学校における働き方改革特別部会(第17回) 議事録

1.日時

平成30年9月27日(木曜日)15時30分~18時00分

2.場所

東海大学校友会館 阿蘇の間

3.議題

  1. 時間外勤務抑制に向けた制度的措置の在り方について
  2. その他

4.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会
学校における働き方改革特別部会(第17回)
平成30年9月27日


【小川部会長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第17回目になりますけれども、学校における働き方改革特別部会を開催したいと思います。
 まだお見えにならない委員いらっしゃいますけれども、後ほど到着するかと思いますので、進めさせていただければと思います。
 まず会議に先立って、事務局から御発言があるとのことですので、よろしくお願いいたします。

【下間大臣官房審議官】  失礼いたします。初等中等教育の下間でございます。冒頭に貴重なお時間を頂き、大変恐縮でございます。
 今回、文部科学省の幹部職員が国家公務員倫理法及び倫理規程違反により処分された件に関しまして、おわび申し上げたいと存じます。
 本年7月に、文部科学省の幹部職員が収賄容疑で逮捕、起訴されるという大変重大な事案が発生いたしました。これを受けて、文部科学省では、調査・検証チームを立ち上げまして、職員の服務規律の遵守状況等に係る調査を実施し、その結果を受けて、幹部職員3名について懲戒処分、1名について矯正措置を講じたところでございます。
 その中で、戸谷前事務次官及び高橋前初等中等教育局長から、当該処分を非常に重く受け止め、これを機に身を引きたいという申出がなされ、9月21日付で辞職いたしました。これら一連の事案により、教育行政に対する信頼を著しく損ねましたこと、国民の皆様、全国の教育関係者の皆様、学校現場の皆様に対して大変申し訳なく、心よりおわび申し上げます。
 今後、省として、事実解明を引き続き進め、再発防止策を講じ、職員の服務規律の遵守の一層の徹底を図りますとともに、学校における働き方改革をはじめとした、今まさに取り組んでいる文部科学省行政の重要課題への対応や日々の業務を一瞬の遅滞もなく進めるべく、一生懸命に取り組んでまいります。引き続き委員の先生方の御指導を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。

【小川部会長】  それでは、議事に入っていきたいと思いますけれども、まず本日の配付資料について、事務局から説明をお願いいたします。

【鞠子初等中等教育企画課課長補佐】  お配りしております議事次第にございますとおり、机上には資料1から資料5-4と、参考資料1から6をお配りしております。あわせて、御参考までに前回までの配付資料を机上に置かせていただいております。過不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。

【小川部会長】  資料の確認はよろしいでしょうか。
 それでは、きょうの議事の進め方ですけれども、最初に、平成31年度概算要求と、あと、平成28年度の教員勤務実態調査の確定値が出てきましたので、最初にこの2件について事務局の方から説明を受けたいと思います。その後に、前回から引き続いております時間外勤務抑制に向けた制度的措置の在り方について、議論を進めていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 それでは、最初に、平成31年度概算要求事項のうち、特に初等中等に関わること、また、本部会の審議に関わる部分と、平成28年度教員勤務実態調査の確定値の内容について、御報告いただければと思います。これは資料1と資料2に基づいて、合田財務課長の方からよろしくお願いいたします。

