令和元年度行政事業レビュー「公開プロセス」 2日目 議事録(6月25日(火曜日))

【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、時間となりましたので、ただいまより文部科学省公開プロセスを開会させていただきます。
 私は、文部科学省サイバーセキュリティ・政策立案審議官の菱山でございます。本日、進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 外部有識者の皆様におかれましては、先週に引き続きまして、お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。本日におきましても、長時間にわたる議論になりますが、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。これからの時間は、医療分野の研究開発の推進について御議論を頂きたいと思います。この時間の取りまとめ役は松浦亨先生に務めていただきますので、よろしくお願いいたします。
 初めに事業概要の御説明をいたします。事業担当課は5分以内で簡潔に説明をお願いいたします。
 では、よろしくお願いします。
【説明者】  ありがとうございます。文部科学省ライフサイエンス課長の仙波と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、資料1ページ目は論点等説明シートでございますので、おめくりいただいて2ページ目を御覧ください。本事業、医療分野の研究開発の推進は、事業開始年度が平成27年度、31年度の予算規模としては約531億円となっておる事業でございます。
 事業開始の背景といたしましては、従前、医療分野において文部科学省、厚生労働省、経済産業省がバラバラに研究開発を実施し、基礎から切れ目なく研究開発を支援する体制が不十分であることなどが課題とされてきました。そのため、平成26年度、現政権において医療分野の研究開発の司令塔機能を作るため、この資料の根拠法令の欄にございます2つの法律、健康・医療戦略推進法と国立研究開発法人日本医療研究開発機構法を制定いたしました。司令塔の本部として、内閣に総理を本部長とし全ての国務大臣からなる推進本部を設置し、ここで先ほどの根拠法令の欄の隣の欄になります関係する計画、通知等の欄にございます健康・医療戦略や医療分野研究開発推進計画を策定しております。また、一元的な研究管理の実務を担う日本医療研究開発機構、略称AMEDを創設し、ページの中ほどの事業概要の欄にあるとおり、このAMEDで医療分野の研究開発を、基礎から実用化まで、一貫して推進しております。
 この部分を説明した補足資料を後ろの方に付けさせていただいてございまして、13ページ目の方は、健康・医療分野の政策体系についてというふうな形で、先ほどの背景と、それから健康・医療戦略の具体的な記述について抜き書きさせていただいております。
 また、14ページ目は、先ほど説明させていただきました体制について、模式図を図示したものでございます。このような体制の下、15ページ目にございますとおり、AMEDでは一元的な研究管理を実現するため、専門家1名を選定し、その下で複数の省の事業を統合的に推進する領域を9つ設定しております。
 具体的には、16ページ目にまず9つのうちの1つ目、オールジャパンでの医薬品創出プロジェクトの分担を書いている例を入れさせていただいております。こちら、横軸は研究の段階であるフェーズ、基礎研究から応用研究、非臨床、臨床研究・治験、実用化までというふうな段階を書かせていただいておりまして、緑色の文部科学省の基礎研究から、企業へとつなぐ水色の経済産業省事業、それから医療現場へとつなぐ赤色の厚生労働省事業へと連携し、最終的に実用化として企業による市販や医療現場への普及を行っていくことというふうな整理をしております。また、それを支える支援基盤をそれぞれの省庁で担当するというふうな形になってございます。
 ここに1名のプロジェクトディレクターを置きまして全体調整をしておりまして、一番下の欄にありますとおり、この体制の下、3省で、発足5年後に当たる2020年までに、まず相談・シーズ評価を1,500件、企業への導出(ライセンスアウト)を5件といったような目標を掲げて推進をしているというふうな形になってございます。
 本日の会合での議論対象である文部科学省部分については、アウトプットやアウトカムを整理したものを作成いたしました。少し戻りまして12ページの方に戻っていただければと思います。12ページの方のロジックモデルの中の左列、医薬品の欄をごらんください。医薬品では、インプットが29億円、これは先ほどの16ページの図に書かれた3省の医薬品プロジェクトの中での全体の14%に当たる金額でございますが、こちらの規模の事業を実施してございます。これを用いて、アクティビティのところにございますとおり、文部科学省では基盤を整備し、基盤を用いた創薬研究の支援を実施しているところでございます。
 アウトプットとしては、薬候補の化合物を提供した数と、代表的には基盤である放射光施設の外部利用件数をとってございます。それらの支援を行って、アウトカムとして創薬シーズの見つかった数をとり、厚労省等への事業へとつなげていくという流れを説明させていただいてございます。
 この図としては、インパクトには、先ほど紹介しました健康・医療戦略のゴールである真の健康長寿社会の実現や世界最高水準の技術を用いた医療の提供、経済成長への寄与を示しており、その下に参考として、3省で目指すキーパフォーマンスインデックス、KPIを一番下の枠に、5年中4年程度までの実績込みで書かせていただいてございます。
 中列が、革新的医療技術創出拠点、通称橋渡し事業についてまとめておりまして、インプットはAMEDのプロジェクトの56%を占める50億円、アウトプットで支援シーズ数。こちらは、初期アウトカムで企業リエゾンが決定している数、中長期アウトカムで医師主導治験へ移行した数で、厚労省事業への連携を書いてございます。
 右列が再生医療で、インプットはAMEDのプロジェクトの62%を占める91億円、アウトプットは再生医療の研究課題数と創薬研究課題数、中長期アウトカムが再生医療の臨床研究への移行数と創薬研究の臨床移行数で、経産省、厚労省事業への連携を書いております。
 本日、この場で御議論頂けることで、この事業をより良い方向に導けるのではないかと期待してございます。よろしくお願いいたします。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、私から本事業に関する論点について御説明をさせていただきます。お手元の論点説明シートを御覧いただけますでしょうか。
 3点ございまして、まず1点目として、事業をより効果的に実施するための今後の事業展開の在り方について、2点目として、健康・医療戦略等に基づき事業の成果を適切に活用されているかという点、3点目として、事業成果検証のために適切なアウトカム、アウトプットは設定されているかという点、以上の論点等について御議論をお願いいたします。
 済みません、外部有識者の皆様におかれましては、事業担当課への質問等を通じまして、無駄の削減だけではなくて、より効果の高い事業に見直す等の観点から御議論をお願いしたいと思います。
 また、質疑と並行いたしまして、適宜お手元のコメントシートへの記入をお願いいたします。説明者は外部有識者の皆様からの御質問に対して、簡潔明瞭に御回答をお願いいたします。発言を希望される方は、机上の名札を立てていただき、私から順に御指名をさせていただきます。
 それでは、皆様方からの御質問をお願いいたします。
 亀井先生。
【亀井委員】  御説明ありがとうございました。また、これまでいろいろな形で資料の方も整理をしていただいてありがとうございます。
 ロジックモデルについても、研究開発のマネジメントってなかなかロジックモデルが難しいんですけれども、そういう中で極めて丁寧に書いていただいたかなというふうに思っております。
 もともと、今、御説明があったとおりでありまして、健康・医療分野のいろいろな研究開発が経済産業省と厚生労働省と本省とで分かれていましたので、特に研究開発におけるいわゆる死の谷問題というのがあるんだと思うんですけれども、実際に基礎からやってきたんだけれども、これがなかなか開発につながらない。開発までやってきたんだけれども、なかなか上市しない、市場に出ない。こういった問題のところについて、今回の事業ではどういうところに工夫をされて対応されたのか、ちょっとまず具体的に御説明を頂けますか。これまで、多分、私たちは聞いてきたかもしれないんですが、今回、公開プロセスですので、改めてそこをお伺いできればと思います。
【説明者】  まず1つは、再生医療のような分野で、これまで我々が基礎研究で研究開発を進めてきたものを、臨床研究、治験というふうな形で医療現場での有効性や安全性を確かめる段階に進めさせていただくというふうな形でございます。そういったものを、我々の事業で、ここの中長期アウトカムにも書かせていただきましたとおり、再生医療研究であれば14件の研究がそういった段階にまで進ませていただいたというふうな形のことを考えてございます。
 また、橋渡しでも同じような形で、我々がシーズから育てていったものが、治験の段階にまで進ませていただいているものというのを育て上げさせていただいてきたというふうな形で、文部科学省の事業を次の段階に引き渡し、その次の段階の厚生労働省の事業にできるだけシームレスにつながっていくというふうな体制が、この4年間で出来上がってきたのではないかというふうに考えてございます。
【亀井委員】  ありがとうございます。
 実際に現場も拝見させていただいて、そこはまさに基礎研究と臨床とが、ちょうど基礎の先生と臨床の先生が実際にやっていらっしゃるというような案件も見させていただいて、そこも非常によく分かったんですが、恐らくこれ、制度設計として考えたときに、そちらがおっしゃらないんでこちらから申し上げると、多分、例えば事業を長期化するとか、従来の科研費とか、あるいはほかの研究費等々では賄えないようなやり方というところに一つポイントがあるんじゃないかなとは思うんですが、これはいかがでしょうか。
【説明者】  おっしゃるとおり、それぞれの省庁がそれぞれの目的に従って事業を立てているものでございますので、フェーズが上がればそれぞれの違う目的の事業に移り変わっていくというのがシームレスにつながっていくことが、先ほど先生がおっしゃられたような、事業を単純に長期化するんではなく、上手くつなげていく形ではないかというふうな形でこの制度が出来上がっているんだと我々も理解しておりますので、そこのところを頑張っていきたいと思います。
【亀井委員】  ありがとうございます。
 逆に長くすると長くしたで、今度、逆にどこで辞めるかという判断も非常に難しくなってくると思いますので、そこは是非工夫をしていただきたいなと思うんですが、もう一方で、実際に現場の先生方とお話をさせていただいて、あるいはまた私自身もいろいろと関わっている中で感じているのは、特に日本が強い研究開発とか技術って、大体、特に日本人の、多分、手先の器用さがうまく生かされているようなところがあるような気がしていまして、実際にもちろんそこの代表者たる先生方がいろいろな形で研究開発をされているということはあるものの、もう一方で、それを支える既存的な、基盤的なことを支えている人材というのが、これは実は結構大事なんじゃないかなというふうに思っております。
 逆に言えば、先生方が幾ら考えたとしても、彼らがいなくなれば、これはその大事な技術そのものが我が国の中で醸成することができない、場合によると大事な技術そのものが諸外国にとられてしまう、あるいはその果実そのものがとられてしまう懸念というのがあって、ここは実は、別に外国だからいけないとかというわけではないんだと思うんですけれども、研究開発を守っていくだとか、ある種の安全保障的観点からも、あるいは産業競争力の観点からも極めて重要なところだと思っていまして、ここら辺の幅広い、ある種トップを担う人材もそうなんだけれども、実は技術の基礎を担っている人材を抱えていくということも重要だと思うんですが、ここら辺の御認識はいかがですか。
【説明者】  おっしゃるとおりでございまして、我々、様々な形で政策の立案をしていく中で、現在の状況を分析していく中で、研究を支えていく基盤というものが、研究の進展の速度も速いものでございますから、昔ながらの基盤をそのまま持っているだけではなくて最先端の基盤、しかもその技術が使える人材、そういった方々が研究そのものを支えていけるような体制を作り続けていかないといけないというふうなことが議論になってございます。
 実際、そういうふうな議論を、政府の中で、今月、作りましたバイオ戦略の中でも議論をしましたし、健康・医療戦略の中でもそういった基盤というものの大切さというのも議論しておりまして、次の次期の健康・医療戦略の中でもそういったものの重要性というのが述べられていくように我々も頑張っていきたいと思っておりますので、そこが足らないという部分は十分認識しながら、それをどのように実現していくかというのは考えていきたいと思います。
【亀井委員】  ありがとうございます。
 1つ、事業がやはり長期化しているというのは、私、極めてこれ、重要なところだと思っていて、それによってその基礎から、それから次のフェーズ、研究のフェーズ、基礎研究からさらには開発のフェーズ、さらには上市のフェーズという形になってきて、できれば本当はその上市のフェーズが見えてきたところでもうちょっと民間資金が入ってくるということがもちろん望ましいんだけれども、一方で、多分、文科省がなぜ担っているのかというと、今もまさにお話があったととおりで、技術を担う人の部分というところをどういうふうにしっかりと手当をすることができるかというところは極めて重要になってくると思います。
 どうもこれまでの私たちの頭が、人手は足りている、十分あるんだというような発想で政策を組んできた発想があるんだけれども、多分、人手不足の時代に急速に入ってきている中で、こういう人材をどういうふうに確保するのかというところについても、是非頭の中に入れながら、この事業を通じて見えてきた課題を是非次の政策に生かしていただきたいなというふうに思います。
 とりあえず私からは以上です。
【説明者】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、伊藤先生、川澤先生の順番でお願いします。
【伊藤委員】  今の亀井委員の話につながるところもあるんですが、私、多分、10年ぐらい前からこの研発法人の前の独立行政法人の見直しのところからずっと関わってきている中で、あの当時の一番のこの研究開発における問題点って、先ほど亀井委員がおっしゃった死の谷というのか、各省でそれぞれ研究をやっているところが、基礎研究と応用研究、なかなか結びついてこなかったというところがあって、多分、それを変えるために、今回、特に医療部分についてはこのAMEDが出来上がったと思っているんですが、実際に、これ、27年度からですから、4年たった中で2つお聞きしたいんです。
 1つは、今まで、少なくとも独法の中では私は課題があったなという認識を持っているんですが、それがこのAMEDができたことによって一元化をして、今回もまずはAMEDが、一旦、予算をとった上で、AMEDがいろいろな研究に割り振っているというふうな仕組みになっていると思うんですが、それによる何か変化、27年度以降の変化があったら教えていただきたいのと、具体的に、研究の中でもAMEDが出来上がったことによって、例えば今まではなかなか結び付かなかったところが、こういうことになって、少なくとも今回のロジックモデルで見ると、アウトカムのところは明確に数字が出てきているというのは、これはちょっと今回、10年前の独法の見直しの資料、たくさん見たんですが、ここまで数字が出ていることが本当になくて、というところ、私はこれ、全てポジティブな意味でお話をしているんですけれども、そこについて、役割のところと、実際の研究の中身のところで何か変化があったところを教えていただきたいと思うんですけれども。
【説明者】  実際に、我々ライフサイエンス課にいる人間が厚生労働省の研究開発振興課とか、経済産業省のヘルスケア産業課といったようなカウンターパートに当たるところの役所と緊密な連携、本当に毎月のように会議、AMEDを介した会議でもありますし、健康・医療戦略室を介した会議でもあるんですけれども、そういった場を含めて、顔を合わせ、議論をし、なおかつそういった場でいろいろな宿題を頂くような形になってございますので、それを解決するためにバイの関係で経済産業省と相談をさせていただいて、その解決方法を探っていったりというふうな密な連携と、そのカウンターパートが最初からよく分かるようになった、見えるようになったというのは、このAMEDができて、文部科学省の中で感じる大きな変化だというふうに感じてございます。
 それから、後者の方が、済みません。
【亀井委員】  たまに褒められるとね。
【伊藤委員】  AMEDができたことによる褒められた変化が。
【説明者】  済みません、本当に。
【説明者】  その前に、ちょっと1つ目の点で補足をさせていただきますと、具体的に申し上げると、今、課長は役所間連携のことを申し上げましたけれども、実際にAMEDの事業運営の中でも、お互いのPS、POという、研究進捗を管理する部分、具体的に言うと、橋渡し事業なんかにおいては、それぞれのPS、POというのがそれぞれの事業に本当に行き来して、もう非常に会議の場のみならず、研究現場レベルでもそういった連携をしているというところがございます。これはやはり一つAMEDの事業運営の特徴かなと思っておりまして、それによって成果が出てきているというところもあるのかなというふうに考えております。
