学校を再開するべきか、休校を続けるべきか――。新型コロナウイルスの感染状況が刻一刻と変わるなか、政府内でも判断は揺れ動いた。「感染拡大地域では一斉休校も検討すべきだ」との見解に、近く新学期を迎える自治体は難しい決断を迫られている。

政府高官「子どもの感染者出すわけには」

 専門家会議後に開かれた政府の対策本部。会合後、記者団の取材に応じた萩生田光一文部科学大臣は、改訂した学校再開の指針を各自治体などに通知したことを明かし、新たな指針について「(学校再開を)判断するに際しての具体的なポイントを提示している」と説明した。学校を再開するか、休校を延長するかの判断は、各自治体に委ねる考えを示した形だ。

 休校問題をめぐっては、なかなか沈静化しない新型コロナを前に、安倍政権の対応は揺れている。

 政府が2月25日に示した基本方針では、学校での臨時休校について「適切な実施に関して都道府県などから要請する」として自治体に判断を委ねたが、安倍晋三首相は2日後の27日、独自の判断でいきなり全国一斉の休校要請に踏み切った。

 この首相の判断によって、公立小中高、特別支援学校の約99%が休校になった。しかしその後、感染は世界的に急拡大。3月14、15日の朝日新聞の世論調査では、休校判断を「評価する」が60%に及ぶなど、首相の判断は国民からの一定の支持を得た。

 次に焦点になったのはいつまで休校要請を続けるのか。4月の入学式や始業式の時期が迫っていた。首相は3月20日に「学校の再開に向けて、具体的な方針をできる限り早急にまとめて下さい」と指示。文科省は3月24日、一斉休校を要請する余地は残しつつ、「感染拡大防止に関する意識が高まっている」(萩生田氏)として、学校再開に向けた指針を公表した。

 ところがこの指針公表後に、都…

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