【合田財務課長】  失礼いたします。それでは、今、部会長からお話がございました概算要求と、それから、勤務実態調査の分析につきまして御説明申し上げたいと思っております。
 まず資料1をごらんいただければと思います。資料1でございますけれども、初中局の概算要求の主要事項ということでございまして、8月末に初中局としては、2兆500億円余の概算要求をさせていただいているところでございます。
 大きく柱としては、1つ目には、本部会に直接関わります働き方改革と教育の質の向上の両立のための予算という固まりでございます。それから、2つ目には、子供の学びと生活を支えるということでございまして、幼児教育の無償化、あるいは義務教育の就学援助、それから、高校の就学支援といったようなことについて、予算をまとまって要求をさせていただいているところでございます。
 それから、3つ目でございますけれども、Society5.0ということでございまして、本日も参考資料5-1、5-2ということでお配りをさせていただいておりますが、EdTechと言われる新しいテクノロジーを教育にどう活用するのか。それから、高校改革、特に地域との関係を重視した高校改革ということを柱とした予算。この3つの大きな柱で概算要求をさせていただいているところでございますが、特に本日はこの1つ目の働き方改革に関する予算について、御報告をさせていただきたいと思っております。
 この資料1の13ページをごらんいただきたいと思っております。資料1の13ページでございますけれども、新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革のための指導・運営体制の構築というものでございます。これにつきましては、先生方御案内のとおり、2017年から2026年までの10か年を見通しまして、新しい次世代の学校指導体制の確立という観点で、予算を要求しているところでございますけれども、全体の構造としては、この右の上の方にございますけれども、義務教育費国庫負担金、68万8,000人の小・中学校の先生方の給与の3分の1を負担しております負担金につきまして、お目通しを頂いておりますように、真ん中あたりに▲62億円というものがございます。来年度も小・中学校併せて9万人の児童生徒数の減少が見込まれるところでございますので、それに伴う教職員定数の自然減として、▲2,872人、▲62億円。それから、一番下でございますが、教職員が今、代替わりで若返りが進んでおります。その給与減ということで、▲28億円ということでございます。
 他方、一番上にございますように、2,615人の定数の改善、56億円増ということで、要求をいたしておりますし、昨年の義務標準法の改正に伴う加配定数の基礎定数化に伴う増ということで、来年度、246人、5億円増ということで、要求しているところでございます。
 その具体的な内訳でございますけれども、真ん中の左の方をごらんいただきますと、学校における働き方改革ということで、2,000人要求をさせていただいております。①小学校専科指導の充実とございますけれども、本年度予算にも2020年度から新しい指導要領によって、週1コマ、授業時数が増加いたします小学校の外国語指導のために1,000人の加配教員を措置したところでございますが、来年度につきましても1,000人要求をしているところでございます。
 また、中学校の生徒指導体制の強化ということでございまして、これも6学級以上の中学校に生徒指導担当の教員を配置できるようにするというものでございます。既に1,800人ほどを配置しておりますけれども、来年度は、これについて500人の増ということで要求をしているところでございます。
 それから、その下、2ポツの学校の運営体制の強化のところでございますが、本部会でも何度か御議論がございました共同学校事務体制の強化ということで、事務職員の加配ということで、400人要求をしてございます。中学校区に1名ずつ配置することによって、共同学校事務を進めていくという観点で、既に1,175人配置をしておりますが、それに加え、400人要求をしているというものでございます。
 それから、その下の主幹教諭の配置充実による学校マネジメントの機能強化ということで、これも本部会で主幹教諭の配置の充実という御議論を頂いたところでございます。15学級以上の1万校の学校の主幹教諭の持ちコマ数を半分にするための教員の配置ということで、既に1,700人配置をしておりますが、来年度はそれに加えて100人要求をしているところでございます。
 右側でございますけれども、複雑化・困難化する教育課題への対応ということで、②貧困等に起因する学力課題への解消ということで、全国で1,000校ほど、全国学力・学習状況調査の結果からも極めて厳しい状況にある学校があるということが分かってございます。これにつきまして、加配を配置していくということで、500人、加配教員を要求しているところでございます。
 これらの加配の要求というのが全体として2,615人ということでございまして、それに加えまして、その下に、括弧でございますけれども、昨年の義務標準法の改正に伴う基礎定数化で、246人増ということで、要求をさせていただいているところでございます。
 それから、その次のページをごらんいただければと思います。教職員の定数の改善に加えまして、本部会でも御指導いただいております外部人材の活用という観点での予算も要求しておりまして、14ページでございますけれども、左側の学習指導員、これは本年度と同額の7,700人、31億円、要求してございます。
 それに加えまして、右側のスクール・サポート・スタッフ、本年度は3,000人、措置をさせていただきましたけれども、来年度は4,000人ということで要求をさせていただいております。特に副校長・教頭サポートということで、東京都などでは教員をサポートするスクール・サポート・スタッフに加えて、副校長や教頭をサポートする、そういうサポート・スタッフを配置したところ、管理職の勤務時間が極めて大きく減少したという事例もございます。そのような形でサポート・スタッフも充実させていただきたいと思っております。
 また、その下の中学校における部活動指導員の配置でございますが、本年度は4,500人配置をさせていただいているところでございますが、これを1万2,000人ということで、大きく増加、増額をしたいということで要求をしているところでございます。2018年度、19年度、20年度、21年度のこの4か年で、全国1万校の中学校3人ずつ3万人配置をするということで、しっかりと取り組ませていただきたいと思っております。
 その次のページ、15ページ目でございますけれども、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーにつきましては、スクールカウンセラーについては、全国の2万7,500校の公立小・中学校に全校配置をするという1億総活躍プラン、閣議決定でございますが、それの最終年度が来年度になりますので、そのための要求をしてございます。スクールソーシャルワーカーにつきましても、中学校区、約1万校区に1人配置をするということで、これも同様に要求しているところでございます。
 これ以外にも医療的ケア児のための看護師の配置、本年度1,500人でございますが、1,800人ですとか、理科の実験の支援を行うためのPASEOという予算、3,100校、支援をしておりますが、そのような予算も要求しているところでございまして、私ども引き続き先生方の御指導を頂きながら、しっかりと予算の確保に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
