30人学級、10年後実現で「教員増なくても可能」 文科省試算

30人学級、10年後実現で「教員増なくても可能」 文科省試算
萩生田光一文科相(左から2人目)に提言を手渡す自民党・教育再生実行本部の馳浩本部長(右から2番目)
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 自民党の教育再生実行本部(本部長・馳浩元文科相)は9月24日、義務教育段階の1学級の人数を「30人」とした少人数学級の取り組みを、段階的・計画的に進めるべきとする提言を、萩生田光一文科相に申し入れた。提言の決議にあたり開かれた会合では、文科省の担当官から「今すぐに30人学級を実現するには8万~9万人の教員増が必要だが、10年かけて実現するとすれば、その間に児童生徒数には100万人ほどの自然減があり、必要な教員数も5万人程度減る。少人数指導などのためにすでに加配されている教員3万人程度も活用できる」との試算が示された。

 同本部の赤池誠章事務局長(参院議員)によると、こうした試算を受け、文科省は「法改正による定数増を行わずとも、計画的に進めれば30人学級を実現する見通しが立つのではないか」という考えを示した。ただ、児童生徒数が増加傾向にある特別支援学校については、すでに義務標準法の改正によって計画的に進められている教員増を別途継続する必要があるとした。現状の教職員定数(68万7000人)のうち、学級数に応じて機械的に決まる基礎定数は63万3000人で、学級編制について小1が35人以下、小2から中3までは40人以下とされているほか、教員の配置についても校長が学校に1人、学級担任が学級に1人などとされている。

 一方、政策目的に応じて予算措置がなされる加配定数は5万4000人となっており、独自に少人数学級、少人数指導を行う目的で加配されている教員が現状でも3万4000人いるほか、いじめ・不登校対応で9000人、特別支援教育で5000人といった加配が行われている。

 自民党の提言では、義務標準法の改正を重視し、「そのための財政措置について、来年度予算の編成過程で検討し成案を得ること。その際、地方公共団体が所要の教職員及び教室の確保に見通しをもって、計画的に取り組むことができるような方策を示すこと」として、できるだけ早期の30人学級実現に向けて取り組みを進めるよう、文科省に要望した。

【差し替え】見出しの「30人学級、10年後実現で教員5万人増必要」を「30人学級、10年後実現で『教員増なくても可能』」に差し替え、第1段落の「今すぐに30人学級を実現するには8万~9万人の教員増が必要だが、10年かけて実現するとすれば、その間に児童生徒数には100万人ほどの自然減があり、必要な教員増は5万人程度にとどまる」を、「今すぐに30人学級を実現するには8万~9万人の教員増が必要だが、10年かけて実現するとすれば、その間に児童生徒数には100万人ほどの自然減があり、必要な教員数も5万人程度減る。少人数指導などのためにすでに加配されている教員3万人程度も活用できる」に差し替え。第2段落の「文科省は『法改正を行わずとも、計画的に進めれば30人学級を実現する見通しが立つのではないか』という考えを示した。ただ、児童生徒数が増加傾向にある特別支援学校については別途、検討が必要であるとした」を「同本部の赤池誠章事務局長(参院議員)によると、こうした試算を受け、文科省は『法改正による定数増を行わずとも、計画的に進めれば30人学級を実現する見通しが立つのではないか』という考えを示した」に差し替えました。
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