給食トピックス

関東学校給食サービス協会の「事例から学ぶ異物混入防止対策」セミナー

9月26日から28日までの3日間。東京ビッグサイトでフードシステムソリューション(F-SYS)2018が開催されました。

 給食市場・大量調理におけるフードシステムソリューション、食の安全・安心を担保するフードセーフティジャパン、食品工場の設備改善をテーマにするフードファクトリー、食品物流の効率化に寄与するフードディストリビューション、惣菜製造・衛生管理に特化したSOUZAI JAPANの5展を同時開催され、学校給食、食品製造・流通現場を支える食品事業者へ向けの展示・セミナーなどが行われました。

 3日間の入場者数は約46千人。様々なセミナーの中で、今回は2日目の一般社団法人関東学校給食サービス協会によるセミナー「学校給食における異物混入防止対策-事例から学ぶ-」に注目しました。

関東学校給食サービス協会の取り組み

 関東学校給食サービス協会は公立小中学校給食の民間委託化が進むなかで、関東1都9県を中心に子どもたちの健康増進・食育への寄与のためHACCPに基づく衛生管理の徹底などを目的とし、人材育成を行う業界団体です。 とりわけ教育技術研修委員会は、毎年食中毒、食物アレルギー対応、異物混入などの事故防止対策をテーマとして講義資料作成に取り組み、夏期講習研修会で発表し、更にそこで得た知見を各社で共有することで専門家集団としてのレベルの向上に努めています。

 今回のセミナーは、平成28年から平成30年まで過去3年間に取り組み各年夏期講習研修会で発表してきた異物混入防止対策についての総括という形で広く業界に共有するものでした。これまでのテーマは次の通りです。

1年目:「意識」
「私たちの施設では絶対に異物混入事故起こさない」という意識を持って日々の業務に臨む。

2年目:「知識と仕組み」
異物混入になりうる事象について多くの知識を身につけて全員で守れるルールを作り、現場全体で取り組める仕組みを作ろう。

3年目:「実行」
一人一人が実行すること、調理場における各フェーズで確実に確認しよう。

 取り組みを始めた1年目に、協会がアンケートを実施、平成27年1月からの1年間、会員各社に異物混入についての調査票を配布、回答が返却された43社において実際に児童生徒まで届いてしまった異物混入事故事例を集計したところ、当時1年間で1,579件の事例が確認できました。

異物混入の要因

 まず、初めにアンケートの結果をもとに異物の発生要因を分析しました

平成27年度(一社)関東学校給食サービス協会アンケート調査結果より

 類別では、虫、髪の毛、ビニール片、世に言われる3大異物で6割を占めていました。 また、あってはならない危険異物に仕分けされる金属片、プラスチックも残念ながら報告されていました。これらの異物を次の3つの要因に分けてそれぞれのルールづくりや対策を講じました。

・調理従事者が持ち込む異物

・食材由来の異物

・施設・設備・器具等による異物


 調理従事者が持ち込む異物の殆どは、髪の毛、睫毛、眉毛、体毛です。

 食材由来の異物は多種多様で、納品されてきた段ボールにカッターナイフ、あらゆる虫(ピーマン、ブロッコリー、トウモロコシにも)、もやしには発砲スチロールが、肉魚にはホチキス、輪ゴム、ビニール片、ブリ糸状虫、米にはワラジムシ、乾物にはホチキスや糸くず、豆腐や油揚げも異物が多く今回の事例では(思がけないものなのに実は多く、見つけにくい)「豆腐に白髪」が挙げられていました。また、冷凍コロッケに(まさかの)針金、揚げ物の魚に釣り針という事例もありました。

 施設設備器具等の異物としては、室内のペンキが剥がれ落ちる。戸棚の破れ、秤が割れる、欠けた器具、ゴムベラ、古くなったスポンジ、フードプロセッサー、天井、蛍光灯の埃等が挙げられました。

調理工程ごとの対策

 次に視点を変えて一日の作業の流れに当てはめて、各調理工程別に異物とその混入防止対策を検証しました。

①作業前:まずは調理員の身だしなみを整えるところからですえば帽子を被る前のブラッシングでは、作業着を着る前にヘアネットを被る。粘着ローラーのかけ方を相互で確認するなどの対策が挙げられました。

 ひとつの事例として、髪の毛の異物混入が多かった現場で、朝一番に出勤する調理員が更衣室の掃除機をかけたところ、それが激減したという現場という話もあり、環境を整えるということの重要性も紹介されました。異物になりうるものを持ち込まない。書類の持ち込みについてもルールを決めておく、新人にもわかるようにポスターにして厨房の入り口に掲示するなどの対策も示されました。

②検収・下処理:包装材の留め金は数を数える。大きなセンターでも個包装された食材が相当量持ち込まれるので、包丁で開けない、切り口を確認するなどのルールづくりが必要です。果物のシールは剥がすひと、切るひと、洗う人がそれぞれ確認する。葉物野菜の結束テープなどは二重になっている部分を切らない。剥がしたシールやテープやついては一か所に集める、という対策が示されました。

 肉や魚にも髪の毛、金属、ビニール片が混入している場合があります。肉の対策としては手袋をして、ほぐしながら確認して別の容器を移す事例が紹介されました。 5千食規模の給食センターでは3、4人が2時間かけて全量の肉の表裏を目視して容器に移す作業を行っている例があります。 この段階で発見できれば肉屋さんに話ができますが、見過ごして児童生徒まで届いてしまったら委託会社の責任になります。こういった危機意識がポイントになります。

 乾物は、漁網、脱酸素剤などを意識します。作業台の上に広げて、磁石で金属を捕まえている施設もあります。脱酸素剤や乾燥剤は袋とセットにして捨てる。袋の数と合っているか確認するなどの対策が挙げられます。