 次に、資料2-1をごらんいただければと思います。先ほど申し上げましたように、勤務実態調査、昨年の4月に速報値ということで出させていただきましたが、御説明は省かせていただきますが、資料2-2、それから、2-3というものがその確定値でございます。確定値と申しますのは、これは分析には東北大学の青木先生に大変な御尽力を頂きましたけれども、速報値のときには学校の先生方の職名について、その他と回答された方が小学校で72人、中学校で83人ほどいらっしゃったんですけれども、よくよく個票に当たって調べましたところ、東京都の主任教諭の先生方がその他という職名を選択されていたという事例がございましたので、そういうものを正しく分類し直して、集計をさせていただいたというものでございますが、数値に大きな変更はございません。
 その上で資料2-1をごらんいただければと思います。今回、この勤務実態調査の確定値を公表するのに併せまして、どのような属性、学校なり個人の属性が勤務時間の長短に影響しているのかということを分析していただいたものでございます。それが資料2-1でございますが、ポイントだけかいつまんで御報告を申し上げますと、まず1ページ目の一番上でございますけれども、平均的な勤務の状況ということで、今回の調査では、出勤・退勤時刻の平均というのを取っております。小学校で言えば、7時半に出勤をなさって、19時1分に退勤をされるというのが平均的な姿。中学校では、7時27分に出勤して、19時19分に退勤しているという一般的な姿でございまして、これはあくまでも平均でございますけれども、こういう状況がございます。
 その下でございますけれども、一人一人の勤務時間の長短というものが、個人の属性によるものか、学校の特性によるものかということを分析いたしましたところ、小学校では30%程度、中学校では20%程度が、学校間(勤務校)の違いによるという結果になってございます。比較的、学校の属性というものが大きく効いているということが言えるかと思っております。
 2ページ目をごらんいただければと思います。2ページ目は、その個人単位での分析というものでございまして、下の方に回帰分析の結果をお示ししてございますけれども、特に1%の水準で優位というものを特に挙げさせていただいているのが上の枠囲みでございます。小・中学校ともに、例えば年齢がお若いと勤務時間が長くなる傾向があると。以下、同じでございますが、「担任学級児童生徒数が多い」ですとか、あるいは主任をお務めである。「校務分掌数が多い」というような教諭の勤務時間が長い傾向にあるということでございます。
 加えて、小学校では、教科主任であるですとか、それから、現在の学校の勤務年数が短いことが勤務時間が長くなる傾向があるという状況でございます。それに対しまして、中学校では、「部活動日数が多い」などと同時に、小学校とは逆に、現在校の勤務年数が長いと、その勤務時間が長くなるという傾向がございまして、これは推測でございますけれども、比較的ジェネラルなと申しますか、同じような職務をこなしておられる小学校の先生は、その小学校に慣れていないとどうしても時間がかかるという傾向があるとも推測をされるところでございます。他方、中学校は、教科ですとか、校務分掌で分担が引かれてございますので、その学校での勤務年数が長くなると、主任だとかいろいろな仕事が加わることによって、勤務時間が長くなるのではないかとも推測されますけれども、そこのところは推測の域を出ないところでございます。
 3ページ目をごらんいただきますと、学校単位での分析ということでございまして、どのような傾向にある学校が勤務時間が長くなる傾向があるのかというものを調べたものでございまして、小学校では、「教員1人当たりの児童数が多い」、それから、先ほど見ていただいた個人の属性が教員集団に与えている影響として、例えば「子供がいない教諭が多い」ですとか、それから、「平均年齢が若い」といったようなものも出てございます。通常学級数が少なくて、学級担任以外の先生が少ないと、やはり勤務時間が長くなる傾向がある。あるいは、小学校の場合は、研究指定校であるということが勤務時間に影響しているという結果でございます。
 中学校では、教員1人当たりの生徒数が多いですとか、部活動顧問の割合が高いですとか、同じく平均年齢が若いといったようなことが、勤務時間が長くなる傾向があるということで、統計的に優位に数値が出ているというものでございます。
 4ページ目でございますけれども、これは勤務時間、1週間当たりの学内の勤務時間が60時間以上と60時間未満の2つのグループで、どこに差が大きいのかというものを分析させていただいたものでございます。
 5ページ目でございますけれども、以上の分析を踏まえまして、前回の平成18年の勤務実態調査に比べて、学内勤務時間が増加した理由ということを分析したものでございます。もちろん、今、見ていただきましたように、教員の1人当たりの児童生徒数などが先生方の勤務時間の長短に影響しているということはあるわけでございますけれども、この10年の大きなトレンドを見たときに、大きく変化をし、作用しているのではないかと思われるのがこの3つということで整理をさせていただいております。
 一つは、若年教員の増加というものでございまして、前回、平成18年度の調査よりも、小学校でも中学校でも10%以上、30歳以下の先生の割合が増えているということがごらんをいただけると思います。
 それから、2つ目には、総授業時数の増加ということでございまして、小学校高学年では、2008年の指導要領の改訂によりまして、例えば小学校の高学年では、週27コマが28コマに、中学校では28コマが29コマになったということが大きいというふうに考えられます。
 最後に、部活動でございますけれども、中学校における部活動の増加でございますが、部活動自体の増加というよりも、部活動に立ち会う先生方の時間の増加というものが、特に休日、土日の部活動に関する時間の増に結び付いているのではないかというふうに考えられるところでございます。
 最後、6ページでございますけれども、これは校内のインフラという観点で、コピー機ですとか印刷機、それから、実物投影機といったようなインフラの整備が進んでいる学校ほど、教員の学内勤務時間が短い傾向があるということをお示しをさせていただいたものでございます。
 これらのインフラを活用して、先生を支えるのが、今、配置を進めておりますスクール・サポート・スタッフということになろうかと存じております。
 今日の後半、今後のこの部会でのまとめの議論に向けて御議論賜るわけでございますし、ガイドラインの議論、前回頂きましたけれども、この場で頂きましたように、ガイドラインというものはあくまでも先生方の勤務時間を減少させるトリガーと申しますか、重要な大きな枠組みだと思っております。しかしながら、このガイドラインで終わりというわけではなくて、教職員定数の改善ですとか、あるいは教員の勤務の状況に応じた勤務時間管理の徹底、勤務制度の枠組み、それから、外部人材の活用と、様々な取組を総合的にやっていくと。やっていかないと、このガイドラインに収まらないというような枠組みを示すのがガイドラインかと思っておりますけれども、この勤務実態調査の分析なども踏まえながら、どのような施策が効果的なのかという観点から、是非、更に御議論を深めていただければ有り難いと考えている次第でございます。
 以上でございます。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 それでは、資料1の平成31年度概算要求の内容と、資料2、特に資料2-1ですね。勤務実態調査の確定値を踏まえた幾つかの分析結果になりますけれども、この内容について、部会の審議の内容にも直接関わるものですので、少し時間を取って、委員の方から御質問があればお受けしたいと思います。
 最初に資料1の概算要求の説明内容について、皆さんの方から何か質問があれば、余り時間は取りたくないんですけれども、二、三あればお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
 はい。マイクをお願いします。

