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学校内事故、見舞金制度見直しを 久留米誤嚥訴訟原告側が会設立「障害者に差別的」

 久留米市立久留米特別支援学校に通っていた河村啓太さん(20)が給食中の誤嚥(ごえん)で重い脳障害を負った事故を巡り、日本スポーツ振興センター(東京)に見舞金の支払いを求めた訴訟の一審で敗訴した母親の和美さん(53)が、見舞金支給制度の是正を目指す「事故補償を求める会」を、原告弁護士とともに設立した。

 啓太さんは脳性まひで身障者1級の認定を受けている。同校中学部に在籍していた2012年9月、担任教諭の介助で給食を食べていたところ、のどに詰まらせて窒息。約30分間心肺停止状態になった。意思疎通ができなくなるなど重い後遺症を負ったが、見舞金を求めた訴訟の一審判決(昨年8月)で、地裁久留米支部は、事故前から啓太さんの脳障害は重度だったとして請求を退けた。

 同センターによると、見舞金支給制度は障害の程度に応じて1~14級に分類。例えば、一眼失明の7級の障害者が事故で両眼を失明した場合、最重度の1級と認定した上で、1級と7級の支給額の差額を支払うという。啓太さんは誤嚥事故前に既に1級に認定されており、これ以上の等級はないため、見舞金の対象外となった。地裁久留米支部も「制度は不合理とは言えない」と判断した。

 弁護団は、健常者が失明した場合には1級の支給額がそのまま支払われる点に注目し、「同じ制度なのに障害者への支給を差額で算出するのは障害者差別ではないか」と問題視。「そもそも事故前の障害の程度を等級に当てはめる必要があるのか」とも主張する。

 福岡高裁で1月17日にあった控訴審の第1回口頭弁論で、和美さんは「障害がある子どもがきちんと補償を受けられるように制度の改善を願います」と意見陳述した。会は今後、学習会や署名活動を通して賛同者を募るほか、国会議員への働き掛けなども検討しており、和美さんは「制度の見直しにつなげたい」と話している。

=2019/02/03付 西日本新聞朝刊=

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