「学校楽しい」「夢がある」減少 児童生徒にコロナの影
文部科学省の全国学力テストで実施されたアンケートでは、「学校が楽しい」と感じている割合が下がるなど、新型コロナウイルスが児童生徒の内面に与えた影響が垣間見えた。学校行事が中止されたことなどが影響したとみられる。
アンケートで「学校に行くのは楽しいと思うか」との問いに「当てはまる」と答えたのは、小6で48.0%、中3で43.4%。前回(2019年度)調査と比べ、それぞれ6.0ポイント、2.4ポイント下がった。
将来の夢や目標を持っている子どもの割合も減少した。小6で「当てはまる」としたのは60.2%で、5.7ポイント減。中3も40.5%で、4.4ポイント減った。
いずれも19年度まではほぼ横ばいで推移していたが、今年度になって目立って減少に転じた。文科省の担当者は「新型コロナの影響で、友達と近い距離でふれあって遊ぶ機会や給食時の会話など、楽しい活動が制限された。将来の夢を持てない傾向は、身近な目標を掲げる運動会などの中止が影響している可能性がある」と分析する。
コロナの影響は学外にも及ぶ。「地域の行事に参加しているか」との問いに「当てはまる」とした小6は26.6%で、ここ10回の調査の中では最も少なかった。中3も16.1%で、前回から4.5ポイント減少していた。
子どもの心理に詳しい神戸大大学院の林創教授(発達心理学)は「コロナが長期化して行事の中止や延期が繰り返され、子どもの心の中に諦めの気持ちが醸成された可能性がある」と指摘する。
感染の急拡大で学校の臨時休校や行事の中止は現在も相次ぐが、林氏は「オンラインを活用して代替の行事を開催することで、心の成長の機会を維持することにもつながりうる」と話した。
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