【天笠委員】  どうもありがとうございました。1点御質問させていただきます。それは説明ありました小学校専科教員、とりわけ小学校、外国語に対応する専科教員の確保ということで御説明がありまして、基本的には、私はこの政策の振興というのを高く評価している一人であります。巷間(こうかん)、いろいろと雀(すずめ)の涙というふうな、そういう指摘もなくはないので、確かにそういう側面はあるかもしれませんけれども、ただ、私は、これ、着実にこの政策を手を打っていただければというふうに、そういうふうに願っている一人なんですけれども、質問させていただきたいのは、現状は11,000で、今御説明の更に1,000ということなんですけれども、これは何か見通しと言うんですか。将来的な目指すところがあって、御説明いただいたような形の累積等々という、そういうことで進められているのか、そこら辺との、この点の充実策ということについての全体的な目指すところとか方向性とかありましたら御説明を聞かせていただければと思います。

【小川部会長】  財務課長、お願いします。

【合田財務課長】  今、天笠先生からお尋ね、御質問がございました件ですけれども、これは昨年度、要求する際に、先ほど来お話がございますように、2020年度から、小学校の中学年、高学年におきまして、年間35コマ、週1コマ、総授業時数が増加すると。とにかく手当をしなければならないのは、この授業時数の増加が先生方の勤務時間の増になってはいけないということでございまして、その観点から、私ども小学校のこの1コマ増に対応する必要な専科教員の数ということで計算をさせていただいて、それが4,000人ということでございます。
 今年度1,000人配置をさせていただいて、今回、概算要求で、来年度に向けて1,000人要求をさせていただいております。それが18年度、19年度でございますので、2020年度には残りの2,000というものを要求させていただいて、これが今後、財務省との調整というのがもちろんあるわけでございますけれども、しかしながら、本年度要求をさせていただいた、この1,000人というものは、先生方、特に小学校の先生方、1日に4時間25分、教壇に立っていらっしゃるという、この現状を踏まえたときに、絶対に必要な加配の措置であるということで取り組ませていただいているということでございます。
 それに加えまして、今後これから御議論いただく様々な施策、それから、学習指導員の配置などを通しまして、小学校の先生方の授業負担の在り方ということについて、本部会での御議論も踏まえながら条件整備をしっかり図らせていただきたいと考えてございます。
【小川部会長】  よろしいですかね。
【天笠委員】  どうも。

