東日本大震災から10年となる11日に、兵庫県の芦屋市立打出浜小学校(新浜町)は、被災地となった東北地方の古里料理を初めて給食に出すことを決めた。地震、津波、原発事故でたくさんの人が亡くなり、苦しい思いをしたことを知ってほしい。そんな思いを込めて栄養教諭の紙山淳子さん(38)が独自に作り方を考えている。(大田将之)
主なメニューはまず岩手県の「ひっつみ汁」。こねた小麦粉と鶏肉などを汁物に入れる料理で、方言の「ひっつむ(引きちぎる)」が名前の由来らしい。そして福島県の「いかにんじん」。イカのするめとニンジンを細く切り、甘辛いタレに漬けて、お酒のつまみとしても有名だ。
芦屋市の学校給食はすごいと言われる。各校が給食室で調理する「自校方式」で、栄養教諭がオリジナルメニューを考える。そのメニューをまとめた本「芦屋の給食」は評判を呼び、芦屋の給食をテーマにした映画の制作も進んでいる。
打出浜小では26年前の阪神・淡路大震災で児童1人が亡くなり、10年ほど前から発生日の1月17日を「おむすびの日」と名付けている。阪神・淡路の直後に避難所などで出された炊き出し用の「おにぎり」「豚汁」をみんなで食べて防災について考えているという。
そこで今回、紙山さんは防災担当教諭の永田守さん(54)らと一緒に考えた。東日本大震災の後に生まれた児童が半分を超える中、食を通じて東北の人たちに思いを寄せようという試み。ただ、給食は衛生面に気を付けて加熱処理などが必要になり、調理方法は工夫しないといけない。
紙山さんは今、自宅で試作を繰り返している。給食ではサバの塩焼きとリンゴも出して宮城県石巻市のブランド「金華サバ」、青森県のリンゴ生産日本一も紹介する予定だ。「被災地の復興を願い、給食室のみんなで心を込めて調理したい」と話している。
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