方や生活リズムをよりよくしよう」
 2年生:「生きもの発見-花や野菜を育てよう」
 3年生:「体によくておいしいおやつ」
 4年生:「みんなが喜ぶお弁当」
 5年生:「われらふる里の味調査隊」
 6年生:「広げよう 世界の食」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA どの授業を見ようかと迷っていると、5時間目のチャイムが鳴り、いよいよ授業が始まりました。 急いで教室の様子を覗いて廻ったところ、6年生のクラスのところで足が止まりました。

 学校給食の献立作成のための「要件」をKJ法を用いてカードに書き出した後、黒板にプロットしながらそキーワードの重要度をブレーンストーミングしていたのです。

 給食の献立作成に必要な要件?? 子供たちがカードに書き出したワードは、安全、時間、味、予算、量、見た目、愛情、栄養のバランス、食材、栄養、メリハリ、やる気、調味料、国産、香り、文化、アレルギー、調理の基本、カロリーなど。

担任の先生がフォローしながらそのカードを書いた児童がその意味をひととおり説明した後、重要度の高い低いをみんなで意見を出し合い決めています。


 

 あるクラスでは「愛情」について激論が交わされていました。 給食に「愛情」は必要か。

 「500食とか作っているのに愛情とか無理だと思う。」
 「愛情がなければまずくなりそう。」
 「料理は愛情を込めて作るものだ。」
 「作っている時は愛情どころじゃない。」

 三谷小学校は自校調理です。 子供たちは調理中の給食室の様子も知っており、その風景をイメージしているのです。 意見はクラスを2分し、もはやそれはディベートの時間のようでした。先生は終盤、プロットしたカードを指差し、「絶対必要なものは何かな?」と尋ねます。 そのクラスで子供たちが導き出したのは、「安全」、「」、「予算」、「時間」。 時間とは給食の時間にちゃんと間に合うように作られるか、ということです。

 そして「愛情」論が再燃しまし。 「絶対愛情は必要だ」と主張する児童。 「現実的ではない」と返す児童。 協議は平行線。 先生は「愛情」と書かれたカードに△マークをつけていました(笑)。

 6年生のテーマは和食を含めた世界の料理を使ったオリジナルの料理(給食)を作ることにしています。 誰に提供するのかを決め、その対象者に合う食事の内容や味付け、ボリューム、栄養、値段を話し合いクラスでその料理を考えていくもの。

 この日の授業の前段として、ゲストティーチャーとして和食プロの料理人に来ていただき話を聞いていました。 和食給食応援団の活用です。 三谷小学校には恵比寿なすび亭の料理長が訪れ、給食を作り、講義をしたのでした。 そこで質問をし、その助言を元に児童たちは予め自分の献立を考え、児童達はその給食献立を画用紙に描いていたのです。 先生は、その献立と今回のKJ法とブレーンストーミングで整理した給食献立に必要なことを照らし合わせ、その自分たちが考えた献立の良い点、課題を考えさせ、児童はそれを発表していきます。 課題を把握し解決の見通しを立てるというステージから思考し、表現し、学びあう。

 「バランスがよくない」、「予算オーバーするかも」、という意見が出てきました。 先生は「今回でてきた給食献立の要件を元に今の献立を見直そう、そのあと栄養教諭の先生に見てもらおう」、としてクロージングします。 ここには、分析しながら優先順位をつけ、今ある課題を出し、再度調べる必要なあることに気づいてもらうという狙いがあります。

 同じ6年生の別のクラスでも、やはり給食の献立を考える時の要件をまとめていました、その教室では、班ごとに小さなホワイトボードを配り、そこにピラミッドを描き、その重要度に応じてカード(付箋)を貼らせていました。

 そのクラスでは全ての班でピラミッドの頂点に置かれていたのは「アレルギー」でした。

 先ほどのクラスはアレルギーは低めでした。 クラスによって「学校給食の献立を考える時に必要なこと」で導き出された結論が全く異なるというのは興味深いです。 その差異の要因は何か、そのクラスが置かれた環境なのか、担任のイニシアチブなのか。 アレルギーを最優先事項とした子供たちのクラスで話をじーっと聞いていると、「誰がが食べるのか」というターゲットセグメントを深く考え、時間をかけ「自分のことだけでなくみんなが食べられることを考える」ということを優先したようです。

 ほんの45分という授業時間でしたが、それにしても、とても面白かったです。 子供たちのための食育でありながら、子供たちが食育に取組み、問題提起、問題解決していく現場を見てとても参考になりました。 また、栄養教諭や栄養職員ではなく、担任の先生による総合的な学習の授業という点も勉強になりました。 そしていまどきの小学校でKJ法を用いていることにびっくりしました。 けっこう普遍的な方法なんですね。

 それにしても、それぞれどんな給食が出来上がるのかとても楽しみです。

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