【小川部会長】  ほか、ありますか。一、二あれば。妹尾さんと相原委員で終わりにしたいと思います。

【妹尾委員】  ありがとうございます。2点質問したいと思います。
 1点目は、部活動指導員なんですけれども、将来も拡大する方向であるというのはいいニュースだなと思いましたが、よく言われていることかもしれませんけれども、これは13億円の要求で、1万2,000人で、一人頭で言うと年間11万円ほどに多分なると思うんです。3分の1補助だとしても、負担だとしても、全額でいっても30万とかちょっとぐらいの額であるということで、もちろん貴重な税金ですので、どう考えるかというのはありますけれども、余りにも、結構単価が低いままだと、正直、人も、当然ですけど、集まらないというところはいろんなところで聞くわけですので、このあたりもどう考えるかということをまた、可能であればお聞かせしていただきたいなというのが1点目です。
 2点目は、先ほどの部活動指導員もそうですし、いろんなスクール・サポート・スタッフもそうなんですけれども、多くは義務教育段階の支援だと思います。もちろん小・中学校の多忙の問題は、高校とか特支以上に深刻であるというのは僕も認識しておりますし、一定の優先順位付けは大事だと思いますけれども、一方で、高校とか県立等の特別支援学校の長時間労働とか過密労働も看過できないという部分もあると思いますので、そのあたり、高校とか特支向けの施策というのはどのようにお考えなのかということをお聞かせいただければと思います。

【小川部会長】  はい。ちょっと待ってください。続けて相原委員の方から質問を受けてから、回答をお願いします。

【相原委員】  90ページにある「Society5.0に向けた人材育成」について、既にこの6月に文科大臣の懇談会による報告書が出されており、そのタイトル付けでの予算ということですから、技術的な側面から教育現場に引き付けていくための予算ということはよく理解しました。
 一方で、今、世の中で言われているのは、民間の活力なども得て、Society5.0を社会に実装していくことと、SDGsの観点です。人々の行動原則や原理、行動基準をどのように変えていくべきかは教育的な見地からも大変重要だと思っています。タイトルは「Society5.0に向けた人材育成」ですが、今の潮流としては、「Society5.0 for SDGs」という観点から教育現場に生かしていくことも大変重要と思っています。

【小川部会長】  今のは御意見ということでよろしいですね。

【相原委員】  そうですね。

【小川部会長】  では、先ほどの御質問にお答えできる範囲でお願いします。

【合田財務課長】  中学校における部活動指導員でございますが、今、妹尾先生からお話がございましたように、おおむね1回2時間、それを週に3回、それを35週ということでございまして、お1人の1時間の単価が1,600円ということでございますから、おおむねお1人、さっきお話がございましたように、35万円程度ということでございます。これについてどう考えるかというのがあるわけでございますが、まずはこれは私ども、この部活動指導員を非常勤の地方公務員という位置付けにしていただいて、中学校の先生が顧問をしなくても大丈夫だとか、公式戦の引率をしなくても大丈夫だという関係を作っていくことが大事だというふうに思っております。
 人材確保という観点から、いろいろ地方で御苦労なさっておられた話も聞きますけれども、他方で、やはり教員のOBの方ですとか、あるいは教育大学の学生さんでいらっしゃるとか、あるいは地元の体協の方と連携しながら、ほかの仕事に就いてらっしゃる方が力をかしてくださったりとかといった形で人材を確保している自治体もあるようでございます。
 これはいろいろ国会の立法府の方の議論では、こういったものをある程度資格化していくことによって、人材のパイプを作っていこうという議論があるようでございますので、我々はそういう形で部活動指導員がうまく生きていくように取り組ませていただきたいと思っております。
 それから、部活動指導員でございますが、高校も、これは大変大事だというふうに思っておりまして、妹尾先生御案内のとおり、高校は地財措置でございますが、本年度の30年度の1,800人の地財措置を組み込ませていただいているところでございまして、我々は引き続きしっかりとした充実を図っていきたいというふうに思っています。
 最後、相原先生の御指摘の点でございますけれども、御指摘頂いたように、今回のこの予算はSociety5.0という社会の構造的な変化に着目して書かせていただいておりましたけれども、もとよりSDGsの重要性というのは、全く御指摘のとおりでございまして、特に、今回、2017年に改訂された指導要領でも、小学校でも中学校でもSDGsの問題をむしろ真正面に据えて、そして、持続可能な社会の担い手を育成するというのが今回の指導要領の大きな眼目になってございますので、我々、その観点をしっかりと踏まえてやらせていただきたいと存じます。
 以上でございます。

