からだのレシピ

杉田玄白賞に東京農工大大学院・木村特任准教授

杉田玄白賞の表彰式に臨む木村郁夫氏(左から3人目)ら=福井県小浜市
杉田玄白賞の表彰式に臨む木村郁夫氏(左から3人目)ら=福井県小浜市

 ■食材選択に焦点、医食同源に合致

 「解体新書」の発刊を手がけ、医食同源の考えの普及に努めた杉田玄白の業績を顕彰してその名を冠した第15回杉田玄白賞の表彰式が10日、玄白ゆかりの地である福井県小浜市で開かれた。今年の受賞者は「食と腸内環境に基づいた生活習慣病」の研究で成果を挙げた東京農工大大学院の木村郁夫特任准教授に決まり、関係者とともに受賞の喜びを分かち合った。

 木村氏は食が肥満や病気に影響するとの食品科学の観点から研究に従事。そのうち、食と腸内環境の研究は2013年に英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載され、さらに今年はネイチャー本誌にインタビュー記事が掲載されるなど国際的な認知度も高い。受賞に際して「食べ物と病気の中間に位置する人の体への影響については今までブラックボックスだった」と前置きし、研究によって「その謎のメカニズムを解き明かし、食が生理機能にいかに結びついているかを突き止めた」と表明。今後は「玄白の名に恥じないようにさらに精進したい」と述べた。

 審査委員長の須藤正克氏(福井大学特別顧問)は木村氏の研究に関して「腸内環境と生活習慣病の関係を世界に先駆けて科学的に証明した。国際的にも評価が高く、文句なしの受賞だった」とたたえた。副委員長の河原和夫氏(東京医科歯科大学大学院教授)は「木村氏は食材の選択に焦点を当て、多くの人が活用できる、示唆に富む研究成果をまとめ上げた。玄白が大切にした医食同源の趣旨に合致する」と木村氏の業績を評価した。

 玄白は江戸時代に、若狭小浜藩の藩医として現在の小浜市に居住するなど同市にゆかりが深い。同市などが主催する玄白賞は「食と医療」「健康増進」「食育」に関する研究・地域活動を行っている研究者、団体が対象。

 今年の奨励賞には生活習慣病の予防に有効な食べ方を盛り込んだ「1日1膳プロジェクト」を推進した武庫川女子大の森真理講師が選ばれた。

 表彰式で同市の松崎晃治市長が「どちらの受賞者も、素晴らしい研究や取り組みで、玄白とゆかりのある小浜市としても喜ばしい限りだ」と述べた。

会員限定記事会員サービス詳細