【説明者】  2つ目の点ですが、少し御質問をそのまま回答としてお返しする感じになってしまうかもしれないんですが、今、仙波なり佐藤なりから申し上げたような、連携というのがなし得たからこそ、このKPIってある、きょう、附属している資料のフェーズルーラーと呼んでいる、16ページ以降の下側にKPIがそれぞれ書いてありますが、ごらんいただけると、どちらかというと出口寄りの指標になっておりますが、こういったものも、まさに伊藤先生、おっしゃったように、しっかりとした指標を達成できるようになってきている、それは文部科学省の基礎研究の成果が厚労省や経産省につながったことによって、こういう出口寄りのKPIが、それも革新的なKPIが達成できるようになってきているという、ちょっと大枠の御回答になりますけれども、というふうに認識しております。
【伊藤委員】  ありがとうございます。
 多分、AMEDができることによって今の大きなメリットがあったという話だと思うんですが、ここはこの後も含めた要望にもなるかもしれないんですが、研究開発法人の1つの大きな特徴として、独法よりも自由度が高くなっている、弾力性が大きくなっているというところが、今みたいな連携のとりやすさにもつながっているというふうに私は捉えている方なんですが、ただ、だからといって全てそれでいいということだけではなくて、先ほど亀井委員からお話があったような、周期設定であったりとか。
 もともと独法時代の基礎研究のときというのは、なかなかこういう研究というのは成果が出にくいのでという理由の中で周期がなくなってしまって、結果的に金額だけが膨らんでいくということが多くて、今回、まず一つ大きな違いは、先ほどお話があったアウトカムが明確に数字として出ているということが重要だと思っているし、それが出ていると思うので、だからこそ周期設定を一定程度、この後も考えていきながら、もちろんこれは全てにおいて、この研究は何年までにどうしますということではなくて、一定程度を考えながらやっていくことが必要じゃないかなと思うんですが、もし御意見があればお願いいたします。
【説明者】  ありがとうございます。
 現在、もう文部科学省の事業、このAMEDという体制に入った中でも5年というふうな1つの区切りでそれぞれの事業を見直すというふうな形を考えてございます。3年目で中間、5年目で事業終了をさせて、その中で必要なものを次の新しい事業に立ち上げるというふうな形の体制は、今も保っているような形にしております。
 ですので、こういった形で事業が周期なく終わらないように、我々自身も常に見直せるようにというふうな意味では、基本5年というふうな周期を保ちながら事業をさせていただいておるというのが今の状況でございます。
【伊藤委員】  最後、もう1点だけ、今の5年の一定の周期というのは、独法でいくと5年で結構厳格に一旦切って、ある意味、手続を踏まない限り次に行かない、第2期に行かないということになると思うんですが、今のお話は、多分、研究開発法人はそこまでのルールがなってなくって、AMEDとしてちゃんと一定程度、5年でまずは見直しをして、この後、成果が生まれないものについては辞めるという選択肢もあるというような捉え方になるんでしょうか。
【説明者】  済みません、事業として終わる形を考えてございまして、新しい事業を立ち上げるときに、前の事業の中で必要だというふうな形の評価をされている部分を取り入れながら、全く新しい事業を、半分半分みたいな形です、新しいものと引き継がないといけないものというふうな立て方をさせていただくというふうな形でございます。
【説明者】  もう1点、済みません、周期の更新の話も非常に大事だと思うんですけれども、その周期の中でというお話で申し上げますと、先般、皆様にも御視察頂いた慶應義塾大学の方において、厚労省の臨床に取り組んでおられる教授の先生から、同じ周期の中で基礎からのアプローチ、それと臨床からのアプローチというのを、両方向かつ同時に進めることができたと、これは非常に重要だったというような御意見を頂いたところでありまして、そのようなところも、現場の研究者レベルでも適切な連携がなされているというような実感を持っていただいているというような御認識を紹介いただいたことを、参考で紹介させていただきます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】 川澤先生、お願いいたします。その次、吉田先生。
【川澤委員】  先ほど亀井先生から事業の長期化についてのお話があったと思うんですけれども、長期化をすると、より必要なのがプロジェクトマネジャーで、全体を見る役割だと思うんですが、もう少し具体的な役割と、どういうプロジェクトマネジャーの活躍ぶりというんですか、あるのかというところを教えていただけますでしょうか。
【説明者】  AMEDにおいては、先ほど13ページで見ていただいた9つのプロジェクトには、プロジェクトディレクターというふうな形で1人の人間をアサインして、それぞれの仕事を、連携を見ていただいております。その下にそれぞれの省庁の事業を担当するPSというふうな形の名前で、プロジェクトスーパーバイザーというふうな人を置いて、それぞれの事業を担当して見ていただいてございます。
 その文科省の事業の中で、公募する部分と公募をしない部分とか、事業の中にもそれぞれの小さな事業の、小事業単位というのがあるんですけれども、その小事業単位ごとにプロジェクトオフィサーという、POというふうな人をそれぞれごとに張りつけて事業を管理していただく、課題管理をしていただくというふうな形になってございます。プロジェクトマネジャーを3段階に分けて、それぞれ連携を見る者、事業全体を見る者、個別事業を管理する者というふうな形での管理体制をとって、事業を見させていただいてございます。
【川澤委員】  そのときに、まさに今回は9つのプロジェクトが走っているわけですけれども、それぞれのプロジェクトディレクター等の経験というのは非常に重要だと思っておりまして、まさに新しい事業を展開するときに、また同じ人がなるべきだというわけではなくて、そこの知見をどう生かしていくかというのも、その内部の、各省間の連携だけではなくて、プロジェクトディレクターの経験をどうつないでいくかというのも必要だと思うので、その辺りは仕組みがあるんでしょうか。
【説明者】  まだ始まって4年でございますので、最初のプロジェクトディレクターの方々がまだ引き続いているような形のところが多いというふうに考えてございます。ただ、プロジェクトディレクターそれぞれの知見自体をAMED自身がためておいてというか、その知見を文書化して、それを引き継いでいくことで、プロジェクトディレクターの交代があった場合でもその知見が続いていくというふうな形はできるんではないか、そういう意味でもAMEDという組織というのが永続的にこのプロジェクトマネジャーの方々を支える組織としてあることが大事なんじゃないかというふうに感じてございます。
【川澤委員】  済みません、もう1点、ちょっと違う観点なんですけれども、先ほど12ページでロジックモデルの御説明頂きまして、今回はやはり以前の取組と違って、かなりアウトカムの指標設定、具体的な数値設定がされているというお話がございましたけれども、今のアウトプットが、例えば橋渡しですとシーズが30年で1,254件あって、企業リエゾンが決定したのが288件で、中長期アウトカムが27件という形で、治験が27件というのは、2020年までの達成目標の数値を見ると、おおむね順調に進捗しているのかなというふうに考えているんですが、初期アウトカムの段階に、企業リエゾンの決定している数、このあたりについてはどう評価されていらっしゃいますか。かなり取組が進捗しているかどうか、その辺りはいかがですか。
【説明者】  そこのところはなかなか両面あるというふうに感じてございまして、企業リエゾンがくっついても、なかなか治験までまだ進まないものというのが数多い部分というのは、もしかすると努力できる余地があるのかもしれないというのは感じてございます。
 ただ、一定程度、企業リエゾンがついた中から、こういう形で治験にまでどんどん進んでいくものが出てきているというのは、一つ我々としてもうまくいっている部分じゃないかと思いますので、ただ、その比率というのが、どれぐらいのものが我々の事業のインプトッとに対しての比率が妥当なものかどうかというのは、少しこれから研究の余地があるんではないかと思っておりまして、我々としても努力をしていきたいと思います。
【川澤委員】  恐らく、最後のKPIが2020年までの達成目標なので、今度の次の達成目標については、この初期アウトカムの達成状況も踏まえて、中長期アウトカムを設定し直す必要があるんだと思います。ですので、ある意味、そこの初期アウトカムについてどう評価するかというところと、もう少し中長期アウトカムについては戦略的に指標を設定できる余地があるのではないかと思いまして、ここは要望といった形です。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  では、吉田先生。
【吉田委員】  ほぼもう質問出尽しちゃった感じがするんですけれども、まず細かい話からお聞きしたいと思います。レビューシートの1ページ目なんですが、いわゆる予備費が充当している、これ、RPISMの内閣府からのお金だと思いますが、ずっと毎年度、繰り越しが出ていますね。きのう、ちょうど内閣府のレビューがあって、PRISMの議論をしたところなんですけれども、本来は80億程度の追加配分があって、かなり進捗の加速度化、それから前倒し化というのを図るということで、この追加配分が毎年度行われていると。
 その中で、まず繰り越しが毎年度あるというのは、特に30年度、14億ぐらいあるんですが、これは何か事情があったんでしょうか。
【説明者】  繰越し自体はそれぞれの年度で様々な理由があるんですが、この14億については、長崎大学のBSL-4施設の契約を、当初、これ、国庫債務負担行為でとっておる形で、2年間でとってあった当初の額が予定されておったんですけれども、様々な、数年契約の締結の仕様というのの調整に時間を要しまして、初年度にその契約ができなかったために繰り越して、次の年になってしまったというふうなのが1つございます。
【吉田委員】  分かりました。大きな致命的なあれではないということですね。
【説明者】  あと、予備費の部分は、我々の場合、健康・医療分野の場合は、調整費というふうな形で健康・医療戦略本部の方から配られるというふうな形になっています。
【吉田委員】  なるほど、分かりました。
 先ほども話が出ていましたけれども、2020年度の目標設定というのは非常に重要な、これ、中長期アウトカムに近いものだというように認識していますけれども、これに対しての進捗状況の管理というのは、数値化なり、いわゆる評価項目を挙げてやっている状況なんでしょうか。
【説明者】  そうでございます。これは、健康・医療戦略本部の中に健康・医療戦略推進専門調査会というふうな調査会を置いて、こちらの方で毎年、進捗を管理しながら、最終的な評価にまで至る部分がどういうふうになるのかというのを評価頂いておるような状況になってございます。そこの中では、数字だけではなくて、その数字に至る活動がどうであったかも含めて様々な評価をさせていただいています。
【吉田委員】  効果測定だけじゃなくて課題抽出もやっているということですね。
 今回、この事業で非常に注目しているのは、先ほどから話も出ていたとは思うんですが、複数のプロジェクトをプロジェクト化して、なおかつそれも進捗管理をするというプロジェクトマネジメントの三重構造になっているわけですね。これが非常に功を奏しているというふうに評価しているんですが、その中で、だから、事業周期という言葉が先ほど出ていましたけれども、これもどの事業のことを言っているんだという話になると思うんです。プロジェクトが複数あって、なおかつそれぞれがマネジメントをしていて、統括のマネジメントもあって、橋渡しのマネジメントがあると。非常に難しい仕組みになっているんですが、先ほどから出てきたプロジェクトダイレクターはじめ、3段階のマネジメントをしているメンバーの方々は、どういう方々が具体的にはなられているんでしょうか。
【説明者】  1つには、プロジェクトマネジャーの方で言いますと、創薬で言えば元アステラス製薬の方に着任していただいて全体を見通していただいているとか、機器であれば、医療機器センターの理事長に来ていただいて見ていただいているとかというふうな形で、それぞれの分野、産学官を通して見るのにふさわしい方に着任いただいているというのが今の現状でございます。
【吉田委員】  ただ、日本の場合、プロジェクトマネジャーの、これ、世界的に見てもそうなんですが、正式な資格とか、別に認定があるわけではないんですね。業界によりますけれども、基本的にはプロジェクトマネジャーをできる人材というのは非常に不足しているのが、文科省の管轄だけじゃなくて、ほかのITも含めていろいろな分野で出ている。今回は、非常にこれ、いい経験値になると思うんですね。今回のプロジェクトダイレクターはじめ、プロジェクトのマネジメントに当たっている方々の知見とか、それから経験を、今後、どう生かしていくかと。これはシステム化すべきだぞと。
 先ほど少し話が出ていましたけれども、単に記録するだけじゃなくて、これを次の人材育成の方へもし生かせるならば、非常に科学技術の分野には大きな財産になるんじゃないかと思うんですが、何かお考えであれば。
【説明者】  できるような話があるのかを、実際に現場を見ていただいているAMEDとも相談しながらうまい方策を考えていきたいと思いますし、マネジメントに関わっていただいた方に少しずつ、長期になるのかもしれませんが、POをやっていただいた後、PSをやっていただくとかというふうな形で、個人が知見としてどんどん集積していっていただくというのはあると思います。
【吉田委員】  そうですね。AMEDの中に、是非そのノウハウを蓄積するような仕組みを作っていただきたいというのが要望です。
 それから、もう一つ、プロジェクトマネジメントの視点から見ると、先ほど説明でおっしゃっていた、実は基礎、臨床、その先の実証のところも同時並行で動いている部分がある。プロジェクト推進の上で、これは非常に大きいと思うんです。このノウハウは、多分、僕、長くやっていますけれども、こういった動き方をしているのは初めてだと思うんです。この知見は、是非、今後のこういったプロジェクトに生かしていただきたいというふうに思っています。
【説明者】  ありがとうございます。
【吉田委員】  最後に、先日、現場へ行かせていただいた後のレビューで私の方から発言させてもらったんですが、このプロジェクトだけじゃなくて個々のプロジェクトを見てもそうなんですが、前に文科省のスーパーコンピュータ京の評価員もやらせてもらったときも思ったんですが、問題は現場の人材、人手不足。特に期限付き任用、これ、しようがないですね。期限付きのプロジェクトで行っているので。この期限付き任用の方の人材確保が非常に難しくなっている。
 だから、そこに対して、この事業の問題ではなくて、全体的な問題だとは思うんですが、多分、期限付きであればあるほどある程度の優遇措置をしないと、なかなか不安定な職業になりますから、人手を確保するのは難しいと。その辺に関しても、このプロジェクトの中で、実際、慶應義塾大学でもそういう話を聞きましたので、1つの大きなボトルネックになっているので、この問題、ここで解決するというよりは、文科省全体の話として取り上げていただけたらなと思います。
【説明者】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、有川先生、松浦先生の順でお願いします。それから、恐縮ですがコメントシートの記入も同時にお願いいたします。
 それでは、有川先生。
【有川委員】  行政事業レビューシートの3ページを見ていただいて、アウトカムの3つ目のところにあります橋渡し研究の目標値なんですが、28年度の段階でほぼ、事業始まって翌年度には大体実績が目標値に近い数字が出て、以後、どんどん伸びているんですが、目標値については32年度も同じ数字がセットされている。このあたり、当初の目標値が低かったのか、あるいは目標値は妥当であっても、それ以後の実績が非常に伸びている要因があるのか、さらには、こういう状況を踏まえて、目標値を変えないのはどういう理由なのか、ちょっと教えていただきたいんですが。
【説明者】  済みません、当初の目標値はそれほど低いものとは思っていなくて設定をしたんですけれども、済みません、この世界、過去の積み上げというふうなものになってくるんでしょうか、橋渡しにつながるまでに、その前身の事業、さらにその前身の事業というふうなものがございまして、そこで掘り起こしてきて、引き続きその成果を実用化していくというふうな中で、ちょうどタイミングよく成果に結びついてきたものがあったものですので、高い数値が出てまいりました。
 その高い数値が出てきた中で目標値を変えていないというのは、そこは我々の少し見直すべきところだと思いますので、今回のお話を基に考え直してまいりたいというふうに思います。
【有川委員】  数値が上がっていることは大変結構なことなので、適切に目標値を変えることは可能だということですかね。
 あと、レビューシートの6ページを見ていただきたいんですけれども、内閣府から文科省への矢印、文科省からAMEDへの矢印が、どういう資金の中身なのかがちょっとわからないので、資金の内訳をちょっと書き込んでいただきたいのと、それから、AMEDからいろいろ支出が流れているうちのBのいろいろな物品の購入とか、あるいは企業への委託とかの契約なんですけれども、内訳を見せていただくと、やはり1社入札とか、あるいは競争が行われても高落札率、100%落札率というのも目につくので、こういったものをAMEDだけに任せるんではなくて、やはりそれぞれの、3省庁ですか、の立場からも契約管理とか、そういったものにサポート体制をとる必要はないんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。
