関西の議論

市教委の「給食中止」決定を市長が撤回 野菜高騰が招いた異例の騒動、背景に何が

三重県鈴鹿市の末松則子市長による給食中止の撤回表明(左上)を受け、市教委は市議会全員協議会で見直し案を発表した(右下)。左下は同市の小学校給食献立表(右上の給食はイメージで、同市のものではありません)
三重県鈴鹿市の末松則子市長による給食中止の撤回表明(左上)を受け、市教委は市議会全員協議会で見直し案を発表した(右下)。左下は同市の小学校給食献立表(右上の給食はイメージで、同市のものではありません)

 野菜価格が高騰し、予算内での食材調達ができなくなったとして、三重県鈴鹿市教育委員会が全ての市立小学校と幼稚園の給食2日分の中止を決めたところ、後で知った同市の末松則子市長が急ぎこれを撤回、鈴鹿の給食騒動として注目を集めた。結局、学校で防災教育を兼ねた炊き出し訓練を実施し、備蓄食を提供することなどで給食の不足分を補う方針が決まったが、なぜこんな騒動になったのか。市や市教委は、給食は保護者からの給食費で提供し、公費は使えない-とした学校給食法を理由に挙げるが、半年前に献立を決め野菜高騰後も変更しないなど同市の硬直的な運用も問題といえそうだ。(川西健士郎)

給食中止を新聞で知った市長

 給食騒動はこんな経緯をたどった。鈴鹿市教委が野菜価格の高騰を理由に12月20日と来年1月12日の計2日間の給食中止を決めたのは10月25日。すぐにその旨を市内の全30小学校、13幼稚園を通じ保護者に通知した。これを受け、弁当持参にするか、児童(園児)を昼で帰宅させるかなど対応を検討する学校(園)もあったが、保護者から反応はほとんどなかったという。

 ところが、このことが11月2日以降に報道されたことで問題は大きくなった。報道で初めて中止を知ったという末松則子市長は保護者に負担を強いることはできないとして、同7日の定例記者会見で中止の撤回を表明。「教育委員会から事前に相談があれば対応できた。拙速の判断で遺憾だ」と不快感を隠さず、即座に市教委に見直しを指示した。

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