学校給食、家庭で再現ブーム
学校給食の再現が家庭でひそかなブームになっている。春雨サラダやわかめご飯、揚げパン…。料理サイト「クックパッド」には様々な学校給食レシピが投稿されている。例えば「大豆の甘辛あげ」は4600人以上が再現した。同サイトでは1000人以上が再現すると「殿堂入り」になるので、かなりの人気ぶりだ。
クックパッドによると給食キーワードを盛り込んだレシピが検索された頻度は、2015年は前年より1割程増加した。月ごとの投稿数でみると、14年は約30品だったが、15年は約50品に増えている。「懐かしいという気持ちで投稿する人が多い。子どもが食べているものを再現して親子のコミュニケーションを図りたいという人もいるのでは」と同社の河邊美穂子さんは話す。
川崎市に住む井筒さなえさんも、揚げパンなどのレシピをクックパッドに投稿した。小学生の子どもを2人育てており「子どもが学校給食で食べてリクエストされたので作った」という。パン生地から手作りでかりっと揚がった揚げパンを、学校から帰った息子は「おいしい」と平らげる。
学校側もレシピを積極的に公開している。2014年10月の兵庫県宝塚市を皮切りに、埼玉や福井、広島などの学校がレシピをクックパッドに投稿する動きが相次いでいる。「おいしい給食」をスローガンに掲げる東京都足立区も区のホームページでレシピを公開。同区の栄養士の対尾祥子さんは「バランスのとれた学校給食を家庭でも再現したいという人もいるし、栄養士同士の情報供給にも役立っている」と話す。給食関連の菜友(三重県桑名市)が運営する専用サイト「はなまる給食写真館」も8月に登場した。
学校給食の実施率は、小学校で99%。中学校では87%程度だが、共働き家庭の増加などで給食を求める声は根強く、新たに実施に踏み切る自治体も増えている。神奈川県藤沢市も14年11月から試験的に中学校で給食を開始した。給食を望む生徒はあらかじめパソコンやスマートフォンで予約するシステムだ。いわゆる学校給食とはイメージが異なるが、味は子どもたちが育った小学校の給食に近づける工夫をしているという。
学齢期を過ぎると口にすることがなくなる学校給食。それでも子ども時代に食べた味はみんなの心に残っている。
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