 それぞれ、済みません、内閣府から出てくるそれは、先ほどちょっと吉田委員からも御指摘のあった年度の途中で追加される調整費というふうなお金の方がこの内閣府の方から出てきて、当初予算の文部科学省のところからそのまま行っているのは当初予算の方になってございますので、そこのところは何かここのレビューシートに追記することができるのかどうかは少し精査させていただければと思います。
 それから、Bの内訳の中は、なかなか一つ一つ、一応、確認はしておるところなんですが、それぞれ実際に事業の趣旨として、一番上のThe New York Academy of Scienceであれば、このInterstellar Initiativeというふうな名前の事業をやってございます。これは日本の若手研究者が海外の若手研究者と一緒になって新しい分野を開拓するというふうな形でございまして、それを一緒に若手研究者を選び合ってそういうシンポジウムを開こうというふうなことを諸外国に声をかけたところ、手を挙げたところがThe New York Academy of Scienceだけだったものでございますから、それの契約というのは特命随契というふうな形で、それがこの様式上は随契その他というふうな形に、随契というふうな形になってしまう、そういった政策的に選ぶところがなかったような事業についてなってしまうのが、このBの一般競争と物品購入の中には多い形になってございます。
 それで、一応、AMEDの中にも契約審査会等があって、そういった個別の政策的な事情でこれが随意契約になっているのか、それとも恣意的なことがないのかというのは審査していただいておりますので、その審査を我々、それぞれの役所の方が事業としても確認をしている体制は作らせていただいておるところでございます。そこでもう少し何か補足することができるようであれば、この様式の中にも書き込んでいきたいとは思います。
【有川委員】  様式にすぐ書き込むというのはなかなか難しいとは思うんですが、組織のやっている研究とか目的が非常に大きくてすばらしいものですが、逆に執行の手段が目的を阻害することのないように、適切な執行が行われるように、とにかく心配なのは組織がまだ出来上がったばかりというのと、単独の省庁じゃなくて3つの省庁がお互い牽制し合う可能性もあるので、是非連携してもらって、適切に機構の執行を適正な方向に持っていっていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
【説明者】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  最後に松浦先生、取りまとめて恐縮ですが、お願いします。
【松浦委員】  どうぞ。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  亀井先生。
【亀井委員】  済みません。逆に言うと、さっき伊藤委員から話があったんですが、まさにここまで来たのであればということで、済みません、ややハードルを上げて言うんですけれども、例えば今日の資料で言うと、16ページから17、18、19、20、21から24までというのが、ああ、なるほど、こういうのをやっているんですねというのが、その研究開発のフェーズごとに何となくこれは一覧できますと。これはこれで結構なんですが、本来であれば、恐らく日本だけでカバーできていなくて、世界全体の中で私たちがどこにいるのかという、ある種のポジショニングが分かるようなものというのは、これ、研究開発のマネジメントにおいては、当然、必要とされるわけです。これ、多分、御存じだと思うんですけれども、多分、そういったものが、ある種、競争関係も含めた技術マップというものが網羅される必要があるのかなと思います。
 つまりどういうことかというと、私たちはどこで勝っていてどこで負けているのかということが見える必要というのはあって、ここら辺も見せていく必要があるんだろうなと思います。恐らくそういうところが見えてくると、この後、これが大体、一巡したときに、どこに、次、投資したらいいのかというところの道筋が見えてくる。もう負けているところに投入していくというのはなかなかしんどいわけです。そうなると、勝ちパターンがあるところにどういうふうに投入していくのかというところも見極められるので、是非そこもやってほしいなというのが1つ。
 2つ目は、今回、見えているようで見えていないのが、何件、何件、何件といって、件数ベースは私たち、見えました。ただ、投入金額に対するインパクト、つまり加重平均したときの成功しているかどうかというところについてはちょっと見えにくかったなという感じがしていて、そういったものも全体像としては示していく必要があるんだろうなと思います。
 恐らく、これはAMEDも含めてお手元にはあるんだと思うんですが、ロードマップがあるんだと思うんです。進捗に関するロードマップ。このロードマップと、それに私たちが投下した資本、それは基本的にはお金と人なんだと思うんですけれども、その投下したものに対して、かけたものとかけていないものでどういう勝敗になっているのか。予定どおり進んでいるのか、進んでいないのかみたいな、ある種、研究開発のマネジメントの場合には、極めてまず進捗が大事だと思いますので、この辺のまずこの2つ。
 それから、その上でなんですが、さっきの技術にもう1回返ってくるんですが、技術のマップをもう1回使うのはパテントマップみたいなところで、これを実際に、これ、なぜ死の谷が起きるかというと、1つの要素技術はできたのに、本当は上市しなきゃいけないときに組み合わせる要素技術を実はうちが持っていなかったとか、競合が持っていたとか、とてもじゃないけれどもくれない国が持っていたとか、こういうことがあるわけです。まさにそこら辺の要素技術の組み合わせみたいなところも見るときに、ある種の技術マップというのは必ず必要になってくると思いますので、この辺は研究開発の教科書に載っている話でもあるし、それにのっとって皆さん、やっていらっしゃると思いますし、私なんかよりもよほど知見が高いと思いますんで、是非そこら辺を今度はもっとより見えるようにしていただくと、これはさらにいい感じになっていくんじゃないかなと思いますので、是非御検討いただきますようよろしくお願いいたします。
【説明者】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  松浦先生。
【松浦委員】  私、ほとんどもうコメントすることがないんですけれども、拝見させていただいた視察先の慶應義塾大学に関しては、非常にうまくいっていたということを実感して拝見しましたが、1つ質問で、あのプロジェクトというのは基礎系のファンディングと臨床系のファンディングとがたまたま一致したんですか。それとも同じ目標が設定してあった中で、両方が採択されたということなんでしょうか。
【説明者】  済みません、採択という意味では、先に岡野先生の基礎的なものが採択をされ、その中で進捗が見えてきて、これが臨床研究に行けるというふうなものが見えてきた中で、先んじてそれに必要な準備をするために中村先生の事業が採択をされ、そこのところがうまくつながっていくというふうな形になりました。
【松浦委員】  ありがとうございます。非常に今まで実施したものの中では、レアケースのように上手につながったなという感じで拝見していたんです。
 もう一つ、これも他の委員の方々がコメントされていますけれども、このプロジェクト自体は主な大きな柱が9本ということですが、このプロジェクト、9つに関してのサステナビリティなんですけれども、要するにこの9つのプロジェクト、大きな柱の中で、それぞれ幾つかずつのプロジェクトが採択されているんだと思うと。それを担っているのはいろいろな技師であったり、若手の院生であったりと、こうなるんですけれども、そこで任期ということがやっぱり引っかかるんですけれども、普通、技術系、理科系で5年というと、全く何もできないところからスタートして、何とか主張を立ててできるようになるのが3年目、5年目になってようやく人を教えられるころになくなっちゃうということを繰り返すんです。
 だから、9本の柱がどの程度の持続性を持っているのか、それに従ってそれぞれの事業が設計されているのか。要するに5年で本当に大丈夫なのという、今、含めて、ちょっとお聞きしたいんですけれども。
【説明者】  そういう意味では、このAMED全体の健康・医療戦略というのが5年ごとに見直すので、そこの枠が5年というふうな形になりますが、5年ごとに見直される枠の中で、引き続き実施されるものというのが、必要なものは継続しながらというふうな話で、伊藤先生との議論の中でも少し紹介させていただいたんですが、具体的には再生医療、iPSなどであれば10年間やらないといけないというふうな形になってございますので、見直しがあった中でもそれは続いていくというふうな形にはなってございます。
 ただ、大きな枠組み自体が5年ごとに切りかわっていくというふうなことは変わらないので、そういうふうな全体の研究デザインが5年ごとに変わる中で若手研究者をどのように支援していくのかというのは文部科学省としてもずっと考えて、そういうふうな若手研究者支援のパッケージを作っているところでございます。そういった中で、若手の方々が、プロジェクトが終わることだけで仕事ができなくなるというふうなことにならない世の中を作っていくことができるというのが1つの解決策だと思っていますし、また我々の事業のように、それぞれが産業界、若しくは病院といった臨床現場と結びついている中で、その若手の方々がステップアップをしていく、そういった企業の中に入っていくだとか、そういった臨床現場から病院の現場に入っていって、そこで活躍していただくというふうな形で、若手の方々に成長していっていただくというのも1つのパスじゃないかと思っていますので、2つ、そういったプロジェクトに左右されない若手の活躍の場、さらにこのプロジェクトの中で得たものを得て、このプロジェクトの先にある起業化、実用化の世界に入っていただく、その2つのキャリアパスを考えていくことで、若手の方々の活躍できる場を作っていきたいというふうに思っております。
【松浦委員】  ありがとうございます。大体お考えは理解いたしました。
 ほかの案件で、いわゆるベンチャービジネス、起業させる人材を育てるというのがあったんですけれども、そういう意味では、このプロジェクトに関わった若い方々がずっとここにいるということもないんだと思うんです。ただ、まだ日本の考え方としては、終生雇用みたいな感じのところがあるということで、キャリアアップできるシステムというのは是非御検討頂きたいなと思います。
 それと、最後の感想ですけれども、さっきちょっと計算していたんですが、インパクトというか、最終的アウトカムのシーズに対する比率が2%。これは、非常に正直に申し上げて結果としてはかなりいい方だと思います。100から300の研究をやって1つ当たるかどうかという、そういう世界で2%が何とか企業にまで結びつく可能性が出たというのは、これはすばらしい結果だったと思います。
 ありがとうございました。
【説明者】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  松浦先生、大丈夫ですか。いいですか。取りまとめを。
 それでは、コメントシートの集計もまとまりましたので、松浦先生から評価結果取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【松浦委員】  それでは、まず皆様の票の分布でございますけれども、現状どおりという方が2票、それから一部見直しをしていただきたいという票が4票ということになります。
 代表的な御意見をちょっと御紹介させていただきます。まず、一番最初に評価されたことというのは、各省庁間でバラバラに進んでいたプロジェクトを1つにまとめて執行する組織ができて、これが機能しているということが確認できたということは大きな成果であると認識しますと。そのかわり、今後ともそこの連携がスムーズにいっているかどうかは、是非きちんと評価していただきたいという御意見。
 それから、全く同様ですけれども、こういうようなプロジェクトを立てたときに、マネジメント、マネジャーというのは非常に重要な役割を担うので、是非ともそういう人材の育成と確保にも努めていただきたいという御意見。
 それから、やはりこの案件の中で一番大きな御指摘は、今までデッドバレー、各省庁間の予算でバランバランに研究してきたために連携できなかったというところが大きく解消されたと。残るは、そういうことを担う人材をいかにして育成していくか、確保していかということで御努力を頂きたいと。
 あと、ロジックモデルですけれども、個々の事業についても把握できるような作り方にもうちょっと検討していただきたいという御意見。
 それから、アウトカム、最終的なインパクトを高く設定しすぎると、先ほど私が申し上げたように、こういう基礎研究から果実がとれる確率というのは世界的に分かっているわけですけれども、大体、もう300件に1件か2件という辺りの確率ですので、余り高い目標を設定してしまうと、せっかく努力して作り上げたこの組織自体の評価が悪くなるというようなことなので、逆にその辺をもうちょっと世界的なことを考えて検討していただきたいと。
 大体、このようなお話でまとまるかと思います。
 一応、現状どおりが2票でございますけれども、限りなく現状どおりという一部改善もあるということで、一応、非常によくできているけれども、一部、もう少し努力をお願いいたしますという評価にしたいと思います。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
【説明者】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして医療分野の研究開発の推進の公開プロセスについては終了をさせていただきます。
 次は私立大学等研究設備整備事業でありますが、開始は予定どおり14時50分からということにしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
( 休憩 )
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、2コマ目を始めさせていただきます。
 これからの時間は、私立大学等研究設備整備事業等について御議論を頂きたいと思います。
 この時間の取りまとめ役も松浦先生に務めていただきますので、よろしくお願いいたします。
 初めに、担当課から事業概要の説明をいたします。
 それでは、5分以内で簡潔に説明をお願いします。よろしくお願いします。
【説明者】  よろしくお願いいたします。
 お手元の資料のPDFのページ、2ページを御覧くださいませ。そちらの方にございます、まず事業目的でございますけれども、大きく2つございます。1つ目は、大学等における教育研究設備等の支援ということで、その条件の維持向上を図るということを目的としてございます。
 2つ目でございますけれども、今度は高等学校等におけますICT教育を実施するために必要な設備の支援ということで、こちらも教育条件の維持向上を図るということを目的としてございます。
 事業概要、その下の枠でございますけれども、大学等におけます研究や教育の設備につきまして、こちらの方、その掛かる費用の一部を補助しているものでございます。内容は、研究、実験に使う分析や計測の機器、また、標本や図書等を支援してございます。
 マル2でございますけれども、高校のICT教育設備の整備ということでございます。こちらも、掛かる費用の一部を支援しているということでございます。内容は、コンピューターやソフトウエア、処理機器、また、それに伴う工事の費用でございます。
 お手元の資料、恐縮でございます、PDFのページ、9ページ目にロジックモデルというものを入れさせていただいておりまして、そちらの方を開けていただければと思います。よろしいでしょうか。こちらのロジックモデルの方は、先生方からのいろいろな御指導を頂きまして、徐々にブラッシュアップさせていただいているものでございます。
 こちらの事業におきましては、これまでアウトプットにつきましては、両方とも補助金を交付しました学校法人数、そしてアウトカムにつきましては、学生や教員1人当たりの設備、備品の資産額としておりました。これらの点につきまして、委員の先生方から、やはり一番重要なのは、この事業で購入したものがちゃんと、どれだけ実動しているのかということである、あとは減価償却と財務上の数字でアウトカムを表すのには無理があるでしょうという御指摘を頂いていた次第でございます。特に、高校のICTにつきましては、何を目指して、どこまで進んでいるのかを、事業の前提として示す必要があるという御指摘も頂いておりました。
 それを踏まえまして、見直しをさせていただきたいと考えております。具体的には、上の方、高校のICTにつきまして、まず何を目指して、どこまで今、立ち位置、進んでいるのかということについて、黒の点線で囲っておりますけれども、第3期教育振興基本計画の内容にのっとって進捗をしっかり把握するということ。また、状況把握につきましては、私立学校のICTの環境整備の状況について、我々、文部科学省の方でしっかり調査を行ったことが、お恥ずかしながらこれまでなかったものですから、その調査を今、もう既に私立学校様の方に状況を伺うことを進めてございまして、回収中でございます。今後は、その調査におきまして、アウトカム等を把握するためのフォローアップもやっていくということで、これによってしっかり状況を把握していきたいと思っております。
 アウトプットとアウトカムの整理につきましては、これまでのものに代えまして、アウトプット、まず、PC1台当たりの生徒数、普通教室の大型提示装置の整備率、また、校内LANの整備率、こちらは公立学校の主なものにのっとって、併せて設定をさせていただきたいと思います。
 アウトカムにつきましては、児童生徒の授業への満足度の上昇、また、ICTを活用した時間数の増加、少し悩んでおりますけれども、児童生徒の情報活用能力の向上といったものも考えられるかと考えてございます。
