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休校延長…給食業者が悲鳴「先が見えない」

2020年5月5日 19:53
休校延長…給食業者が悲鳴「先が見えない」

緊急事態宣言の延長が決まりましたが、自治体の中には、すでに学校の休校延長を決めているところも数多くあります。学校給食の休止も続くことで、業者や農家からは「先が見えない」と悲痛な声が上がっています。

◆学校休校で…倉庫には行き場を失った大量の小麦粉

神奈川・海老名市の工場。巨大なオーブンで次々と焼かれていたのは、食パンです。こちらで作られているのは、主に学校給食用の食パン。神奈川県内の140の学校に一日およそ1万5000食分のパンを供給してきました。

しかし……

栄屋製パン 代表取締役・梅田高嗣さん「こちらが使われなくなった学校給食用のパンをつくる小麦粉です。3月分ですね。まるまる残ってます」

神奈川県内の公立学校は、3月上旬ごろから一斉休校。学校からの食パンの注文がなくなったため、倉庫には行き場を失った小麦粉が大量に残されていました。

さきほど作っていたのは、給食用ではない病院など向けの業務用食パン。しかし、業務用の注文量も普段の3分の1ほどに落ち込んでいるといいます。

栄屋製パン 代表取締役・梅田高嗣さん「学校給食はもちろん(売り上げが)ゼロですし、(会社全体の売り上げは)だいたい8割5分減くらいのところで推移」

新型コロナの感染拡大に伴う学校休校の影響をうけ、売り上げはおよそ85%もダウン。わずか3か月間で赤字総額は5000万円を超えるといいます。

◆緊急事態宣言延長で雇用確保の資金が…再開後にも不安

そんな中、4日に発表された5月末までの緊急事態宣言延長の正式決定。

栄屋製パン 代表取締役・梅田高嗣さん「休校(延長)の判断は仕方ないと思ってる。理解しているつもりですけど、正直厳しい。なんとか一日も早く再開してくれないかなと」

今後、仮に休校がさらに延長されれば、今いる従業員およそ100人の雇用を確保するための資金が足りなくなる恐れがあり、学校が再開された時、以前と同じ量のパンを供給できるか不安だといいます。

◆生産地でも野菜廃棄…2か月間で60トン以上も

さらに、給食食材の生産地でも……

千葉・八街市の農園。ビニールハウスの中でびっしりと育っていたのは、小松菜の一種『江戸菜』です。普段は学校や飲食店に卸しているといいますが……

旦千花 大槻真一郎社長「これは全部廃棄する野菜です。だいたい廃棄量は1.5トン近く」

納品先の学校が休校となり、飲食店も軒並み休業。そのため行き場のなくなった『江戸菜』を、仕方なく廃棄しているというのです。一日に廃棄する量は1トン以上。廃棄にも費用がかかり、およそ2か月間で60トン以上も廃棄してきたといいます。

旦千花 大槻真一郎社長「結構な量だな。改めてみて、しんどい」

激減した売り上げを少しでもおぎなうため、ホームページでの販売を開始しましたが、以前の1割にも満たないといいます。

旦千花 大槻真一郎社長「正直言うと相当きついです。売り上げはないけど人件費(などの)固定費はかかりますし、正直不安だらけですよね」