【小川部会長】  ありがとうございました。いろいろあるかと思いますけれども、この辺で切らせていただきます。あと御意見ある場合には、最後の方に議論する時間を設けておりますので、その中で御発言いただければと思います。
 それでは、もう一つの報告がありました資料2の勤務実態調査の確定値ですが、特に資料2-1の幾つかの分析の内容について、皆さんの方から御質問ないし意見があれば、幾つか受けたいと思います。
 相原委員、先ほど御質問があったということで、最初にお願いします。

【相原委員】  資料2-1の関係です。御丁寧な説明をありがとうございました。多面的な分析があるので、よくよく勉強したいと思います。2つお尋ねします。
 1つは、結局のところ、先生たちは年間で何時間働いているのかを教えていただきたいと思います。分析的な中身は後ほどよく拝見しますが、総労働時間は何時間なのかを御教示ください。それが1つです。 もう1つは、先ほどコマ数の話もありましたが、標準時間が1,000時間ちょっと超えるぐらいだと理解しますが、標準時間そのものに上限の設定はあるんでしょうか。
 先ほど課長から御説明があったとおり、きょうの議論に関係しますが、働き方改革の観点から総合対策を打っていく際に、オーバータイムをどうするのか。若しくは総労働時間の縮減をどうするのか。標準時間の上限がないとすれば、それをどうするのか。若しくは標準時間も動かせるというのであれば、年間の総授業時間数を削減することだって、今後の方策の一つに入ってくるのではないかと思っております。授業時間数の短縮も含めて、総合対策の一翼を担えるのではないかと思っておりますので、教えてください。

【小川部会長】  最後の方の議論にも関わるんですけれども、今お答えできる範囲で、今、お願いいたします。

【合田財務課長】  相原委員の御質問の件でございますが、1年間という観点で申し上げます。これはあくまでも推計というふうに御理解いただければと思います。と申しますのは、この昨年公表した速報値の調査は、年間の一定の期間について在校時間を調査したというものでございますので、仮にそれを前提にして、しかも、学校には夏休み等ございますので、夏休み等は、これは推計に推計を重ねて計算をすると、月で申しますと、小学校の先生は、平均で申しますと、平均でおおむね59時間ぐらい、時間外に勤務してらっしゃるんだろうというふうに思いますし、それから、中学校におきましては、部活動がありますので、月、これは夏休みなども含めて、ならして平均81時間程度、時間外勤務をなさっているんだろうなというふうに思っております。
 これは今回の勤務実態調査の数字をそのままトレースすればということでございますが、そこから相原委員が先ほどおっしゃっていただきました年間でどうなんだということがございますが、これも推計は難しいわけでございますが、今申し上げた数字を単純に足し上げますと、教員の法定の勤務時間、これも非常に大ざっぱな数字で恐縮でございますが、大ざっぱに申し上げますと、年間2,000時間弱でございますけれども、それに対して小学校の先生方は、今申し上げた数字を単純に積み上げたイメージとして申し上げれば、年間800時間程度、中学校の先生方は1,000時間を超える程度の総量で、今回の調査で言うところの勤務時間と申しますか、在校、在勤時間であるという状況かと思っております。
 これをこれからこれまでも御議論いただきましたが、更にどういうガイドラインで上限を見定めて、具体的にどう減らしていくのかという議論の詰めを、あらゆる施策を総合的に組み合わせることによって、どう実現していくのかという御議論を賜れればと思っているところでございます。
 それから、後半の御質問でございますけれども、御指摘のとおり、中学校で言えば1,015時間、小学校の高学年であれば980時間という、年間の総授業時数というのは決まってございます。総授業時数というのは、標準だというふうに言っておりまして、学習指導要領自体は、基本的に、そこに書かれてある指導内容や、それから、指導時間というのは、基本的には下回らないことという構造になっておりますので、それを上回って指導するということに何か上限規制があるわけではございません。
 したがいまして、実際に小・中学校の授業計画上の時数を取ってみますと、標準授業時数どおりのところもございますけれども、そこから、週で申し上げれば、1コマ、2コマ、3コマ、多くカリキュラムを組んでらっしゃる学校も、そういう授業計画を作ってらっしゃる学校もあるという状況でございます。
 現状から申し上げれば、そういったことについて、上限というものを法令上、制度上、設けているというわけではございません。ただし、これはこれからこの部会での御議論もあろうかと思いますけれども、しかも、その増やしている学校には、それぞれの学校の事情もあろうかと思います。目の前の子供たちの知識や語彙が足りないので、やはり何とかして身に付けさせてあげたいということで、組んでらっしゃるという事情もあるかとは思いますけれども、他方で、ここで議論されている働き方改革という観点から言えば、より効果的な時間配分という観点で、これから学校にも検討していただく必要があるのかなと思っておりますが、相原委員がおっしゃったこと自体が本部会における一つの議論の論点かなというふうに思っております。