 大学等の緑の下の方でございますけれども、アウトプットにつきましては補助金を交付した学校法人数、アウトカムの方はどれだけ利用したかということで、こちらは多岐にわたっているものですけれども、教育基盤の設備については教員と学生の利用者数、利用時間数、機器や器具の類いにつきましても同様に、そして、図書につきましては利用時間はなかなか難しいかなということで、利用者数ということでアウトカムを見直したいと考えております。
 また御指導の方、よろしくお願いします。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、私から、論点について御説明をさせていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。
 3点ございます。まず、1点目としては、あるべき現状把握と全体像(ICT事業)を明確にした上での事業成果の検証という点、2点目として、これまでの事業成果を踏まえた今後の事業の在り方という点、最後に3点目として、事業成果検証のために適切なアウトカム、アウトプットの設定という点、以上の論点等について御議論をお願いいたします。
 それでは、外部有識者の皆様方から御質問をお願いいたします。説明者は、外部有識者からの御質問に対して簡潔、明瞭に御回答をお願いいたします。
 では、亀井委員、お願いします。
【亀井委員】  ありがとうございました。ただ、今回の場合、なかなか議論にならないと率直に思っているのは、まさに今、審議官からお話がありました、あるべき現状把握と全体像を明確にした上での事業成果の検証というところですけれども、このあるべき現状把握がない状態で、金額がそもそも、例えば大学に対しては約5億円を出しています、専修学校に対しては2億円を出しています、私立学校に対しては20億円を出していますと。これまでの事前のやりとりの中で、特に金額が多い20億円の高校については、そもそもベンチマークで高校生、特に私立学校の高校生がどのようなICT環境にあるんですかと。それを、維持なのか、改善なのか分からないですけれども、そもそも不足している状態なのか、飽和している状態なのか。事前のやりとりでは、ややばらつきがあるというようなお話、多分、そうなのだろうとは思うんですが、そこら辺のお話を頂いたんですが、今回、議論としては、高校があって、専修学校があって、大学があってと3つあるんですけれども、まず金額が大きい高校について伺ってみると、これは現状でいうと、まだ何とも把握ができてないと、こういう状況でよろしいのでしょうか。
【説明者】  実は、中学校と高等学校の団体で現状を把握しているものがございまして、現在はこれをベースとして状況把握と思っております。御紹介しますと、こちらのアウトプットで設定しています数字につきまして、私立の中・高等学校につきましては、現在、1台のコンピューターを4.8人で使っている状況となってございます。公立につきましては、参考でございますけれども、高等学校ですと4.6人ということでございます。また、普通教室の校内LANの整備率につきましては、私立の中・高等学校で57.6%という数字で、公立の高等学校につきましては94.7%ということで、こちらの方が大分離れているという状況でございます。
 こちらの団体の調査でございますけれども、我々、国全体の目標との関係で、しっかりと定義等もそろえながら数値を把握していく必要があると思ってございまして、この中・高団体の行っている調査を参考にしながら、このたび改めて調査票を整理して、学校様にお伺いして、今後の把握、また進捗に役立てたいと、こういう状況でございます。
【亀井委員】  ありがとうございます。多分、この御説明を頂かないと全く話が進まなかったところですけれども、では、最終的には、4.8人を下にある3クラスに1クラス分程度ということは、1台当たり何人と考えたらいいでしょうか。
【説明者】  公立の状況も確認しましたら、大体3人で1台ということだそうでございまして、我々も、まずはこれを一つのマイルストーンとしたいと考えてございます。
【亀井委員】  だとすると、ここで是非お伺いしたいのは、インプットの24億円の妥当性ですけれども、4.8人を3人に1台、あるいは校内LANの整備率を57.6%から100%にするには、幾ら×何年掛けてやっていくいう認識なのでしょうか。
【説明者】  まさにそれをはじきたいと思ってございまして、公立の方は2022年までの目標ですが、実は目標として立ててはいるものの、実現までに結構遠いという現実の数値もございます。私学につきましては、高い目標を持ちつつ、学校法人の方が半分は負担する仕組みになってございますので、今、やっている我々の調査の中で、今後、どうするかといったようなことも踏まえながら、学校法人の方のプランはそういったものも踏まえながら、我々の方も、今後、どれくらいのスパンで、どれくらいを目指すかということをちょっと具体に立てたいと思ってございます。
【亀井委員】  多分、そこを更にここで御議論いただかないといけないと思うんです。というのは、半分を自分が負担すると考えたときには、この制度が長くと考えたら、そんなに学校法人は急がないですよね。例えば、期限を切って、いつまでに導入してくれるのであれば私たちは半分出しますとか、私立学校といえども加速させないといけないので、そういうことであれば、ここは当面、補正を組んででもやりますみたいなことになれば、学校法人も無理をするのか、諦めますという話なのか、多分、そこら辺の意向がはっきりしてくると思うんです。ここら辺の政策としての知恵というところについては、皆さん、いかがお考えですか。
【説明者】  まさにおっしゃるポイント、よく分かります。今後の状況も踏まえて、そういったドライブの掛け方を工夫していければと思います。半分を負担すると慌てないということがある一方、自分の資金もある程度用意できないと付いてこられない。
【亀井委員】  ですね。
【説明者】  餌をたくさんあげ過ぎてみたいなことになっても、余ってしまうということで、なかなか国の予算の使い方として難しいのですけれども、ドライブを掛けなければいけないというのは、先生、おっしゃるとおりなので、ここまでにやればこうだとか、少しそういったところは工夫したいと思います。ありがとうございます。
【亀井委員】  最後に、ごめんなさい。ちなみに、ここだけお伺いしておきたい、レベル感としてお伺いしておきたいんですが、まだ分からないんですけれども、もし私立学校が全て1対1で、50%・50%で全部応諾するとして、金額は大体幾らで、何年必要だと考えればいいでしょう。
【説明者】  そうですね、なかなか難しいです。というのも、入替えもあるものですから、1回整備して終わりかというところもあるので、すみません、うまくぱっと出てこないので、次の宿題というか、このデータを取った後に、そういったものを御報告できるようにさせていただければと思います。申し訳ありません。
【亀井委員】  いや、とんでもない。ありがとうございます。多分、そこが見えないと、恐らくこの議論、なかなか進まないと思います。その上で、先ほどちょっとお話を、やや前後しましたけれども、政策として加速をするのか、あるいは減速をするのか、そこをどういう形にするのかという政策の位置付けに掛かってくると思いますので、是非そこは御検討いただきたいと思います。
 取りあえず、私から以上です。
【説明者】  大変ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  まさに現状把握が大切だという中で、これからだという話は前からお聞きしていたかと思うんですが、先ほど幾つか御紹介を頂いたパソコンの整備率、あの数字を見ると公立高校よりも若干後れているという話になってくるかと思うんですが、これも事前に、私立高校は幅が広いので、なかなかそこまで行っていないというお話があったかと思います。他方、私が調べた中で、例えば電子黒板の整備率、これは民間団体がアンケート調査を取っていて、73.6%が活用している。公立高校の電子黒板の整備率は、多分、27%とか、30%ぐらいだったのではないか。
【説明者】  そうです。
【伊藤委員】  公立高校ですと。そういうように考えると、必ずしも一概に私立学校が後れていると言えないのではないか。もちろん、これは民間団体の調査だから、どこまでが正確かということはあるかもしれないですが、結果的に、これが行き着くところは、やはりちゃんと現状把握しないと、このお金が生きた使われ方をしているのかどうか分からないではないかというところですが、そこはいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。今回、実は我々も、アウトプットで変えたいと思っている数字は公立より後れているものにさせていただいております。御指摘のように、物によっては一部、進んでいるものもあるのかなと。正直、世の中全体がこうなってきたので、公立が後でうわっと、やりましょうという話で全体を整備してきたと思うんですけれども、私立学校も特色が非常にあるということで、先んじてこういうものをやっていた学校もあると思うんです。
 その辺でばらつきはあると思いますけれども、いずれにしても小・中・高ですと学習指導要領という、設置者にかかわらず、これは教えましょうということが決まっていますので、そういった観点の中で公立より後れているものについては、やはり私立といえども政策として全体をやっていかなければいけないと思いますので、今後は遅れている部分を中心に補助する。あと、把握も中心にやっていく。実は、今回を機に新しくさせていただいている我々の学校法人に対する調査では、もっと幅広く聞いているんですけれども、特に国費を投入する部分を意識して、遅れている部分を中心に、把握しながらということでいいのかなと考えております。
【伊藤委員】  これはちょっと意見になってしまうかもしれないんですが、公立高校は、ある意味あまねく、全てにという公平性の観点があるので、整備率をできるだけ一定にしていこうという話になると思うんですが、私立学校の場合は必ずしもそこを厳密に測るものでもなくて、逆に言うと特色があるからこそ私立学校だという考え方も出てくると思うので、公立校を基準として、後れているからここを底上げしなければいけないのだと、本当にそうなっていいのだろうかと思うんですが。
【説明者】  おっしゃる観点、よく分かります。なので、ポンチ絵の真ん中に書いてあるところも、勘案しつつ促進に取り組むというような、ふわっとした書き方になっております。私学の特徴をあれしてまで、これを全部でやれというのはまた本末転倒な部分もありますので、私学の特色の部分と、読み・書き・そろばん的にみんなやりましょうみたいなことになってくると、お金が掛かる分、支援した方がいいのかなというところもあるので、そこは私学の方ともよく話しながら、押売にならないように、さはさりとて、みんながこういうことをやるのにできないみたいなことにもならないように、バランスは気を付けたいと思います。
【伊藤委員】  例えば、私が知っているところで、今回、ちょっと話をしていたら、パソコンルームのデスクトップパソコンを、この後、更新するかどうかというのは結構悩むところがあって、既にもうタブレットも配付しているし、ただ、一個の基準は一応、公立学校の基準があるから、私立学校もそれを考えたら更新しなければいけないかもしれないけれども、うちとしてはタブレットをやりたいというような話、結構たくさんあるのではないかと思うんです。
【説明者】  そうですね。正直、タブレットになってきているので、我々も何をパソコンというかという定義も割と柔軟にしながら、要はみんなが使うものを使えるようにということなので、余りぎちぎちにならないようにはしたいと思います。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  よろしいですか。
 有川委員、その次に川澤委員。
【有川委員】  これまでの議論と重複するかもしれませんけれども、レビューシートを見せていただくと、1枚目というか、1ページ目になるんですけれども、当初予算を見ると28億円でずっと推移してきていますが、内訳の資料を見せていただくと、高校の方のICTの予算は12億円から23億円へ上がってきて、他方、大学の研究設備については、29年度は16億円だったのが、30年度と31年度で5億円へ落ちてきている。前に16億円、大学の研究設備に投入していた規模を5億円にしてきている、この妥当性というのはどういうように説明するんでしょうか。
【説明者】  大学の先生には大変申し訳なかったところですけれども、学習指導要領の改訂というタイミングが小・中・高とございまして、そこでプログラミング教育の導入ですとか、ICTがかなり急激に入ってくるようになりまして、そのタイミングで、このフェーズではやはり高校のICTの方を優先せざるを得ないだろうということで、こういった措置を取ってきた次第でございます。
【有川委員】  事前勉強会でも説明いただいたことを繰り返し聞くようで大変申し訳ないんですけれども、最初に総枠があって、高校の方のICTが重要になってきたので、大学の方の本来は必要だった金額が出せなくなったということなのでしょうか。それとも、そんなに出す必要は、5億円で足りるのだから、もともと過大な金額が出ていたと考えたらいいのでしょうか。
【説明者】  過大どころか、全然足りないと怒られている次第でございまして、そこは予算が、少し我々の汗のかき方も足りなかったのかもしれないんですけれども、総額が増やせれば大学の方も、今、イノベーションですとか、研究成果を社会にということで、私学についても様々なところで成果が上がってきているので、本来的には御支援をしたかったというところが本音でございます。ただ、一方、私立大学に対する補助金の中でも、大きい枠で経常費の方もございまして、やはり大学の運営を考えられる法人の方からすると、やはり一丁目一番地は経常費というところで頂いているので、全体のバランスの中でこうせざるを得なかったというのが正直なところです。
【有川委員】  経常費との兼ね合いになってくると、経常費の方が一丁目一番地となると、この事業費というのは、やはりトータルの金額が伸びないとすると、ほかの方も施策でどんどん必要な金額が出てくれば、どんどんそれに影響を受けて縮んでいってしまう、余り必要のない事業とも考えられるんですが、経常費とは別にこれが設けられている趣旨をもう一度確認したいんですが。
【説明者】  別の法律で、こういったものを補助するということになっております。なので、経常費とは別の立て付けで必要なものと、国会でもそのように通った仕組みの下でやっているということであります。
【有川委員】  ネーミングとしては、補助としては削れないけれども、額の方はトータルとして動きが、増額が認められていないので、ほかの枠からどんどん食われてしまうと。ですから、この事業自体、つまり大学の設備の事業についての効果が十分測定できないまま、次の予算要求に回っているような気がするので、せっかくの行政事業レビューで、この部分の評価が本当に妥当性を持ってできるのかどうか、とても疑問があるんですが。
【説明者】  実際、この予算を使って補助させていただいた分につきましては、その具体の成果、資料の一番最後に一つ例で入れておりますけれども、各学校、出していただいておりますし、ポーションが少ないというところの問題はございますけれども、そこはしっかり、我々、アウトカムの指標も新たに立てさせていただきたいと思っておりますし、そういったところで事業の効果は確かめられると考えております。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  では、川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  今後は、事業の効果を、新しく設定されたアウトプット、アウトカムで把握されていくということだと思うんですが、先ほど団体の調査で伺った、LAN整備率が私立の場合は57%ぐらいということで、例えばLANが整備されていなくてタブレットを持っても、有効に活用されているのかということを懸念するんです。恐らくアウトプットで設定される、若しくは調査で把握される中でも、まずは整備しなければいけないものという、ある意味で順番というものが、有効活用のためには順番があると思うんですけれども、その辺りというのは、そういうことが検討できるような調査になっているのか。若しくは、そういうことを検討して補助金がこれまでも支出されているのかというのはいかがでしょうか。
【説明者】  そういった事柄も、恐らく数字だけで見ていると分かりませんので、ヒアリングとか、そういったことを通じてやっていきたいと思います。
 先ほど57.6%と申し上げて、公立の手元で出ているものは普通教室のものでございます。御参考までに、私学の方は特別教室においても半分ぐらいということで、使い方もあるかと思います。ただ、特別に情報の授業だけで使うのではなくて、全体でやりましょうということになると、まさにLANをまずは整備しましょうということになろうかと思いますので、予算の範囲の中で優先主義とか、そういったことも付けていきたいと思います。
【川澤委員】  いわゆる申請書の審査の際には、何が今、必要だということだけではなくて、それを今後、どう活用して、どういうようにメンテナンスしていくのか。その辺りも含めて審査されているという理解でよろしいですか。
【説明者】  どういった授業をやるかという内容について聞いているということで、メンテナンスみたいなところまでは現在は聞いておりません。
【川澤委員】  もちろん、それを使ってどういう授業をするかということと、その授業にどのぐらい参加する生徒がいるかですとか、各学校の中でそれがどのぐらい有効活用される予定なのかということを、申請書の審査の段階できちんと把握をする必要があると思いますし、恐らく今、それをもって審査が全て通っているわけではないので、優先順位付けをして補助金が支出されるということだと思いますので、是非その辺りは今後の審査において御検討いただければと思います。
