トランプ政権は低所得者向け食料補助制度「補助的栄養支援プログラム」(以下SNAP、Supplemental Nutrition Assistance Program)に変更を加える案を推し進めています。そんな折、新たな研究によれば、「この変更によって、約370万人の米国国民がフードスタンプ(低所得者向けに行われている食料費補助対策)を失う可能性がある」と述べています。

 トランプ政権のこの新法案は、SNAPの労働・住宅費控除に関する要件を厳格化し、40州で自動登録の手順を変更することを目指しているものです。非営利団体のアーバン・インスティチュートによる今回の報告では、これら3つの変更の影響を試算しました。

 これらが2018年導入されていた場合、370万人以上(200万世帯以上)の米国市民がフードスタンプの受給資格を失い、この他に数百万人が給付削減となっていた可能性があることを明らかにしました。また、100万人近くの学生が、無料あるいは割引価格の学校給食をも失っていた可能性もあるということなのです。

 アーバン・インスティチュートのローラ・ウィートン氏は、NBCニュースの取材に対し、「私たちの研究において、これら3つの変更が2018年に導入されていた場合には、SNAPに参加する世帯の数がおよそ11%減少していた可能性があることが明らかになりました」と述べ、「これはSNAPの受給者数のおよそ9.4%にあたり、給付全体では8%の削減となっていたことになります」と説明しています。

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 ミシシッピやアーカンソー、バージニア、テネシーなど一部の州では、新法案により給付が拡大する可能性があります。ですが、この変更案は米国市長会(United Sates Conference of Mayors)を含めて、各方面からの批判に直面してきました。2019年8月に米国70都市の市長が署名した文書では、すべてのSNAP世帯の80%に子どもや障害者、老人がいることを指摘されています。また、この変更には、国民からも反対の声が挙がっており、自動的な受給資格の取得を限定し得る変更案は、パブリックコメント期間に17万件ものネガティブな意見を集めていました。

 農務省のソニー・パーデュー長官は、2018年の署名入り記事の中で労働要件に関する変更案について、「多くの人々に仕事の尊厳を取り戻し、このプログラムに資金を提供する納税者に敬意を表するものでもある」と語っていました。

 オンラインニュースメディア「ハフィントン・ポスト」によれば、「これらの変更が導入される日付は、まだはっきりしていない」と言っています。ですが、新たな研究では、新法案がすでに飢えや栄養不足で苦しむ数百万の米国国民を危険にさらす可能性があることを示唆してもいるのです。

 2018年、米国国民は「9人に1人が食料不足で苦しみ、健康的な生活を送るための十分な食料を安定して確保できなかった」ということが報告されています。そして現在の給付のもとでさえも、SNAP受給者の50%は食料不足状態にあるという事実をトランプ政権は知っているのでしょうか? 知らないほうが大問題でもありますが…。




Source / Esquire US 
Translation / Wataru Nakamura 
※この翻訳は抄訳です。