ラグビー日本代表のSH田中史朗(31=パナソニック)、プロップ畠山健介(30=サントリー)が6月1日に被災地の熊本を訪問し、子どもたちと交流することが分かった。熊本地震において、ラグビーの日本代表選手が現地で慈善活動を行うのは初めて。2選手は30日、6月のカナダ(11日)、スコットランド(18、25日)とのテストマッチ計3試合を戦う代表メンバーにも選出された。

 桜の戦士が被災地に元気を届ける。田中と畠山は代表OBで現役引退した広瀬俊朗氏との3人で、被害の大きかった益城町の益城中央小を訪れるという。5、6年生を対象に2コマ分の授業時間を使い、講演会と校庭でのラグビー体験を行う。また、1日限定の田中先生、畠山先生として給食も一緒に食べ、短い時間ながら生徒たちと触れ合う。

 熊本が地震に襲われた4月中旬、ハイランダーズの田中はニュージーランド、ニューカッスルの畠山はイングランドにいた。31日に帰国する田中に合わせ、翌1日の熊本訪問を決めた。4日には代表チームの集合があるため日帰りだが、わずかな時間を見つけた。

 畠山は宮城・気仙沼市出身で、11年の東日本大震災による津波で実家を失っている。それだけに「僕たちにできることは一緒に体を動かすことくらいしかありませんが、少しでも楽しい時間を過ごしてもらえたら」と、思いの丈を語った。

 田中らは震災直後からインターネットサイト「ジャパンギビング」で義援金を募る活動を行い、田中と畠山も10万円を募金。今日までで締め切られるが、約170万円を集めた。カナダ戦から本格的に19年W杯日本大会に向けて歩み出すチームを代表し、2選手は被災者の思いも背負って前に進む。【岡崎悠利】