【説明者】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、吉田委員、亀井委員の順にお願いします。
【吉田委員】  もう大体、論点は出てしまったかなとは思っていますけれども、実はこの事業、事前勉強会等で議論した後、うちの大学の方も合併に備えて、今、基本計画を立てているところなんですけれども、先ほどおっしゃったように、今までみたいな固定のコンピューターを教室に配置していくという時代ではもうなくなってきている。だから、余りそこは議論してもしようがないと思います。先ほど川澤委員おっしゃったように、やはりLAN整備、それに伴い、大したお金は掛からないですけれども、Wi-Fiのポイント整備が重点になるのだろうと思います。
 私立高校の場合は、現状と今後の整備の方向性、各高校の整備の方向性というのは、これから調査されて、把握されると思うんですが、そのときに、やはり固定型のパソコン教室、コンピューターの設置教室というのは、リテラシーの授業であるとか、言語の授業であるとか、意外と限定されるのではないかと思っています。それよりも、やはりタブレットとか、本来は学生一人一人が1台、何らかのモバイルを持つべきだという方向に、今、動いているようなので、うちの方でもそういう検討を始めているんですけれども、そういう意味では、まずLAN整備の方を重点にするという方向性が出るのではないか。これは、そちらの検討次第だと思っています。
 だから、この事業に関しては、現状把握した上で、その現状に応じて、多分、対象経費とか、配分方式とか全部変わってくると思うので、是非、抜本的な見直しをしていただきたいと思っています。
 あと一点、大学の方ですが、採択基準を具体的に教えてほしいんですが。1点目は感想程度で結構ですが、2点目は大学の採択基準を具体的に教えてください。
【説明者】  ありがとうございました。PCはタブレットも含めてということでございますので、先生おっしゃるように、今後のトレンドとか、まず必要なところを見ながら、配分についても柔軟に、優先すべきところとか、調査で聞くところは変えていきたいと思います。
 大学の研究設備については、まず何に使うのか、どれくらいの効果があるのか、ほかの機関と共有するのかといったことを聞いておりまして、例えば医学系とか、工学系とかで全然違うものですから、有識者の方に、細かい個別のこういうものに使いますというものを3人ぐらいの方に見ていただいています。そういったものも含めて、本当に効果があるかを各学術の分野で見ていただいて、点数を付けていただいて、上から取っていくということにしております。実際には、教育上、研究上の利用計画、誰が、どういったものに使って、どのようなアウトプットが想定されるとか、そういったようなことを聞いて、ちょっと一律の基準で切るということは分野によって難しいので、正直、専門の先生方に相当頼っている次第です。
【吉田委員】  そこは確かに難しいとは思うんですが、しかも、これは教育用であれ、研究用であれ使えるという補助金ですよね。ただ、どこか共通項目で採択基準を明確にしてやらないと、それが多分、アウトカム指標になるんです。実際、事業の立案のときは、特に補助金や交付金はそうなんですけれども、採択基準イコール、実はアウトカム指標だったり、進捗状況のベンチマークになる。そこがどうもはっきりしていないので、この事業そのものがもやっとしたまま動いている。もちろん、論文と同じで査読システムみたいな感じで採択されているんでしょうけれども、そこをちょっと統一的に、もう少し現状把握して、5億円で現状把握してもなかなか対応できないと思うけれども、もう少しこの事業そのものを、減ったにしても、どこかに集中投資したら、より効果が上がるという分野があるならば、ちょっとやらないといけないのかなと。ただ、全体、何でも受けられますよという状況が続いていくとしたら、ちょっとこの事業の存在意義が問われるのかなと思うんですが、その辺はどうですか。
【説明者】  これは、いわば基盤的な経費でして、例えばライフサイエンスとか、材料とか、まさにこの分野で、今、ここに投資したら重点投資だというものではなくて、まず、そこに至るまでにちゃんとみんな計測をするとか、ちょっと前の説明とかぶってしまいますけれども、国立で言えば運営費交付金みたいなところなんです。なので、ここでメリハリを付け出すと、極めて限られた中でなので、そうするとみんなが、今、大変苦しい中でやっていらっしゃるところに、先生のところはあれですけれども、ちょっと趣旨が違うので、こういった事業の効果の把握との兼ね合いがまた難しいところではあるんですが、そこは本来の事業の趣旨を考えると、多少のぼわっと感が残りつつも、アウトカムで取ったところは、まさに利用者数がたくさんいますかとか、時間数が多いですかというのは見ているんです。そういったところで、何とか基盤的なものについても効果を、これまでより具体的に、どのくらい使っているのかという話で把握させていただくのかなと、中で議論しています。
【吉田委員】  そういう意味での特定ではないです。分野を特定しろという話ではなくて、大学の基盤インフラのところで、今、どういうニーズが結構あって、そのどの部分に充てていくべきかということは、1つでなくてもいいんですけれども、幾つかの基準は設けられるのではないかと思うんですが。要するに、今、大学も経営、特に私立大学は、厳しい状況と、非常に大量に大学生を抱えて裕福な大学とで両極化しているわけです。その両方とも、このぼやっとした補助金を出すのか、それとも経営指標を参考にするのか、今までの実績を参考にするのか、何らかの指標が要るのではないかと思うんですが、どうでしょう。
【説明者】  いいヒントというか、問題意識を頂きましたので、今後、考えたいと思います。ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  亀井委員。
【亀井委員】  今の話の続きですが、私も、やはり大学についても何らかの採択基準とアウトカムを設定した方がいいと思います。私も大学人の片割れとして思うのは、それでも納税者に対して説明がつかない。
 これは、私立大学の研究設備に対する国の補助に関する法律があったから出しているんですという今の説明は分かります。だけど、それはレジティマシーの説明であって、なぜ、この制度が必要なのか。もっと言うと、これをもって文部科学省としては、大学経営をどうアクセレレートしたいのかというところの意思がはっきりしないといけない。これは、3年ごとなのか、5年ごとなのか分からないんですけれども、多分、何かアクセレレートするものがあるはずです。この3年はこのテーマでいきますとか、この5年はこのテーマでいきますとか、多分、そういうところをより明確化した方が、私はいいのではないかと思います。
 もちろん、これは大学経営の自主性、特に私立大学の自主性が求められる話ではあるので、それはそれで個別判断はするんだけれども、でも今、世の中が大学に求めているのはここだよね、だから、この投資をしてほしいんだけれども、この投資をするならお金を出すよと、どこまでできるか。これは、多分、法律のぎりぎりのところだと思うんですけれども、そこを考えていただくことも一つ必要なのではないかと思います。でないと、はっきり言えば、これ、申し訳程度に出していますにしか見えないんです。言われているから出しています、これぐらい出しているのだから許してください、そもそもこの5億円の意味はよく分かりませんと、すみません、今はまだ読まざるを得ません。
 そういうようなところも含めて、納税者の視点も含めて考えていくと、あるいは大学経営者から見ても、これは今、使った方がいいなと思えるようなお金にしていく。手間と何とかと考えたら取っておいた方がいいかな程度ではなくて、何をアクセレレートするかという文部科学省の意思をもっと明確化していただきたいと思います。政策官庁としての文部科学省、高等教育を担う文部科学省としての意思を明確にしていただきたいと思います。そこは、くれぐれもよろしくお願いしたいと思います。
【説明者】  ありがとうございます。相当難しい宿題だと思っておりますけれども、趣旨はよく理解いたしましたので、先生のおっしゃった私学の自主性と自律性、また学問研究の自由といったところと、実際、国のお金を使うといったことで、ちょっと頭をひねらせていただきたいと思います。
【亀井委員】  場合によれば、増額するとか、しないとか、何年に限って増額とか、そういうことも含めて、是非、インセンティブになるような政策にしてもらいたいと思います。
【説明者】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  では、松浦委員、それから川澤委員。
【松浦委員】  ありがとうございます。ずっと提出いただいた資料を読ませていただいて、中間評価がおおむね事業を起こしてから10年、21年にスタートして、31年で中間評価というような感じに見えました。ということは、折り返しで、あと10年後にこの事業の再評価をされるつもりなのかどうかということが1点。
 もう一つは、これ、ほとんどが基盤の整備、あるいは物品の整備ということでして、耐用年数の問題、特にコンピューター関係に関しては、クライアントだと3年とかでライフサイクルが変わってしまうという状況があるので、この補助の在り方が、ずっと続けるのであれば、ある程度サステナビリティーを持った形で設定しなければいけないと思うのですけれども、その辺はいかがですか。
【説明者】  1点目の御質問につきまして、もうそれは先生方の御指導とセットかなと思うんですけれども、恐らく10年では遅いと言われるのかなとは思っておりますけれども、適切なタイミング、我々、今回、ちゃんと数字も取ることにしたので、自分たちとしてはちゃんとフォローアップしつつ、また先生がそろそろあれはどうなったのかと言った頃には、恐らくもっと前に来るのかなと思いますが、それはさせていただきたいと思います。
 サステナビリティーという意味では、どんどん新しくなっていく中でということは、何でもかんでも買えばいいというものでもないと思うんです。なので、学校の方も、要は損得の勘定はちゃんとしておられまして、リースですとか、これは買い取った方が得だとか、組み合わせながらやっています。そういったいろいろなサービスの利用方法も併せ考えつつ、なるべくコストパフォーマンスが上がるような予算の数字を、膨大に膨れ上がることも逆にないようにというか、そこはしっかりいろいろなサービスを情報収集しながらやっていきたいと思います。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、川澤委員。
【川澤委員】  先ほど、亀井委員から何をアクセレレートするのかというお話あったと思うんですけれども、私もそれは非常に重要だと感じました。恐らくそれがあると、アウトプットでどの指標を設定するかが変わってくると思うんです。今は、PC1台、校内LAN整備率といったところが並列で並んでいますけれども、個人的には私も、先ほど吉田委員からあったように、まずはLANを整備しないと、恐らくタブレットが本来、有効活用できるような使い方ができないと思うんです。まずは、校内LAN整備率をアウトプットとして設定するですとか、指標も何をアクセレレートしたいかによって変えていく必要があると思います。その水準も変えていく必要があり、それがある程度達成したら、今度はタブレットの整備率にするとか、是非、目的に応じた指標設定にしていただければと思いました。その辺り、いかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。この議論、いろいろ御指導を頂いてから、我々も頭の中が大分すっきりとしてまいりましたので、そういったところを、これからよりブラッシュアップされた数値の設定もできるかと思うので、今後、やっていきたいと思います。
【川澤委員】  そのときの実態調査で、どの範囲までを調査するかというのは非常に重要だと思っていまして、現状、必要なものだけではなくて、将来的に必要なものも調査して不足分を勘案するですとか、本当にどういうICT環境が整備されているのかということが見えやすい形で調査をしていかないと、これだけ整備しましたという話になってしまうので、そこは是非お願いいたします。
【説明者】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  伊藤委員。
【伊藤委員】  まず、一つ確認ですが、私立大学については、今日、ここに根拠法令で、研究設備の国の補助の法律がありますが、私立高校についても同様にあるのでしょうか。
【説明者】  私立高校につきましては、全体の私立学校に対する振興助成法というものがあって、設備を取り出してというものはないんですけれども、その助成全体の中でやっております。歴史的に、恐らく大学が余りない頃に、研究というものがすごく重要で、昭和20年とか、30年とか、それぐらいの昔に、まずやりましょうということが先に走ったので、それが残っているということがあると思います。その後、全体、昭和50年代になってから助成法というものができたので、その中で、基づいてやらせていただいています。
【伊藤委員】  そういう意味では、高校については、今回で言う研究とか、ICTの部分の法的根拠があるわけではなくて、私学振興の中で読んでいるということかと思うんですが、実際、私立高校の補助事業というのは、当然、これがメインではなくて、大学と同じように経常費助成がある。もう一つ、もうちょっと大きいインフラになると思うんですが、研究装置助成というんでしたっけ、私立学校教育研究装置等施設整備費補助、こちらもシートを読んでいると、これはICTということではないですけれども、設備に関する、施設設備に関する補助金なのかなと思うんですが、まず一つ確認は、こちらの方で、ICTにかかわらず、今日の事業の補助を受けられるわけではないということでよろしいんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。
 1点目、若干補足ですけれども、私立学校振興助成法という法案には基づいているので、そういう法律はあるということですが、設備に特化したものではないということです。
 2点目、別のお題目が立っているものについては、工事を伴うものを補助していて、こちらとはすみ分けがしてあります。
【伊藤委員】  お聞きしていたところは、先ほど、私立学校の一つの特色を考えたときに、高校ごとにいろいろな整備の仕方があると思うんです。その中で、先ほど私立大学の方は、かなり歴史的なところがあるから研究設備に関する補助、特定をした法律があるけれども、高校については、全体として私学助成をするということが法的根拠であれば、ある意味、先ほど有川委員がおっしゃっていたような、有川委員は大学の方でおっしゃっていたかと思うんですけれども、全体を一つの括りにしてしまって、特にきょう出ているものは一番新しいところからスタートしているんだろうと思うんです。平成14年でしたっけ。ICT設備が出てきたから、この補助事業が出てきたかと思うんですけれども、ある程度進んだ段階で、今、既存の経常費助成と、先ほどの公助を伴う施設補助の中でも読めるようにしていくことが、結果的には私立学校の自由度を高めるとか、何か一緒にやるということにもつながっていくのではないかという趣旨で御質問したんです。
【説明者】  ありがとうございます。そういったアイデアも、今後、広く考えたいと思います。あとは、予算をしっかり取るということが一番になるので、総額が取れる方法でというところも併せて考えたいと思います。
【伊藤委員】  これは、全てのことですよね。
【説明者】  はい。
【伊藤委員】  別に切り出すことによって何とかというところは、財政構造自体の問題かと思います。
【説明者】  それは時によって、良かったり、悪かったりするので、すみません、そういうところです。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 コメントシートの集計がまとまりましたので、取りまとめ役の松浦委員から、評価結果及び取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【松浦委員】  どうもありがとうございました。
 まず、票の分布でございます。事業全体の抜本的な改善を求めたいという御意見が5票、一部改善を求めたいが1票ですが、この1票もコメント的には同様のことを指摘しているので、事業の抜本的見直しを、特に制度面とアウトカム評価についてです。
 これから最終的な取りまとめを、ちょっと案を読ませていただきますが、まず現状把握ができていないので、これを優先し、目標値の適正な設定をしていただきたい。これが1点目。
 2点目は、私学と公立学校はほぼ同じレベルを担保する。これには、何らかの政策誘導が必要だろう。また、私学の建学の精神とのバランスも取っていただきたい。
 3点目は、コンピューターの発展が非常に速いということもあり、環境整備、具体的に言うとネットワークの環境整備を優先することも御検討いただいた方がよろしいのではないかというのが、2つの事業のうちの高等学校に当たる方のコメントです。
 次は、大学の方ですけれども、まず私立大学の補助額は年々下がっている。本来、何のために補助するのか、また、そうあるべきなのかについて、具体的な評価基準を検討していただきたい、生きた補助金となるように政策を作っていただきたいということが4点目。
 最後ですが、全体的にアウトカム評価については、有効な活用率など、その成果がもうちょっと見える形で工夫をしていただけないだろうか。これは、高等学校、大学ともに同じ評価でございます。
 大体、今までの5つくらいの論点だと思いますが、よろしいでしょうか。
【亀井委員】  ごめんなさい、専修学校をどちらに入れるか明確化した方が、多分、話としてはあれだと思うんですが。専修学校は、基本的に高校とほぼ似たような形だという理解でいいですよね。そこは違う?
