久留米特別支援学校の給食誤嚥訴訟 市側の3800万円賠償が確定 最高裁決定
給食の誤嚥(ごえん)で重い脳障害を負ったとして、福岡県久留米市立久留米特別支援学校に通っていた河村啓太さん(23)と家族が市などに計約1億9千万円の支払いを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)は原告と市それぞれの上告を棄却した。決定は14日付。市に3800万円の賠償を命じた福岡高裁判決が確定する。
河村さんは中学部在籍中の2012年9月、担任の介助で食事中にのどを詰まらせて窒息。現在も意思疎通ができず、寝たきりの状態という。
高裁判決は、河村さんの摂食状況を把握する学校側が、家族に痰(たん)吸引など医療ケアの必要性を説明すべきだったと判断。賠償額を一審の500万円から3800万円に増額する一方、河村さん側による日本スポーツ振興センターへの見舞金請求は退けた。
最高裁の決定を受け、母和美さん(55)は「裁判に区切りがつき、今後は見舞金制度の改正に力を入れたい」と話した。久留米市の大久保勉市長は「医療ケアの説明責任を問われたことを真摯(しんし)に受け止め、情報提供と説明に努めていく」とのコメントを出した。 (玉置采也加、平峰麻由)