【相原委員】  すみません。確認ですけど。

【小川部会長】  はい、どうぞ。

【相原委員】  ありがとうございました。確認ですが、最初の総労働時間は2,000弱足す800とか、2,000弱足す1,000というのが推計に推計を重ねたものの総労働時間という認識でいいわけですね。

【合田財務課長】  これからガイドラインの御議論があろうかと思いますので、その場合、その労働時間とか勤務時間といった場合に、いわゆる労働法制上の労働時間とはちょっと異同がございますけれども、学校において、あるいはその部活動の引率等において、先生方がそういう勤務に従事しているという意味においては、御指摘のとおりかと思います。
【小川部会長】  相原委員の方でも御意見あるかと思いますけれども、後半の議論のときに御発言いただければと思います。
 では、川田委員、佐古委員、そして、最後、妹尾委員でお願いいたします。

【川田委員】  ありがとうございます。質問というよりは、もしかしたら感想に近いかもしれないコメントですが、資料1の中で、労働時間が特に長いというところに着目した分析がされているかと思います。その点はもちろん長時間労働に対して歯止めを掛けるという点から最も重要な点であることは間違いないわけですが、ちょっと考えたのは、例えば逆に労働時間が短い方の働き方がどうなっているかであるとか、あるいは前回もちょっと議論に出た、育児とか介護の負担がある方について、子供の状況、介護はもしかしたらこのデータからは拾えないのかもしれませんが、もし可能であれば、そういう働き方を、育児とか介護の負担を伴うような働き方をしている方の働き方に、そうではない人と比べてどういう点に特徴があるのか。こういった点も可能な範囲内で見ておく必要があるのではないかということです。
 今後は働き方改革に関する議論を進めていく中で、例えば仕事の配分を見直す中で、それまでの状況に極端な大きな開きがあって、仕事の負担がそれまで極端に少なかった方について、時間が増えざるを得ないかなというようなケースが全くないわけではないとは思うんですが、基本的には今回の改革に伴う施策をしたことで、働く時間が増えるということはないはずだと思いますので、そういう観点から具体的な施策をしていく上で、例えば現状で働く時間が少ない人の時間が増えてしまう可能性であるとか、あるいは既に前回議論があったと思いますが、育児とか介護の負担がある方について、何か特別な考慮が必要かということを考える前提で、可能であれば、今申し上げたようなデータを拾い出して分析するということも必要かもしれないなというふうに考えているということです。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 今の御質問というか、御意見について何か課長の方からございますか。

【合田財務課長】  2-1の、例えば2ページをごらんいただきますと、今、川田先生から頂いた問題意識、私どもも捉えて、もしお示しできるものがあればお示ししたいと思っておりますが、今お示ししているデータの中でも、この真ん中の回帰分析のところでございますが、例えば小学校で申しますと、縦にQ1からずっと並んでおりますが、Q14-1、6歳児未満の子供がおありであるという項目がございます。これはこの1%の水準で優位というふうになっておりまして、マイナス41となってございますので、そういう子供をお持ちの先生は、1日平均41分、勤務時間が短いという状況でございます。中学校でいきますと、同じくQ14で、マイナス29分ということでございますので、ここは恐らく、むしろ学校長の先生、委員の先生方にお聞きしたいんですが、恐らく様々な工夫とか取組をなさって、学校全体として配慮をなさっておられるんだろうなというふうに思っております。
 それから、学校全体の取組としては、3ページでございますけれども、例えば小学校で申しますと、「土日に行事がある」ですとか、「ノー残業デー実施回数が少ない」ですとか、「研究指定校である」ということが勤務時間が長い傾向がございます。「出勤システム管理を導入していない」といったことが中学校では、平均勤務時間が長い傾向にあるというところもございますので、これは逆に申しますと、こういう取組をしているということが勤務時間の減少に効果というか、一定の役割を果たしているということになろうかと思っておりますので、その辺も踏まえて、必要であれば、またデータを御紹介させていただきたいと存じます。

