「おいしい給食誇りに」 学校給食頂点の2人 児童からの「給食ノート」がやりがい

2019.12.16
ニュース丹波篠山市地域地域


全国学校給食甲子園で優勝を果たした経験を振り返る田端さん(左)と出野さん=2019年12月11日午後2時58分、兵庫県丹波篠山市北新町で

今月7、8の両日、東京都で開かれた「第14回全国学校給食甲子園」(21世紀構想研究会主催)で初優勝を果たした兵庫県丹波篠山市立西部学校給食センター栄養教諭の田端廣美さんと調理員の出野年紀さんがこのほど、同市役所で会見し、大会の様子を振り返りながら喜びを語った。

制限時間1時間以内に献立を調理し、使用した器具や生ごみの後片付けまで行った決勝。献立だけでなく調理過程も審査対象で、衛生面もチェックされた。

決勝進出が決まってから、市内で計4回練習したが、調理台の広さや蛇口の形、オーブンやコンロの位置など、決勝で使用する会場はすべてが違う。少しでも本番に近い環境で練習するため、事前に視察で出向いた福井の施設から、会場の調理台を再現した手作りの紙を譲り受け、イメージを膨らませながら練習に励んだ。

応募した献立

当初は1時間以内で仕上げることができず、初めての練習では6分オーバー。それでも回を重ねるごとに短縮し、本番では1分前には調理と片付けを終えるなど、練習の成果が実を結んだ。

魚の焼き物は、練習ではオーブンの違いで焦がしてしまうこともあったが、焼き具合をチェックする時間を細かく刻むことで、本番では「最高の焼き物ができた」(出野さん)という。

また、決勝の前日に行われ、最終結果にも加味される食育授業コンテストでは、給食で使われている豊富な地場野菜をアピールするだけでなく、その栄養価も紹介したことで最優秀の評価を得た。丹波篠山の民謡「デカンショ節」も流しながらのユーモアあふれる授業は、審査員から好評を博した。

緊張とプレッシャーを克服しての優勝に、田端さんは、「良い報告ができてよかったというのが一番の気持ち。アドバイスをくれた、ほかの栄養教諭や調理員さんなど、東西の給食センターみんなで受賞した賞」。調理歴29年のベテラン、出野さんも、「すごいプレッシャーだったけれど、時間も守れて、良い給食が作れた。『給食がまずい』というニュースもあった。大げさかもしれないけれど、丹波篠山の子どもたちには『自分たちはおいしい給食を食べているんだ』と誇りに思ってほしい」と喜ぶ。

そんな2人のやりがいは、学校とセンターの間でやり取りする「給食ノート」。児童や職員らが、「おいしかった」と書き込んでくれることが何よりうれしいという。

出野さんは、「自分が担当したおかずが好評だった時が一番うれしい。『ゼリー』と書いてあった時は『おーい』と思いますけど」と笑う。

頂点に立ったものの、田端さんは、「普段の取り組みが評価されたのであって、日々、安心安全な給食を届けることが大切。今までやってきたことを忘れずに、新しいことにもチャレンジしながら献立作りなどにがんばっていきたい」と冷静。出野さんも、「(アレルギー対応の)除去食などもある。とにかくミスをなくすという原点を忘れないようにしたい」と話していた。

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