神戸市教育委員会は、家庭弁当持参との選択制にしてきた市立中学校の給食について、数年後をめどに全員給食に転換する方針を固めた。民間の調理施設で弁当箱に盛り付けて学校に運ぶ現行の給食は「おかずが冷たい」と不評で、利用率は約4割に低迷。温かい給食の提供に向けて見直し、現在より約2万2千食の上乗せに対応できるよう給食センターの建設も視野に検討する。
同市の中学校給食は2014年11月に33校で先行実施され、17年2月に全82校で開始。導入前のアンケートでは、保護者の3割が「家庭弁当を続けたい」としたため、選択制に対応できる現行のランチボックス(弁当箱)方式を採用した。
民間施設を利用する同方式は、短期間で給食を導入できる半面、おかずが冷たく、量も調整できないのがデメリット。市教委が19年度に実施したアンケートでは、生徒の6割が「おかずを温かくしてほしい」と回答し、家庭弁当を選ぶ生徒が多い要因となっている。
おかずを保温機能のある食缶で運び、各教室で盛り付けるなどの方式もあるが、いずれも全員給食が前提となる。近年、共働き世帯の増加などで給食のニーズが高まっていることもあり、市教委は、21年度当初予算案に全員給食に向けた調査・検討費などを計上する。
市立中学校の給食は現在、民間調理施設4カ所で市内9区を分担し、約1万5千食を配送している。全員給食にするには、教員分も含めて計約3万7千食が必要となるため、民間の調理能力だけで賄うのは難しい。給食センターの新設や、給食室のある小学校から近くの中学校に運ぶ方式などを検討するとみられる。
政令市では、名古屋市や京都市などが同様に選択制のランチボックス方式を採用。大阪市は既に各校に給食室を設けるなどの方式に転換した。兵庫県内では、弁当持参の尼崎市や川西市などが今後、センター方式を導入する。(長谷部崇)