【説明者】  すみません。これは、専修学校の専門課程と高等課程を設置する学校に対して行っておりまして、大学等の研究設備の方に。
【亀井委員】  になる部分でいいですね。
【説明者】  はい。
【亀井委員】  そうすると、そちらの方ですね。ごめんなさい、ありがとうございます。
【松浦委員】  それでは、今、読み上げさせていただきました最終的なコメントということで、5票入りました抜本的に見直していただきたいということで、お願いしたいと思います。ありがとうございました。
【説明者】  どうもありがとうございました。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、以上もちまして私立大学等研究設備整備等の公開プロセスについて終了させていただきます。
 次の学校給食・食育総合推進事業につきましては、少し時間が空きますが、15時55分ということで、よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、本日3コマ目を始めさせていただきます。これからの時間は「学校給食・食育総合推進事業」について御議論を頂きたいと思います。この時間を取りまとめ役は有川博先生に務めていただきますので、よろしくお願いいたします。
 初めに、事業概要の説明を事業担当課からいたします。5分以内で簡潔に御説明をお願いいたします。
【説明者】  よろしくお願いいたします。健康教育・食育課でございます。お手元の資料に沿って御説明させていただきたいと思います。
 まず2ページ目、レビューシートをごらんください。本事業でございますけども、事業の目的のところにありますように、児童生徒が食に関する正しい知識や望ましい食習慣を身に付けるために実施している事業でございまして、学校給食法でありますとか食育基本法、又はそれに基づく食育基本計画に基づいて実施しているところでございます。
 事業の具体的な中身に入る前に、食育若しくは学校給食の目標について触れておきますと、お手元の資料19ページにまず学校給食法というものを引っ張ってまいりました。この中で第2章というところで7つ項目がございますが、これが学校給食の目標として設定されております。現在の学校給食・食育につきましては非常に幅広い目的・目標というのが設定されているところでございまして、当然、学校教育・学校給食に期待される役割としても広くなっているところでございます。
 さらに次のページ20ページ以降でございますけども、第3次の食育推進基本計画を用意してございます。ここにもございますように、社会状況の変化に伴って、子供たちの食の乱れ、健康への影響ということで、特に国、もちろん自治体も行うわけですけども、国に対して学校等における食育の推進のために、学校、家庭、関係団体等が連携・共同した取組であるとか、又はそれの周知、地場産物とか国産物の活用、及び我が国の伝統的な食文化についての理解を深める取組を推進することといったことが掲げられておりまして、文科省といたしましても、こういった法、又は計画に基づきまして給食・食育を通じて全国的な取組の充実を図る必要があるということで本事業を行っているところでございます。
 具体的な事業について御説明をさせていただきます。戻っていただきまして15ページでございます。15ページにも記載されておりますが、本事業、平成13年度に創設されてはおりますけども、実際これまでにも何度も見直し、精査を行ってきた結果、約1億ということで非常にコンパクトな事業となっております。
 先ほども御説明させていただきましたように、現在、学校給食・食育といったところに期待される役割がとても広くなってございますので、推進事業という1つの大事業名ではございますけども、これ1つの事業では到底カバーできないということで、実質的にここに掲げてありますように3つの事業で行っているところでございます。
 1点目の社会的課題に対応する学校給食の活用事業でございますけども、ポンチ絵は17ページに参考資料1として掲げております。先ほども御覧いただきましたように、第3次食育推進基本計画では、中学校の学校給食の実施率や学校給食における地場産物、国産食材の使用割合の上昇ということを目標値として掲げておりまして、平成28年度から令和2年度までの5年間を期間とする計画として策定されております。
 これに合わせて、本事業につきましても、このスタートに合わせて、特に地場産物・国産食材といった課題解決に資するための委託事業として28年度から行っているところでございます。
 また、次のつながる食育推進事業でございますが、ポンチ絵といたしましては18ページに参考資料2として載せております。これ平成28年度までは学校を指定して、企業等と連携しながら、特に学校において、食育を通じて学力の向上であったりとか健康の保持・増進であったりとか体力の向上、そういったようなものを多角的に検証を行うというような事業であったんですが、この事業を検証し、また、その成果を踏まえた結果、学校のみならず家庭への働き掛けというものを積極的に行っているところが効果があったということでございまして、29年度からつながる推進事業ということで、単に学校だけではなく、学校から家庭への働き掛けを積極的に行っていただく事業として見直してスタートしているところでございます。
 また、この2年間やってみて、どうやって栄養教諭というのが家庭に働き掛けていくのかという、その資質向上というのに取り組んでいるところというのがやはり効果が高かったということもございますので、本年度から、ポンチ絵にもありますけども、子供たちの自己管理能力の育成に加えて、栄養教諭の力量のアップというような指導力の向上ということも目標の1つとして掲げているところでございます。
 3点目が、学校給食の現代的に関する調査研究でございまして、これは各指導主事等に対する研修の実施でありますとか、あってはならないことでございますけども、例えば食中毒が発生したときの現地での指導といったようなものに使っている事業でございます。
 続きまして、特につながると社会的に関してロジックモデルを用いて御説明させていただければと思います。ものといたしましては、13ページ、14ページでございます。これ両事業とも構成要素として、現状、課題、それからモデル事業としてのインプット、アクティビティー、その成果であるアウトプット、それから初期、中期、長期のアウトカム、インパクトというような構成といたしました。
 また、先ほども御説明しておりますけども、両事業とも現状及び課題のところにつきましては、第3次基本計画を参考に記載しております。また、アウトプットにつきましては、この事業の性質に応じたアクティビティーを設定しておりまして、有効な指標でありますとか、優良事例等々を各実施校から実施校のある自治体、それから自治体から全国に広げるというような形での設定をしております。
 最終的には食育基本法に、また計画に規定しているように、社会全体まで影響を与えているというような流れとなっておりまして、長期アウトカム、インパクトの指標として、当該省庁、当省以外の省庁が主として担当している目標を設定しているところでございます。
 また、事前勉強会でも少し議論いたしましたが、初期と中期のアウトカムについてですけども、初期アウトカムについてですけども、両事業として測定範囲をモデル事業校としています。社会的課題に対応するの方につきましては、実施校、当該自治体の実績に応じて独自に目標設定の上取り組んでいるということもあります。測定指標として、アクティビティーに対応する具体的な手法でありますとか体制の開発を設定し、また、つながる方では、これは児童生徒等のアンケートを実施しておりますので、そういったような行動変容に対するアンケートを事前事後取っておりますので、そういったものを使っております。
 また、中期アウトカムは、ほぼ同じものをモデル自治体、受託している自治体に広げるという形で、これも事前勉強会で御指摘を頂きましたように、なるべく初期・中期アウトカムというのをそろえようということを設定をさせていただきました。
 ただ、社会的課題につきましては、初期アウトカムの中にある食品ロスであるとか伝統的食材、また、つながるの方でいけば栄養バランスを考えて食事をとる児童生徒の割合ということにつきましては、やはりその自治体の中で全体として、例えば食育推進、自治体が定める計画の中でこういったような指標をデータとして拾っているという自治体がほとんどなかったために、やはりここにアウトカムとして設定するのは正直困難であることが分かりました。
 比較的、自治体の中で推進基本計画などで設定しているような地場産の活用割合であるとか朝食欠食というのを測定指標として述べたところでございます。
 一応データとして簡単に入れておりますけども、ここでは1つだけ、つながるについての朝食欠食について少し触れておきたいと思います。昨年取り組んだ三重の例を記載しておりますけども、各それぞれでアクティビティーをやっていただいて、初期アウトカムのところにあるように、各校ではデータが好転しております。
 また、ただ、他方で、中期のところに行きますと、自治体全体で見るとデータは悪化しているというのが分かりました。これは、さらに長期のデータ、またインパクトのところにありますように、日本全体の同時期の同じようなデータを見ると、やはりここが悪化しているということで、単にこれは本当に事業の成果という、横展開というような部分だけで評価できないんじゃないかなというようなことも分かっております。この点につきましては、他省庁の施策に係るものでありますことから、他省庁でのこういった分析であるとか施策、そういったものと連携した取組が必要であると考えています。
 最後に、ロジックモデルの検討を通じて明らかになった事業の課題としては、やはり先ほども説明を申し上げましたように、今回設定が難しいと分かったような指標というのを今後どうやってまずは設定していくのかという点。また、当然、両事業とも受託自治体全体や全国への効果というのをどう広げていくのかといった点。さらに、これどうしても受託事業、年度単位でございますので、委託終了後、そういったようなところでの実施校でどうやって継続していってもらうのか、そういったものをどうやって拾っていくのかといったような点であるかと思っています。
 来年度以降でございますけども、事業実施の効果を分析するために、例えば事前事後というのをしっかりと共通項目でできるものについては、そういったものを取っていくということもございましょうし、また、先ほども申し上げたように、場合によっては委託事業が終了した後についても、例えば我々の方から実施校であったりとか地域全体を対象としたアンケートの協力依頼ということを行うなどによって、改めて事業指標の見直しを図りながら、よりよい政策効果というのを発揮できるような事業を構築していきたいと思っています。
 雑駁になりましたけども、本日もよろしく御指導お願いいたします。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、私から論点について御説明をさせていただきます。
 お手元の論点等説明シートを御覧ください。4点ございまして、1点目としては、現場のニーズを踏まえた事業内容になっているか。2点目としては、計画的な予算執行及び早期執行が図られているか。3点目として、事業成果検証のために適切なアウトカム、アウトプットは設定されているか。そして4点として、大きな政策の方向性に位置付けられているかという、以上の論点等について御議論をお願いいたします。
 それでは、有識者の皆様からの御質問をお願いします。お答えする説明者は、外部有識者からの御質問に対して簡潔明瞭に御回答をお願いいたします。
 まず亀井先生、それから有川先生、吉田先生の順でお願いします。
【亀井委員】  ありがとうございました。今の御説明も極めて丁寧で、かつこれまでのプロセスを大変反映したものになっていたかと思います。ありがとうございます。
 そもそもこの事業規模でどこまで期待するんだというところが極めて難しいところでありまして、逆に言うと、この事業規模であるならば少し、もしかするとアウトカムをコンパクトにする必要があるのかもしれないなというふうに考えた次第です。
 つまり、まずお伺いしたいのは、ここら辺の実現性なんですが、ロジックモデル13ページ、14ページ、それぞれの事業についてある意味あるべき姿として、特に立案段階で書くべきものなんだと思うんですが、そこを書いていただいたかと思います。
 一方で、ここは是非現実のリアリティーをお伺いしたいんですが、例えば、これ都道府県の教育委員会で事業をやってもらっていますよね。だとすると、これ都道府県の教育委員会が少なくとも中期のアウトカムまでは意識してくれているかというところが大事なんだと思うんですが、今の話だと、なかなかビフォーアフターのところまでまだ現状は取り切れていない。だけど、これからは取ってもらおうと思うというところまでは行くのかもしれない。だけど、取ってもらおうと思ったときに、教育委員会が、私たちは改善しようと思いますというところまで動いてくれるのかどうか、この辺はいかがでしょうか。
【説明者】  取り方と、それから依頼の仕方なんだろうと思っています。我々先ほども御説明したように、この事業の成り立ちが、いかに学校給食法であったりとか食育基本計画の目標を達成していくのかというようなところの後押しの1つとしてやっています。
 ですので、今度4次の改訂がもうすぐ迫ってきているわけでございますけども、そういったものに合わせて、例えば改めてこういう計画が、これから議論が始まりますけども、その設定のされ方の状況であるとか、又はそこで数値目標まで求めなかったとしても、我々としてはこういった今回の経験を踏まえて、ビフォーアフターをきちんと取っていただくということをできるだけ心掛けてほしいということは、行政として行うことは可能だと思っています。
 ですので、その辺のバランスをどこに設定していくのかというのは今後検討していきたいと思っています。
【亀井委員】  ありがとうございます。自治体なので、あくまで団体自治ですから、彼らは彼らで考えるところがあるんだと思いますが、この政策がそういうものをきちんとアクセレートするような形で設計していただく必要があるのかなというふうに思いました。
 一方で、この事業ですと、逆に今回ロジックモデルを作っていただいて、政府が何をするかというのと、それから実施校が何をするかということと、実施校がある自治体、特に今回の場合は都道府県ですよね。非常に広い範囲だと思うんですが、それぞれ何をするのかというところの役割分担が明確になったんだと思いますので、そういう中で事業の再設計をしていただければいいのかなというふうに思います。
 僕は逆に言うと、この事業の規模で都道府県がどこまで付いてくるのかなというところのリアリティーは、実は結構厳しいんじゃないかなと思っているところもあって、そこら辺のところも含めて、場合によると、少し単価を大きくして箇所を絞り込むのか、それとも単価を小さくして箇所を増やすのか、そこら辺の戦略も含めて考えていただきたいなと思いますので、是非よろしくお願いをしたいと思います。
【説明者】  1点だけ述べさせていただきますと、具体的な教育の、我々がやっているものは幾つかの要素があると思っているんですけども、特につながるに関して言えば、ある手法であったりとか事業のやり方であったりとか、個別の例えば何とか教室みたいなものも確かにあるんですが、そこから抽出して、我々として考えているこのロジックモデルの中期アウトカムの一番上のところに書いているように、抽出できるものを教育の中身としてできるだけ普遍化というか、共通化できるものというのは拾っていきたいと思っていますし、中身だけではなくて、例えば手法という部分で言っても、例えば食の指導の手引、ここに書いてございますが、こういったような事業実践例もあるよということを示しながら、いろんなところでの取組に資していけるものだと思っています。
 ですので、各個別の取組をどこまで普遍化するものかというものと、リアリティーというお話を頂きましたけども、各学校の教育という観点で見たときに、どこまで普遍化できるものかという部分という、その2つのフェーズで考えていったときに、今のものであっても、モデル事業から抽出して、教育で日本すべからくこういう点に注意してやっていく、でも、方法はいろんなやり方があるだろうからお任せするよという部分でいけば、そこの点はできているのではないかなという評価はできるのではないかと思っています。
【亀井委員】  ありがとうございます。まさにそこが多分政府のやるべきところなんだと思っていて、是非そういった意味では、もしかするとなんですけれども、これがモデル事業であるということを考えるならば、直接事業として何か関わったところと、そうでないところの比較というところも本来はしてもいいのかもしれないなと思います。
【説明者】  そうですね。はい。
【亀井委員】  そうでないところにむしろ上手くいっている事例もあるかもしれないし、先ほどお話がありましたが、全体として朝食欠食率はむしろ実は上がっているんだという話がありました。これはこれで、1つの価値観に立てば、あるべき方向性ではないかもしれないけれども、ただ、社会はやむを得ずそちらの方向に進んでいるわけで、そういう中で何をなすべきかというところは、共通の知見というものは作っていかなきゃいけないし、そういう中で事業を直接やったところとやってないところの、これはRCTまでは私はやれとは正直、これは後の方どなたかおっしゃるかもしれない、やれとは言いません。むしろRCTを云々やるとかやらないよりは、むしろやっているところとやっていないところを皆さんがきちんと比較されるという態度がすごく大事だと思っていて、是非そういった形で進んでいっていただければというふうには思いました。とりあえず以上です。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  次は有川先生、お願いします。
【有川委員】  私の方から3点ほど。レビューシートの主としてターゲットにお話を伺いたいんですが、まず、2ページの予算額・執行額のところを見ていただいて、予算額が毎年度減り続けているのに執行率が低率で推移しているという状況をどういうふうに分析して評価しているのか。その点について説明していただきたいのと、その説明がシート上分からないので、できましたらそれが合理的な説明であればシート上そこのところも明確にしていただきたい。
