「休校長引けば生乳余る」 生産全国2位の栃木、酪農家に不安  

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため全国で多くの小中学校が休校措置を取る中、栃木県内の酪農家は学校給食停止を不安視している。生乳生産量が北海道に次いで全国2位の栃木にとって、学校給食は大きな出荷先。しかし、休校措置によって、給食用に予定していた生乳を加工用に回している現状がある。県内の酪農家は「もし休校が長引いたら生乳が余ってしまう」と懸念している。

 一大産地の那須塩原市で1日に約2600キロの生乳を出荷する「和泉(わいずみ)牧場」(同市青木)の和泉正行さん(37)によれば、アイスクリーム用などに需要がある夏と違い、今の時期は生乳の需要が少なくなるという。それに加えて休校措置により学校給食に出荷できないという追い打ち。和泉さんは渋い表情を浮かべながらも「乳業メーカーも頑張ってくれている。状況を見つつ(生産を)続けていくしかない」と話した。

 飲用に比べて安価で取引されるという加工用。「人見牧場」(同)の人見孝允(たかよし)さん(41)は「売り上げは減るかもしれない」と声を落とす。「早く子供たちに牛乳をたくさん飲んでもらいたい」と早期の学校再開を願い、牛の世話に取り掛かっていた。

 県を含む関東地方で生産された生乳を受託販売する関東生乳販売農業協同組合連合会(東京都)によると、給食用牛乳の販売が停止状態の現在、入荷した生乳はチーズなど乳製品への加工用として販売しており、廃棄処分などの影響は出ていないという。

 しかし、仮に感染が収束せず4月以降も休校が続いた場合、加工用の供給が需要を上回ってしまう可能性があるという。乳牛は定期的に乳しぼりをしないと体調が悪化するため、需要が減少しても供給量を大きく変えるのが難しい事情があるからだ。同連合会の担当者は「同じ農産物でも保存性の高いものなら蓄えておくこともできるが、生乳は劣化が早くそうもいかない」と指摘している。(根本和哉)

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