「鯨まん」に「鯨巻き寿司」…和歌山県太地町が料理のレシピ作成中 

試作品を持つ竹村さん。これは「鯨のスタミナ丼」=太地町
試作品を持つ竹村さん。これは「鯨のスタミナ丼」=太地町

 日本の捕鯨活動に逆風が吹くなか、クジラのおいしさを多くの人に知ってもらおうと、和歌山県太地町の料理人、竹村直也さん(55)がクジラ料理の新たなレシピ作りに取り組んでいる。これまでに約30種類を完成、試食した関係者の評判も上々だ。竹村さんは、「手軽な調理方法を知ってもらい、クジラの食文化が改めて広がるきっかけになれば」と話している。

 同町の宿泊施設「白鯨」で約20年にわたって料理人を務め、現在は町開発公社に勤務する竹村さんは今年4月からレシピ作りに取り組み、これまでに「鯨そぼろの巻き寿司」や「鯨まん」などバラエティーに富んだレシピを完成させた。

 最近作った「鯨のスタミナ丼」は、ショウガと酒で下味をつけて素揚げにしたイワシクジラの肉に、しょうゆにニンニクを効かせた甘辛いタレを絡めたどんぶり物。食欲をそそる香りが広がり、試食した人からは、「肉のにおいがなくおいしい」「甘辛い味付けがよい」などとの意見が出されていた。

 レシピ作りを始めるきっかけの一つには、「クジラ肉離れ」がある。商業捕鯨が禁止され、流通量が減るなどして、牛や豚と同じように当たり前にクジラの肉がある太地でも昔に比べると、日常的に食べる人が減ってきている。また、料理方法も刺し身や干物、すき焼きなどが「定番」で、アレンジした料理は少ないという。

 このため、できるだけ手軽な調理方法を意識してレシピ作りに取り組んでいる。また、クジラ肉独特のにおいの調整にも工夫を凝らしている。人の好みにも差があり、消しすぎると物足りないとして、料理によってはにおいを残すようにしている。

 苦労の末に完成させた試作品の一つ「鯨そぼろ御飯」は町内の小中学校の給食で提供され、好評だった。竹村さんは「学校給食や、飲食店などでレシピを活用してもらって、より多くの人たちが手軽にクジラを味わえるようになれば」と話している。

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