三島市の市民団体、「市議の兼業違反」指摘 経営の会社三島市と取引住民監査請求も

2020年11月13日 07時20分
 三島市の松田吉嗣市議(65)が社長の食品卸会社が、市や市学校給食会に計約八十万円分の給食用食材を納入したのは地方自治法の「議員の兼業禁止規定」に違反する、として市民団体「ミエルカイ」(同市)が十二日、市や市議会議長らに調査と早急な対応を申し入れた。
 地方自治法は議会の公正な運営のため、地方議員が、所属する議会のある自治体と取引がある企業の役員と議員の兼務を禁じている。
 団体の情報公開請求によると、松田議員が社長を務める松田商事(同市)は二〇一四〜一七年度、市の障がい者支援センターにプリンなど計約二十六万円分、一七年度に市立小学校の給食用食材の冷凍果物約五十四万円分を納入していた。
 松田議員は一七年度から、市議会選出の市監査委員も務めるため団体は十二日、松田議員に支払われた監査委員報酬五十八万八千円を返還するよう求める住民監査請求もした。「市の財務や事業をチェックする監査委員に、法違反の疑いがある人物を充てるのは不適格」としている。
 松田議員は取材に、市との取引を認め「会社の利益のごく一部であり、過去の判例からみても法には抵触していないと考える」と話した。
 団体の村上昌彦共同代表は「法に抵触する恐れがある議員の会社と取引した市、監査委員として送り出した市議会全体への問題提起として行った」と話した。
 全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)事務局長の新海聡弁護士は「(取引額が少なければ)兼業禁止規定の違反とは言い難い。だが監査委員を務めているのは政治倫理が問われる。監査は適正に行われるという信頼を揺るがすため、委員はやめるべきだ」と指摘した。 (渡辺陽太郎)

関連キーワード


おすすめ情報

静岡の新着

記事一覧