大磯町立国府小学校(児童数637人)で、大磯産和牛を使った給食が10月22日から提供されている。新型コロナウイルスの影響を受けた県内畜産業を支援するとともに、子どもたちに地元産の牛肉について学んでもらおうという県の取り組み。同校では同じ国府地区にある「大磯なごみ牧場」から牛肉の提供を受けた。12月までの間、月1回献立に並ぶ。
「やわらかくて、おいしい」。正午過ぎの給食の時間、大磯なごみ牛のビーフカレーをほおばった児童らが満面の笑みを浮かべた。「たくさん良いお肉を頂いたので、いつもよりお肉を多めにしました」と栄養教諭が語るボリューム満点のカレーはおかわりが相次ぎ、食缶があっという間にカラになった。食事中に担任教諭が大磯産の牛肉であることを児童らに説明し、生産過程や生産者からのメッセージを映した紹介動画も上映。秋山実校長は「国府地区でつくられたお肉を食べて、大人になっても地元を愛する人になってほしい」と語った。この日は中崎久雄町長らも同校を訪問し同じ給食を味わった。また同様の取り組みとして、大磯小学校と国府小学校の給食で県内産メバチマグロとシロサバフグも提供されている。
命考える機会に
大磯なごみ牧場は、子牛を生産・育成して市場へ出荷する繁殖経営を行っている牧場。普段は直接食肉の提供を行っていないが、今回は「子どもたちの食育につなげたい」と自ら行政へ働きかけたという。代表の渡辺紗緒里さんは2015年に開業。妹との姉妹経営で、大磯で離農した酪農牛舎を改築し、繁殖牛を購入して黒毛和種の生産を始めた。大磯町初の牛肉の生産農家ということで町からの期待も高い。現在は4人のスタッフで繁殖牛60頭を飼育。生後10カ月の素牛を年40〜50頭、群馬県の市場へ送り出している。
「牛に優しく、人に優しい」をモットーに、牛の免疫力を高める飼料管理や、牛が幸せに過ごせる生活基準の向上などに努めている渡辺さん。地域に寄り添った農業を目標に、地元の子どもたちの職場見学なども受け入れてきた。「食育を通じて子どもたちが知識を持った消費者に成長し、安全な食肉を選べる世の中にしていきたい」と話し、「今回の給食が、普段いただいている命について考える良い機会になってもらえれば」と思いを語った。
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