 調味料の計量時は、キャップの中栓、バターの包み紙、包装材などの混入が挙げられました。バターについては絶対に包み紙ごと切らないようにします。危険異物となる壜の欠片については開口部の形状を確認します。

 お米への異物混入は、ワラジムシ、プラスチック片、カビなどがあります。洗米、炊飯前の炊飯器を確認します。

 器具由来の異物は、包丁、プロセッサー、笊、掬い網などを使用前、使用中、使用後の確認すること。そもそも欠けているものは使わないこと、それらのチェック表を作成することが挙げられました。

③調理:使用前、使用中、使用後の確認。野菜を切る時の包丁、まな板、フードプロセッサの欠けを確認します。ゴムベラは特に欠けやすいやすいものです。どんなタイミングで、確認、声かけするかのルール化が必要です。 確認しているつもりでも、食材がついたままの道具を洗浄室にもって行き洗ったときに欠けていることに気がついて、給食が出てしまったあとで提供中止となったケースもあります。

 スパテラ、回転釜の焦げ、一時的に覆っていたラップも異物混入の要因になります。食材を釜に入れる際はたたきつけてはいけません。ラップははがしたら、定位置に置く。まとめて捨てる、というルールづくりが望まれます。

 サラダ・和え物など、野菜を茹でる場面では。掬い網が破れやすいので、ここでも使用前、使用中、使用後に欠けていないかを確認します。欠けているものは使用しません。また、野菜をボイルする水面を注視し、虫やゴミが浮いていないか確認することも有効です。

 調理に使用する手袋も異物となります。使用前、使用後の確認。各個人でだけではなく全員で確認する。使用途中でもポイントを決めて確認します。

④配缶:髪の毛、ゴムベラ、周りを拭いた時のペーパータオルがそのまま食缶に入っていたという事例が示されました。蓋裏の汚れ、スポンジなどを確認します。また、朝の服装点検後、配缶までの作業中に帽子がずれることがあります。配缶前にペアで髪の毛のチェックをします。また、外れたネジや釘を見つけた時にどうしたらよいかわからず、調理場内にそのまま放置してしまうことがありますのでルールを決めましょう。回転釜のネジやバネなどのチェックポイントを図示して対策するなどの注意が必要です。

異物混入が発生する原因は何か

 これまでは要因と対策でした。それでも異物混入はゼロにはなりません。そこで、発生したときにインシデント・レポートが届けられるので、その「原因」を整理分析してみると次の3つに大別されることがわかりました。

・ルールがなかった(まさか、そんなものが入るなんて)
・ルールを守らなかった(怠った、あるいは知らなかった)
・対応をあやまった(対応・判断が不十分だった)

 ルールがなかった、という事案については「1センチの丸い紙片」の事例が挙げられました。ラップを開けたときの刃を留める部分の裏側が2日続けて脱落して混入したというケースです。※これを聞いて、家中のビニールラップ、ホイルラップを見ましたが、今どきの刃はプラスチックになっておりどれも両面テープで留められていました。

 ルールがなかった異物混入については必ずルール化し、全員に周知徹底することが必要です。ルールを守らなかった、という原因はご自身で振り返ってみるとよいでしょう。凡事徹底です。

 対応(判断)を誤った事例としては、自分で異物を発見して除去しておきながら、周りに声かけをしていなかったというケースが強調されていました。葉物野菜を検品中、羽虫を発見した時に皆さんはどうしていますか?ご自身が異物を発見したときのフローチャートが現場にありますでしょうか。

 今日入ったばかりの新人さんにも教えなければいけないことがあります。ルール化して、それを共有しましょう。

 子どもたちに提供する前に異物を発見できたものについてはそれを前向きな評価として掲示するという試みがあります

 「異物混入図鑑」を作成し、どんな食材にどんな異物があって、どのタイミングで気をつけるべきかを整理して共有する工夫もあります。ボトムの意識改革、知識の向上、対策の徹底という段階をふまえて異物混入をよりゼロに近づける努力が必要です。

本セミナーの意義

 関東学校給食サービス協会の取り組みは、専門家集団としてのレゾンデートルでもあります。 課題としては、この取り組みが会員各社の幹部社員からパートさんまで共有できるか、そして調理を担当する会社だけでなく、給食に関わる全ての業者・企業が把握でき、対策がとれるのか、です。

 一方、「意識の向上」という点においては同じ社内(現場)で上長に対して「気づき」を「意見」することが気軽にできる雰囲気にあるか、という組織における「食品安全文化」があるかどうかという視点も必要だと考えます。あるいは、監督が「全員野球」と思っていても「星野君の二塁打」はいつの時代でも起こり得ます。全ては人間がやっていることですから、いろいろあります。

 ところで、これらの取り組みを定量的にどう評価するか、という疑問が生まれました。協会の方に伺いましたら、ある一定の期間における混入率をppmで測ろうとすると、分子としてのインシデントは把握できていても、分母となる食数が学校行事などで日ごとに異なり把握できていないということもあります。また委託校が日々増えていることもあります。

 それでも、今回の取り組みはとても貴重なものであり、今回のセミナーは全国の学校給食現場にとって重要なヒントになるものと考えます。直営調理、委託調理の別なく、是非この取り組みによって得られた知見を役立てていただきたく存じます。

 協会会員企業にお勤めの方で、この取り組みについて知らなかったという方に届きますよう。さらには、このことなら知ってるよ、という方が多くいらっしゃいますようお祈り申し上げます。

 なお、この記事は関東学校給食サービス協会のご協力により皆さまに共有させていただいております。誠に有り難く、厚くお礼申し上げます。

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