【街 みらい】学校統廃合 児童減、避けられぬ道 跡地の活用も課題に
児童の減少に伴う小学校の規模適正化計画で、小倉北区の北小倉小と門司区の伊川小が本年度末に閉校し、それぞれ中井小、松ケ江北小と統合する。小学校の統廃合は約10年ぶり。地域からは惜しむ声もあるが、北九州市教育委員会は今後も計画を進め、学校数はさらに減る。丁寧な住民説明が求められ、跡地活用も注目を集めそうだ。
「予想以上に早く、この日が来てしまった。残念だし寂しい」。23日にあった北小倉小の閉校式で、同窓生代表の渡辺倖介さん(20)は述べた。渡辺さんは卒業後もボランティアで学校行事を手伝ってきたという。
式には児童や住民約170人が参加。1981年に694人だった児童数は減り続け、本年度は卒業生も含めて89人だった。
各校の教員や保護者、地域住民は約2年間、通学路の点検など統合準備に取り組んできた。合同の遠足や音楽鑑賞会、体育の授業を事前交流として繰り返し、2018年度は北小倉と中井が20回、伊川と松ケ江北が46回を数えた。
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小規模校は一人一人に目が届きやすい利点があると同時に、大集団での社会性の育成に課題があるとされる。市内でもクラス替えができない「学年単学級」の学校が増えており、規模の平準化は重要な課題だ。
市教委は13日の市議会教育文化委員会で、2030年度に児童数150人以下と見込まれる27小学校を、今後の適正化対象校として公表。議員からは「小学校は地域コミュニティーの拠点。なくなると周辺が過疎化するのでは」と懸念する声が出た。市教委の担当者は「環境を整備し教育を向上させるために、適正化は進めなければならない」と理解を求めた。
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小学校の統廃合は08年以来。中学校は10年が最後だ。市教委は平成以降、14小と9中を削減。跡地の大半は別の小中学校や市の施設として活用し、民間に売却した土地もある。一方で、利用された時期がある小倉南区の旧道原小と門司区の旧庄司小は現在、校舎を残した状態で未活用。民間売却のため更地にした八幡東区の旧大場谷小跡地も、売却先は決まっていない。
伊川小校舎の今後は未定。北小倉小は現在、思永中分の給食を調理しているため、閉校後も当面は調理施設として残る。卒業生の渡辺さんは「みんなの思い出が詰まった場所。市民の役に立つ施設に生まれ変わったらうれしい」と願った。
北九州市の学校規模適正化計画 伊川と北小倉の閉校で、市立小学校は2019年度、現行の132校(分校含む)から130校になる。19年度末には花房小安屋分校が閉校する。適正化対象27校のうち、離島の藍島と、統合直後の松ケ江北、通学区域を越えて通える河内、柄杓田、合馬を除く22校から、次の対象が決まる。
児童数は宅地開発やマンション建設で増加する地域もあるが、全市的には減少。18年度の約4万7千人が、45年度には25%減の約3万5千人になると見込まれる。中学校生徒も同じ傾向で、中学校の規模適正化にも今後本格的に着手する。
=2019/03/24付 西日本新聞朝刊=