 2点目は、3ページなんですけれども、先ほど御説明にあったんですが、事業概要の社会的課題に対する取組の3本柱という、食品ロスと地産地消と伝統的な食文化。地産地消の課題についてはこのように2つのアウトカムが設定されているのに対して、それ以外の食品ロスと伝統的な食文化については、残念ながらアウトプットの方の取組の数だけが書いてあるだけということなんで、なかなか難しいという話はあったんですけれども、せっかくその課題に取り組むためにこの事業がセットされているということであれば、1つだけかなり丁寧にアウトカムを設定するというだけではなくて、残りの2つについてもできる限り工夫してもらいたいし、それが難しいのであれば、なぜここだけが、つまり地産地消の分野だけが詳しくアウトカムが出ていて、それ以外が出ていないのかをきちんと読者に分かるように説明していただきたいのが2つ目。
 3点目は、7ページの資金の流れ図なんですけれども、つながるの方はモデル事業の効果を検証して、次のステップに入ろうという状況になっているんですが、それに対して、社会的課題の方は同じ位置のところに、事業の検証ではなくて学校給食の徴収管理事務の改善のための調査研究と入っていますけども、この調査研究はこの本事業の目的とどうつながるのかがよく分からないのと、なぜこちらの方が事業の効果検証が後回しになるのか、その辺のところを教えていただきたいんですが。
【説明者】  まず、執行率の話、予算は、申し訳ございません、いろいろな苦しい財政事情の中でありますけども、他方で応募件数を見ると、ある程度、当方で予定しているものよりも応募を多く頂いている中で、審査をして削り込んでいる。ただ、他方で、なかなか捨て切れないようなものもありますので、審査でここまで拾ってもいいんじゃないというものにつきましては、全体の融通をしながら、できる限り広く事業をやってもらうというやり方をしているために、執行率としては余り差がなくなっているというのはあるかと思います。
 それから、地産地消、食品ロス、これは先ほども御説明申し上げましたけども、食品ロスであるとか、それから伝統的文化について、このロジックモデルを立てるときにということなんですけども、各学校の中で事業をやっていただいた中でのビフォーアフターというのは取れるんだけれども、県全体若しくは自治体全体というようなものを探しに行ったときに、それをそもそも取っていない自治体の方が多かったというか、そっちの方がほとんどだったということで、ここに設定がなかなかしにくいということで、地産地消というものを使っているということでございます。
 また、社会的課題の中で、自治体の公会計化ということでございますけども、今年度の事業を3本柱になっているんですが、昨年度はさらに、これは中央教育審議会の御議論の中でも1つ議論になっていたんですけども、学校の負担軽減という観点から、学校で例えば私会計でやっていて、それをやめて自治体の公会計化した上で、学校の中の事務からもひっぺ返して教育委員会の方でやるべきだという御議論がございました。これを踏まえたモデル事業というのを1年間やっていただきまして、その成果をガイドラインにまとめたというのが去年の1年間でございましたので、去年に限ってそれを立ててあるところでございます。本年度はそのガイドラインを出したということで、この点についてこの取組の必要なしということで倒しているということになってございます。
【有川委員】  そうしますと、社会的課題の方の事業の検証というのは、この次の段階で行われるということでしょうか。つながるの方はモデル事業の検証が行われていますけれども、社会的課題の方のモデル事業の検証というのは、まだこれからということになるんでしょうか。
【説明者】  つながるの方のCの調査研究というのは、検証事業というのは主にアンケートを、文部科学省が取っている保護者だったり児童生徒、あと栄養教諭に取っているアンケートもかなりデータが多いんですけれども、その数千のアンケートの分析を主にしてもらっているということでありまして、これまでは社会的課題の方は事前事後の共通の生徒に対してであったり、保護者に対してであったりといった、そういったアンケートは取っていなかったので、少し性質が違うものであるということで、特段設けてはいなかったんですけれども、社会的課題の方には。今後どう検証を委託をしてやっていくのかといったところについてはこれから検討していきたいと考えています。
【有川委員】  分かりました。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  吉田先生。
【吉田委員】  実は質問は有川先生と全部かぶっていた。幾つか突っ込んでの話になるんですが、まずアウトカム指標を見る限り、先ほども話出ていましたけど、目的によって違うんですが、これモデル事業ですので、モデル事業を実施してきた結果、いわゆる国産食材なんかは既に普及し切っているんじゃないかという数字が出ています。それからもう1つは、地産地消に関しても、ここに数字が出ているのは全校対象だとは思うんですけども、意外と低いですよね。認知度があるにもかかわらず、意外と低い。
 それから、欠食の話は2018年でたしか8%を超えているんですよね、大人も入れちゃうと。子供がこれぐらいになっているということなんですが、悪化している。もう1つ、下の方も横ばい状態で少し悪化している。
 目的別にこのモデル事業が本当にマーケットと見立てた場合、マーケットニーズだと見立てた場合に、ちゃんと突き刺さっているのかどうかというのを検証しなくちゃいけない事業もあるし、もう既に役割を終えてもいいんじゃないかという事業もあるわけです。
 だから、いつまでも同じ状況で続けている。先ほど見直しもされてきたというふうには聞いていますけれども、役割を果たし終わったものもあるし、もう1つ、うまく目的に合致している事業になっていないものもあるんじゃないかというふうに思います。そういう意味では、抜本的な見直しが必要かなというものが幾つかあるだろうと。全体としても見直しが必要だろう。
 その中で、実は1億と言っていても、自治体というのは4,000万なんですよね。残りはほとんど民間企業で調査事業とか支援事業になっているということなんです。しかも一自治体は100万ちょっとという平均値です。もう1つは、地産地消、それから国産食材、伝統食材を使うというのは、別に補助金なくてもできるわけですよ、自治体がその気になれば。そういう意味では、もう少し戦略的に、全体をずっと続けるんではなくて、ちゃんと終わるものは終わる、見直すものは見直す。もうひとつ厚くしなくちゃいけないものは厚くする。ニーズに合っていない事業のやり方に関しては抜本的に見直すといったような全体の見直しが必要だというふうな事業だと認識しています。
 最後に、やっぱりモデル事業なので、普通こんなに長くしちゃいけないだろうと。中身が抜本的に変わるんであれば、今まで効果検証して、違うモデル事業に移るという形を取るんだと思うんですね。だから、現状把握の方はなかなか難しいかもしれませんけども、ほぼこういう事業の認知度は高くなっていると思うので、もう1回事業を本当に抜本的に見直すという時期が来ているんじゃないかというのが私の認識です。これについてどうでしょう。
【説明者】  事業の見直しでございますけども、先ほども申し上げましたように、大項目としてこの食育推進という全体的な事業の名称で傘を掛けておりますけども、それぞれの事業につきましては、その都度倒しながら、また新しいものを作りながらやってきたという経緯がございます。
 ですので、この事業、つながるにしても、社会的にしても、やはり今の考え方、これも事前勉強会の中でもありました。
【吉田委員】  いいですか。途中でごめんなさい。具体的に言います。国産食材に関してはもう要らないんじゃないですか。どう思いますか。
【説明者】  国産食材も、我々として、設定値である7割というところにまだ達していない部分もありますし、また、できるだけ安価に給食食材というのを提供するための体制作りという部分でいけば、まだまだこれから必要な部分があろうかと思っていますので。
【吉田委員】  では、聞きますけど、国産食材をやっていくといっても、学校ごとに違うわけですね。場所によっても違いますよね。どちらが安いかという話も流通ルートによって違いますよね。そういった事情を考えれば、これ100%まで持っていくというのが目標になっているわけですか。
【説明者】  8割でございます。
【吉田委員】  このじりじりとした上がり方を見ると、一体何がネックになっているかというのは分析できていますか。
【説明者】  基本的には食材費でございます。
【吉田委員】  それが分かっていれば、モデル事業の問題ではないですよね、その解決策は。
【説明者】  直接的に食品に対して、学校給食法上、運営に係る費用については設置者が、また食材費については保護者が出すという経費分担があります。我々としてそこに直接、食材費に対して、かつてはそういったことをやっていた時代もありましたけれども、今はそこに直接的な支援というのができない状況の中であれば流通の過程の中で、例えば規格外とか安いようなものをうまく引っ張ってくるような、そういった仕組みというのを各自治体の中で作っていただきたいということでこの事業をやっている。
【吉田委員】  実はモデル事業の意味ってそこだと思うんですよ。要は、こういう仕組みが横展開できますよねというのを見付けるためにやっているわけですね。これだけやってきて、もう見つかっているんじゃないかと思っているんですね、ある意味、ここまで上がってきているということは。じゃ、ボトルネックは別の問題がある、今おっしゃったように。それはこのモデル事業で解決するものではなくて、別の法制が必要だと。モデル事業をやった結果として、そういった課題抽出ができたということが非常に効果があったということで僕は認めていいと思うんですよ。だから、このモデル事業にしがみつく必要ないと思うんですけど。
【説明者】  ここのところはどこまでということもあろうかと思いますが、ただ、見直し自体は、先ほども申し上げますように、この事業そのものが食育推進基本計画に基づいて、それをどうやって達成するかという観点でございますので、今、4次に向けた見直しが始まっておりますけども、そういったようなタイミングでこの事業についても必要な見直しは掛けていこうと思っています。
【吉田委員】  じゃ、最後に一言。本当に予算的には薄い事業なんで、今言ったような考え方で重点をシフトしていくという考え方をしないと、この1つ1つのモデル事業の累計を持続していくのが仕事だと思ったら大間違いで、本来の目的は違いますよねということを言いたかったわけです。以上です。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  では、川澤先生、その次に松浦先生、伊藤先生お願いします。
【川澤委員】  今、モデル事業が持続していくことが問題だというようなお話ございましたけれども、確かに私もホームページで、2か年ですけど、採択校を見ていると、同じ学校が同じテーマで採択されているケースというのがあって、これは、そうであるならばモデル事業としては成立していない話なので、もちろん2か年でモデル事業として実施するということもあるとは思うんですけれども、それがモデル事業だということがきちんとその採択学校にもメッセージとして伝わって、そのために事前事後の検証をやっているんだというところは明確にしていく必要があるのかなと思います。これは意見です。
 もう1点、都道府県の話、先ほどございまして、都道府県でデータの取得、データ提供が難しかったというお話ございますけれども、まさにそれは都道府県として余り取り組んでいない証じゃないかなと個人的に思っていまして、具体的に今の段階で都道府県というのは何をして、どういう取組をこの事業でしているというふうに。
【説明者】  この事業というか、そもそものたてつけからすれば、国の推進基本計画を参考にして各自治体で推進基本計画を取っていると。その中で、自治体ごとに特に重点的に取りたいと思っているようなところは各データを取られているんだと思っています。
 ですので、先ほどの推進基本計画の中でも、例えば食文化の継承みたいなものはなかなか国の方でも具体的にデータを取っていないということもあって、そこで自治体の中でも拾い切れていない部分があると思います。
 ただ、そうは言っても、このモデル事業の中でそういったものに取り組んでもらうということが必要だと思っています。それはこの国家事業プロセスの中でいろいろと、じゃ、どうやってビフォーアフターとか横展開とかというのを取っていくときに、じゃ、情報のデータの取り方というのを検討すべきだということは、これは我々も十分認識したところでございますので、是非そこのところをどうやって取れるのかというのを工夫して、いろんな形の見直しを掛けていきたいと思います。
【川澤委員】  恐らく都道府県としてもデータを取るだけではなくて、都道府県としての取組の中でこのモデル事業を有効に活用するということが重要だと思うんです。ですので、まさに中間アウトカムのところでも自治体における展開というところで指標を設定していただいていますけれども、その展開のときに例えば県内でも幾つかの学校でモデル事業を実施しているケースありますけれども、恐らく本来的には幾つかの学校で実施しているものにそれぞれ特色があって、全体を俯瞰して、この県の中でどういう取組が必要なんだという、ある意味県単位でできるようなケースもあると思うんです。
 そのあたりは、きちんと文科省としても、1つの県で1つの場合、1つの県で複数の事業実施している場合というところで、きちんと分析していただくとか、もう少しそれぞれの主体でこのモデル事業が有効に活用される在り方というのを是非今後は検討していただきたいと思います。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、松浦先生。
【松浦委員】  ありがとうございました。ほとんど意見が出尽くしてしまった感がありますけど、もう一度ちょっとお聞きしたいところが二、三あります。
 4ページ目の下から2段目の単位当たりコスト、つまりモデル事業の実施経費を箇所で割ったやつが、前年度からがくんと単価が落ちているわけですが、これは先ほど、引き離した予算で埋めたものがあったので、これだけ激減したということなんでしょうかというのが1つ目です。すごい減り方ですよね。半分になっちゃっている。
【説明者】  これは、全体の予算も減っていく中で、採択されたモデル自治体の予算分の実施箇所数で単純に割ったもの、機械的に割ったものがこの数字になっております。
【松浦委員】  ありがとうございます。そうすると、前年度が19のモデル校を選んでいらっしゃって、30年度は15ですから、分母としては余り減っていないんだけれども、分子が激減した。要するに単価が激減していることに関して、これは予算的制約なのか、それとも今まで努力してきたけども、もう一息努力してみますというモデルの提案に変わったのか、その辺を教えていただけますか。
【説明者】  特段、予算の制約等はこの年度においては、2か年においてやっておらず、あくまでこちらであったり、自治体のなるべく予算を余計なものに使わないというところで努力していただいた結果だと思っています。
【松浦委員】  そうすると、この事業自体は国の補助金だけでやっているわけではないということですね。これ小中学校だから、都道府県というよりは市町村ですよね。委員会としては。だから、都道府県は高等学校以上は把握しているでしょうけども、市町村に関してはその単位でもってデータをサンプリングあるいはモデル校を指定しないと、実効的な値は出ないでしょうというのが1つ目です。
 それから2つ目ですが、5ページ目ですね。これも先ほど他の委員が御指摘いただいておりましたが、いわゆる地産地消と国産品を使いましょうということに関しては、おおむね目標を達したかに見える、10%ぐらい違いますけれども。日本の食料自給率というのは40%を今切りそうですね。その中で70、80を目指すということであれば、それなりに成果は出ているのだろうと思って、ある意味、こちら側に余り大きな柱をもう置かなくてもいいのではないかというのが私の意見で、逆につながる方ですけれども、これに関しては私が見る限りは全く効果が出ていない。
 じゃ、何が問題なのかということに関して、今後きちんとした分析が必要。特に栄養教員を配置していて、なのに成果が上がっていない。バランスの取れた食事を2食以上取っていますかというアンケートに至っては、10人のうち6人は学校給食でしかバランス取れていないというデータなんですね。おうちではバランス取れた食事は一度もしていない子供が10人のうち6人いるということに見える。そういう理解でよろしいのか。
【説明者】  若い世代となっておりまして、これ学校だけではなくて、学校を卒業した人たちも入っているデータでございます。これは農水省が取っているデータでございまして、そこのあたりが、先ほどの教育という話になるんですけども、ちゃんと身に付けて卒業して、それが定着していくというところをどうやって作っていくのかという1つの課題だと思っております。
【松浦委員】  それじゃ、もし悠長に子供を相手に学校で栄養教員が指導していれば、この結果は30年後でないと分からないということになっちゃうんですね。
【説明者】  いや、そうは言いたくはない。一応農水省もいろんな手立てでいろんな取組をされていますし、厚労省は厚労省でこの部分、全体の取組をしています。だから、その中でパーツ、パーツとして厚労省がやる部分、農水省がやる部分、我々は学校の中でしっかりとやる。その中でも学校の中でいえば、保護者に対するアプローチということはできるわけです。保護者に対するアプローチであったりとか、若い世代ということでいけば、お兄さん、お姉さんだってできるだろうと思っています。そういうところで連携というか、協力をしながら少しでもそこが、30年ではなくて、早くに達成できるようにということは我々としても連携しながらやっていきたい。
