フードバンク、子供の夏休み「食」支援 困窮世帯に週1回 山梨

 生活保護を受けていない県内の困窮世帯に食品を無償で届けているNPO法人「フードバンク山梨」(米山けい子理事長、南アルプス市)は31日から、19歳以下の子供のいる困窮世帯に週1回、食品を送る「こども支援プロジェクト」を始める。学校給食のない夏休み期間中の子供に食事を提供するのが目的。米山理事長は「子供の欠食の補完になり、浮いたお金を普段は買えない食材や生活必需品の購入などに充てることもできる」として食品の提供や寄付金を呼びかけている。

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 プロジェクトでは、県民や県内の企業、学校などから提供された、未開封で賞味期限が1カ月以上あるコメや麺、缶詰、レトルト食品、根菜、菓子、飲料などを箱詰めし、8月28日まで週1回、届ける。米山理事長によると「給食のない夏休み期間中、子供のいる生活困窮世帯へ毎週、食品を送るのは全国初の取り組み」という。

 同法人が未成年のいる支援世帯に行った食生活調査(有効回答70世帯)によると、1人1日当たりの食費が400円未満の世帯は約7割を占めた。また、1日の中で主食と主菜、副菜が全てそろう食事が「0回」の世帯は約8割に上った。

 調査では、支援世帯の親から「栄養が偏ってしまう」「育ち盛りなので困っている」「子供が貧血で倒れた」「家中ストレスで(親子の)けんかが絶えない」といった深刻な声も寄せられた。米山理事長は「おなかを膨らませるためにコメや麺などを優先し、肉や魚、果物などをあまり食べられない実態がある」と食事の偏りを危惧する。

 同法人では昨年度まで、県内全域を対象に月2回、支援世帯に食品を届けてきた。生活困窮自立支援法の今年4月施行に伴い、郵送費や人件費など運営費をまかなう国の補助金が終了。今年度から自治体によっては支援が受けられず、昨年度までの支援世帯の約7割を援助できない状態となっていた。

 同法人によると、援助が止まった世帯の約4割に未成年者がいる。プロジェクトでは、過去に支援していた子供のいる世帯や、市町村や社会福祉協議会などを通じて申請のあった新たな世帯にも食品を送る。届ける食品に子供も作れる料理レシピを添えるほか、支援により浮いた食費を何に使ったかや子供の体長・精神の変化などについてアンケートを行う。

 米山理事長は「食事の偏りは子供の言語・運動機能、免疫能力に悪影響を及ぼすという指摘がある。運営資金に対して各方面から寄付をいただき、まずは支援が滞っていた子供のいる世帯へも支援を再開することができた」として、9月以降も県内全域を対象に月2回ペースで援助を行いたいとしている。

 同法人ではプロジェクトに合わせ、食品の提供や箱詰め作業のボランティア参加、寄付金を県民に広く呼びかけている。フードバンク山梨(電)055・282・8798。

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