橿原市の給食、宮崎産食材に 日南の戸村さんから11回目の寄付

 宮崎県日南市の精肉会社会長、戸村吉守(よしもり)さん(72)が「学校教育に役立てて」と、橿原市に100万円を寄付した。寄付は11回目で、総額は3730万円。寄付をもとに、市内の小中学校には「戸村文庫」が設置されているが、市は今年度から宮崎産の食材を使った学校給食を実施する計画で、その費用にも活用する。

 戸村さんは日南市の中学校を卒業し昭和34年、兄を頼って橿原市内の精肉店に就職。「最初は右も左もわからず、つらいこともあった」というが、給食用の精肉を配達した際、子供たちや学校関係者に励まされたという。

 5年間の修業を経て日南市に戻り昭和40年、有限会社「戸村精肉本店」を創業。現在はスーパーやレストランなども経営、グループ全体の売り上げは約48億円にのぼるという。

 戸村さんは「若い頃に励ましてもらった橿原市のみなさんのおかげ」として、「教育振興に使ってください」と平成元年に1千万円を寄付し、昨年までに計10回、3630万円を寄付。今年も7日、病気療養中の戸村さんに代わって長男で社長の浩明さん(46)と妻、美百(みほ)さん(41)が橿原市役所を訪問。森下豊市長に100万円を手渡した。

 橿原市は宮崎市と姉妹都市関係にあり、今年2月には小中学校の給食で「宮崎の郷土料理」を提供した。市教委によると、寄付を活用して今年度から11月と1月ごろの給食に「戸村の日」を設定、宮崎産の食材を使った学校給食を実施予定という。

 森下市長は「寄付をいただき大変ありがたい。子供たちに宮崎のおいしいものを食べてもらい、宮崎との関係について伝えていきたい」とし、浩明さんは「父には『小学生のみなさんらに励ましてもらった』との思いがあり、これからも寄付を続けたい。宮崎の食材を使い、食育の大切さを教えることは良いことだと思う」と話していた。

会員限定記事会員サービス詳細