【松浦委員】  1日1食の私が言うのもおこがましいですけれども、やはり1世代30年と考えていくと、学校だけの内部の環境で教育をしていくということには限界があるので、せっかく栄養教員が配置されている、免許も更新制になっていますね、ですから、いかにして地域の家庭と連携していけるか。一番手短なのはPTAかもしれませんが、それが機能しているかどうか分かりませんけども、何らかの方法でこちらから積極的にアプローチをするようなシステムモデルというものを御検討されるべきではないかと思います。
【説明者】  おっしゃるとおりでございまして、この課題、だからこそ栄養教諭の資質向上、要はどうやって地域に出ていくのかということをアプローチする資質・能力の向上というのを特にこの事業の中では取り組んでいただきたいと思っていますし、具体的なものは持ってきていませんけども、先ほど申し上げましたように、こういったようなところでまさに先生おっしゃるような部分が分かっておりますので、例えば家庭もそうですし、それから今回の食の指導の手引、この中ではまさに先生おっしゃるような、例えば地域の中にアプローチしていくような部分というのも是非取り組んでほしいということを書き込んだところでございます。そういったところをまた我々としても見ながら取り組んでいきたいと思っています。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  じゃ、伊藤先生。
【伊藤委員】  1点、単純な質問になってしまうんですが、社会的課題にしても、つながるにしても、受託をしている学校については、給食に限ったことに限定をしているんでしょうか。それとも、もちろん給食レシピとか作っているところもたくさんあると思うんですけど、それ以外のことも受託している側が行っているんでしょうか。
【説明者】  社会的につきましては、基本は給食です。ただし、給食で例えば伝統食などを出すと、それだけでとどめるというのはもったいない話でございますので、保護者に対して、例えば給食だよりみたいなものでレシピをやるとか、それからつながる等と連携の中でもやりますけども、親子教室みたいなところで給食以外の部分でもアプローチをしていくというのはやっている学校は多くあります。
 つながるの方は、先ほども申し上げましたように、基本は給食を中心にした食育ということでもございますけども、やはり朝食であるとか、そういったものは給食だけでは済まない部分もありますので、そういったアプローチというのは家庭に対して、又は地域に対して行っていただいております。
【伊藤委員】  先ほど来話が出ているように、食育という観点はもうほかの省庁でもやっているし、それぞれの省庁の補助金や委託事業を受けて、いろんな自治体でやっていて、結果的にいろんな切り口からやっていって、最終的にはこの長期アウトカムやインパクトの部分というのはどこの省であっても大体同じ方向に行くんじゃないかなと思うんです。今回は文科省としては給食という視点からそこを目指していくんだという役割分担だというふうには頭ではすぐに分かるんですが、省庁の役割分担では分かるけれども、受けている方は結局、都道府県、市町村、学校1か所になってくるので、自治体側でも独自の取組もあるし、いろんな省庁の補助金委託事業もあって、結果的には、目的それぞれ違うし、自治体は自治体で何か狙いがあってやるんだけれども、結局、やる中身というのはだんだん似通ってきているなとすごい実感をしているんです。
 最初お聞きしていたように、給食レシピとか給食だよりを作られているので、毎日の献立をホームページで公開をしながら、こういう特色があるんですよというのをつながる方の受託学校がやっているのも見ているんですが、ただ、それだけじゃなくて、食育の講演会をやっているとか、この講演会って自治体独自にやっている中でも結構入っていて、あとはパンフレット、啓発資料を作って、その啓発冊子の中にはいかに朝食をとることが必要なのかということが書かれていて、じゃ、これってどこでやっているかというと、都道府県の補助金を使って基礎自治体がやっていたりとか。
 あと、もうちょっと調べていると、環境省のモデル事業の中でも、これは食品ロスの観点で、給食のときにレシピを作って、食品ロスってこういうふうに無駄になっていくんだよというのを実践例を交えながらやっているというような、結果的に似通ってきてしまうところはあるので、もちろんこれ、だからといって1か所でしかやってはいないということを言いたいわけではなくて、であれば、やっぱり、先ほど吉田委員からもずっとお話がありましたけれども、モデルでやっていることの段階はどっかで辞めなきゃいけないし、私は個人的にはもうモデルの段階で終わっていて、文科省とすると給食の視点でこれだけいろんなところをやってきた中で、モデルでやってきた学校とやっていない学校でこういう違いがあるとか、モデルでやっている学校の中でもきっと違いが出ていて、それは何なのかという要因分析をすることが結果的には長期アウトカムに結び付くんじゃないかなと思うんですが、そこについていかがでしょうか。
【説明者】  おっしゃるとおり、要因分析みたいなものはこれからしっかりやっていきたいと思っています。あと、省庁間のいろいろな事業が似通ってくるというお話ございましたけども、これにつきましては、食育推進基本計画というか、法に基づく関係省庁と有識者の入った委員会がございまして、その場を使いながら、また、その場だけではなくて、普段からということもあるんですけども、情報共有しながら、こんな事業やろうと思っているよ、こういうところでやっているよといった、棲み分けというか、役割分担と、それから、ここだったら連携できるよねというようなところを常日頃からやりながら進めているというのはございます。
 ですので、かぶらないようにというのは今後とも気を付けたいと思っていますけども、そういった調整というのは今後とも続けていきたいと思っています。
【伊藤委員】  これは繰り返しになっちゃいますけど、モデル事業でやろうとするとやっぱり事業になるから、結果的には受ける自治体からすると似たようなことが、今回文科省から取れたなとか、今回環境省から取れたな、今回何とか県から取れたなみたいな話って実際あると思うんです。
 もちろん棲み分けはしているというのは理屈上では出来上がっていたとしても、実態として果たしてそうなっているかなというところがあるので、どこかで分析をして、まさに分析をすることって、実はこれは現場ではなかなかできなくて、国じゃないとできないところがあるからこそ、今、例えば欠食率がこういうモデル事業をやっていても増えていっているというのは何なのか。モデル事業やっているところ、数字だけ見ると、モデル事業やっているからといって欠食率に全国平均に差異があるかというと、余りないなと思うので、そこはもしかしたらある意味、失敗例としてちゃんと要因分析をすることも必要なんじゃないか、それこそがまさにモデル事業じゃないかなと思うんです。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  亀井先生、それから吉田先生。
【亀井委員】  食に関する指導の手引への反映というのは、文科省としての1つのアウトカムなんだろうなと思いますし、モデル事業から脱するべきかどうかは、僕、正直言って今の時点では分かりません。それは考えとしては僕もあるかもしれないなとは思うんですけれども、現時点ではそこを判断できるほど材料がないというのが率直なところで、むしろ今あるとすると、これまでのモデル事業としてのやや緩さがあったのかもしれないなと思うところで、今回のロジックモデルで判明してきたところを各県にビフォーアフターとか、あるいはそこがどうなっているんですか、あるいは先ほど川澤先生からもお話ありましたけれども、各県に課したときに各県がどんな反応するかというところを見ながらモデル事業としての在り方と、国、都道府県それから設置校との役割分担の明確化を図っていかなきゃいけない。これはきょう共通した話なんだろうなというふうに思います。
 その中で、ただ、1つ、絶対、特に現代社会において忘れてはならないのは、先ほど何名かの委員の方からお話があったんですけれども、学校でしかバランスのある食事が食べられない子供が増えているという現状をどう考えるかという話なんだと思います。これは実は深刻な私は社会課題だと思っていて、これこそ文科省がやらなきゃいけないところなんだと思います。
 いわゆる経済格差が教育格差につながり、場合によると食の格差にもつながっている可能性がある。経済の格差の問題が様々なリテラシーにつながっている可能性があって、あらゆるものを家庭に押し付けようとすると、いろんな格差が連鎖してしまうという問題に私たちは社会的として取り組んでいかなければいけない。今、私たちはそこに立っているんだと思うんですね。
 そういう意味では、文科省の役割って極めて大きくて、これは食においても同じように役割は私は与えられているんだと思うんです。人間の健康だとか命だとか、そういったものを維持する食であるにもかかわらず、そこに格差が生まれている可能性があって、それは学校でしか是正できないものがあるはずで、そこにいかに集中するかというのが私はこの政策のすごく肝なんだと思います。是非、そう考えたときに、私は正直申し上げて、この政策課題に対してこの予算は小さ過ぎると思っています。
 それは、もともと議員立法の経緯だとか、いろんな経緯があるからこういうことになっているのかもしれないし、あるいは執行の問題だとか何とかということだから見直し見直しを重ねて、いろんな人ががたがた言うものだから、こういう形の予算になってきたのかもしれないけれども、そういうミッションを与えられたときに、この政策がこのままでいいのかというところは是非、私は当面は一部改善でいいかもしれないし、場合によったら抜本的改善なのかもしれないけれども、いずれここ数年の間にこれは根本から見直さなきゃいけない。今申し上げた問題意識から見直さなきゃいけないと思います。是非そこら辺の準備運動というのをしっかりするためにも、実態把握をしっかり進めていただきたいなと思いますし、県がどう動くのか、設置校がどう動くのか、特に栄養教諭の皆さんはそういう問題意識を持っていらっしゃるんだと思うんですけれども、それが県に上がった瞬間に消えちゃう可能性は結構あるような気はしていて、そこら辺を是非、どういうアクターがどういう動きをするのかというところの把握をこれから進めていただきたいと思いますので、是非そこはよろしくお願いしたいと思います。
【説明者】  ただ、1点だけ、先生おっしゃることは非常によく分かるんですが、他方で、今の食というものを学校でしかというお話について、文科省の立場から申し上げさせていただくと、それが本当に学校の役割なんでしょうかという部分はやはり問われなければならないと思っています。
 もしかしたらいえども、我々の立場からすれば、それは福祉の話であって、学校までそこを責任を負わなければいけないんだろうかという議論というのはまさにあるんだろうと思います。
【亀井委員】  そのとおり。
【説明者】  ですので、少なくとも我々今回、中央教育審議会の中で学校の在り方、サステナブルな学校の働き方というのはどうあるべきかというのを議論して、答申を頂いたところでございますけども、その中でも本来的に学校が負わなければならないものとそうでないものを分けたつもりでございます。
 ですので、今お話しいただいたようなこと、将来的に課題になるかもしれませんけども、今我々として言えるとすれば、そこは学校給食に負わせるというのはちょっと違うのではないかという回答をせざるを得ないのではないかと思っています。
【亀井委員】  なるほど。ありがとうございます。ただ、ここは、かなりここから本格的な議論しなきゃいけないし、一方で学校が相当傷んでいるのもよく分かってはいるので、そういう中でしっかり是非御検討いただきたいと思います。
【説明者】  はい。ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  吉田先生。
【吉田委員】  かなり昔のことを思い出したんですが、私、県と市で学校給食センターの廃止の問題に直接関わったことが何回かある。随分前の話ですけどね。そのときからこういう話が出ていたんですが、実は私、さっきの意見と真逆なんですが、学校給食法にいろいろ規定されちゃっているので、ついつい広げがちなんですが、実際現場の視点から見ても、手を広げ過ぎじゃないかと。実際、効果測定からしても、先ほど言ったように、実は学校給食という事業の中でそこまでやらなきゃいけないのかというところは多々あるわけですよ。
 例えば、さっきの欠食の話も、実はいろんな論文を読んでいろいろ考えたんですけど、学校給食側でできることって、子供に徹底的に朝食を食べないとだめだよと。ほとんどあれ理由は、朝、起きれないからですよね。時間がないというのが圧倒的多数の理由なわけですよ。親が用意しているわけですけど、とにかく起きられない。その問題は給食だけで解決するような問題じゃない。
 一方で、学校給食の方は、昨年の調査でも出ているように、給食費を納めない親が物すごく増えてきている。いろんな問題を抱えているわけですね。
 もう1つは、学校給食がここまで皆さんのこういった事業も含めてやってきたことで、非常に拡充して充実して、いろんな好影響を与えた事例もあるわけです。これは地域にとってもそうです。そういう意味で、ちゃんとここまでの長期間にわたる事業の結果を再度抜本的に検証して、これはもういいねと、ここは今後すごく問題になると。
 保護者まで手を出すというのは、気持ちは分かるけど、それはほかの教育もそうですよ。学校給食だけてなく。親の教育したいという先生、山ほどいますけど、それは無理なんですよ。だから、基本的にはもう少し限られた、民間でいうと経営資源です、資金をもっと増やせればいいけれども、そうはいかないので、活用するためにも、学校給食として今やるべきことは何か。それで一番ニーズに突き刺すやり方は何か。これを考えられた方がいいと思うんですね。それはこの事業を否定しているんじゃなくて、ポジティブな意味でここは評価できたんだから、次はこうだろうという、この事業の今の類型、モデル事業ならモデル事業という類型にこだわらないで、今考えるべき時期かなと。これは是非考え直してほしいという要望にとどめます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、コメントの集計がまとまりましたので、取りまとめ役の有川先生から評価結果及び取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【有川委員】  それでは、票数の分布ですけれども、事業全体の抜本的な改善を求めるという票数が5票、事業内容の一部改善が1票という形になりました。
 主なコメントを紹介したいと思います。
 モデル事業として役割を果たしたと思われるもの、あるいは目的に対し効果を発揮できていないものなどを抜本的な見直し、スクラップ・アンド・ビルドを行うべきだ。モデル事業で課題解決策を抽出、整理できた時点でモデル事業は終了すべきだという意見。
 文科省、都道府県、学校、それぞれの役割を明確にするとともに、モデル事業として終了年度を明確にして、取組対象の絞り込みを行うべきではないかという意見。
 モデル選定校が仮に成功したとしても、長期アウトカムが達成するとは思えない。食育に関する事業は他省でも自治体でも行っている。モデル事業の段階ではなく、分析するところではないかという意見。
 ロジックモデルの作成を通じて本事業の課題が明らかになった。このプロセスは有意義なものであり、ここは積極的に評価したい。実施自治体レベルでの成果の把握をすぐに進めるとともに、特にロジックモデルに示された文科省、教育委員会、実施校の役割分担は徹底していく必要がある。
 つながるでは、明らかな成果が認められない。今後、方法論の在り方や評価の手法について再検討する必要がある。
 予算額が減り続けているのに執行率が低率で推移している状況をどう分析し、評価しているのか、説明が不足している。
 このような主な意見を紹介させていただきまして、最終的な評価結果としては、5票出されました抜本的な事業の見直し、抜本的な改善という結論にしたいと思います。
 そして、その取りまとめコメントとしては、4つほどの柱でまとめたいと思います。
 1点目の取りまとめコメントは、モデル事業として役割を果たしていると思われるもの、目的に対し効果を発揮できていないものなどを抜本的な見直しをする必要がある。
 2点目の取りまとめコメントは、モデル選定校が仮に成功したとしても、長期アウトカムが達成するとは思えない。モデル事業の段階ではなく、分析する段階に入っているのではないか。
 3点目の取りまとめコメントとして、実施自治体レベルでの成果の指標をすぐに行い、特にロジックモデルに示された文科省、教育委員会、実施校の的確な役割分担を明確にする必要がある。
 4点目の取りまとめコメントとしては、予算額が減り続けているのに、執行率が低率で推移している状況を的確に分析・評価して、適切な説明をする必要がある。
 このような取りまとめコメントで結論を出したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、どうぞよろしくお願いいたします。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  どうもありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして学校給食・食育総合推進事業の公開プロセスについて終了させていただきます。
 これで本日の文部科学省公開プロセスは終了いたしました。外部有識者の委員の皆様におかれましては、2日間にわたる長期間の検証作業の中、貴重な御意見を頂きまして心より御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
 では、これで終了でございます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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