【小川部会長】  よろしくお願いします。
 川田委員、よろしいですね。

【川田委員】  はい。

【小川部会長】  佐古委員、どうぞ。

【佐古委員】  ありがとうございました。非常に詳細な分析で、今まで何となくボヤッとしていたものの姿が少し見えたように私は思っています。一つは、勤務時間が増えているというけれど、中身について言うと、これは分析の手法がどの程度信頼性があるかどうかという話もあるとは思いますが、それは置くとしまして、授業や授業準備、それから、成績等のいわゆる教員の本来的な業務に関するものの増え方が目立っていることが、示されたと思います。つまり、この間増えているのはいろんなことがありますが、本来的な授業に関する時間が増えて先生は忙しくなっていることです。
 これについては、授業時数の増分という話が出ましたけれども、恐らくそれだけではなくて、特に小学校は教えることの中身が複雑化していまして、非常に難しくなっているということがあらわれていると思います。そのことと関連する形で、多分若手の先生の勤務時間が長いというのは、やはり若い先生にはなかなか対応困難な状況が、本来的な業務のところで起こっているのではないかというような印象を私は持ちました。
 これは私の解釈なので、そのことについてまたほかの先生の御意見もお聞ききしたいと思いますが、ここでは時間というものを問題にしてきたように思うんですけれども、勤務を行う人の問題を考えると、やっぱりこれから若い先生の力をどのように伸ばしていくのかということを一方で考えていくことが必要ではないかと思います。
 そうなると、その若い先生をどんなふうにこれから学校の中で育てるかということも、これはこの部会の本来的な目的ではないかも分かりませんが、そういうことも目を向けて考えていかないと、なかなかこれから若い先生をめぐる学校の状況は難しいというように思っています。だから、端的に言うと、校内研修や研修等をいかにこの限られた時間の中に効果的に行っていくのかを考えていく必要があるのではないかと思っております。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 では、最後、妹尾委員、どうぞ。

【妹尾委員】  先ほど佐古先生から御指摘頂いたように、この働き方改革とはいえ、人材育成の部分もものすごい大事だというのは御指摘のとおりだと思います。ここ、すごく共感いたしました。少し質問といいますか、主に質問ですけれども、4点ほど、このデータ関係でさせていただきたいと思います。
 1点目は、部活の顧問の割合という話があったんですけれども、これは例えば20人の教職員がいて、そのうち、例えば20人が全部、部活の顧問を持っていたら100%とか、そういう割合で計っているんでしょうかという純粋な質問です。ちょっと意見としては、部活動指導時間で何で取らなかったのかなというのが疑問でしたというところが1点目です。
 次、2点目なんですけれども、この教員勤務実態調査で休憩時間についても調査されているとは思うんですが、これは結局、何分だったのかということが気になります。関連して、資料2-1の4ページ目、これでは週60時間以上と未満の人の比較がありますけれども、一番下の方、その他の1個上、休憩というのがありまして、要は、1分や3分、6分というような話でして、これはもちろん調査の設計自体が15分か30分単位でたしか取っていたと思いますから、その時間丸々休憩してないと、休憩というふうにマークしないというのは、いろんなそういった調査上の限界もあるんでしょうが、とはいえ、前々から申し上げているように、休憩がほとんどないというのは、これは大問題なので、これは改めて休憩の実態はどうなのかということについて、何か御存じのこと、あるいはデータを出せるのであれば、次回でも出してください。
 3点目、先ほどこれの同じ資料の2ページ目で、6歳未満の子供ありの場合などは、勤務時間が短い傾向にあるというのはもちろん工夫されている部分もおありでしょうが、確認なんですが、これはいずれも持ち帰りはなしということで、要するに、学内にいる時間を従属変数に取っているんだと思いますけれども、自宅残業も含めたトータルで分析されるとどうなのかなというのは、これは次回までは難しかったら難しかったでいいんですけれども、またどこかで見たいなと。要するに、自宅等でのシャドーワークが結局増えている部分もありますので、そこは見たいですし、もう少し単純集計の結果としても、自宅の持ち帰りを含めた教員一人頭のトータルの時間というのがどれくらいの勤務をされているのかなというのは、非常に関心があるので、健康管理上もそこは大事になってきますので、またどこかで整理をしていただきたいという要望もお伝えしておきたいと思います。これは3点目。
 4点目、P3、同じペーパーの3ページ目なんですけれども、もちろんこういった、非常に貴重な分析で、こういった特徴がありますよというのはものすごいメッセージなんですが、同時に我々が見ないといけないのは、この回帰分析上、余り差が出なかったというところも注目しないといけないと思っていまして、僕の素人目で恐縮ですが、学校課題と書いてある部分とかはほとんど、まあ、小学校の要保護等を除きまして、ほとんど統計上、優位な差が付いていません。要するに、貧困家庭が多いだとか、不登校の子が多いとか、特別支援に要する子が一人頭多いとかということで、もちろん教育的な困難度は高まるとは予想されるんだけれども、これが必ずしも長時間労働の方には影響していない学校も多いというメッセージだと思いますので、ついつい我々は学校のそういった環境のせいで、いろいろ忙しいんだというふうにみなしがちですけれども、そういったイメージと、実際、データ分析した結果はちょっと違うということは1個の大きな示唆かなと思いましたので、このあたり、もし関連するコメントがあればお願いいたします。
 以上です。
【小川部会長】  お答えできる範囲で構いません。よろしくお願いします。

【合田財務課長】  1つ目の御指摘については、そのとおりでございます。そういうことでございます。
 部活動の指導時間との比較というのは、指導時間自体が、何と言ったらいいんでしょうか。総学内勤務時間の一つの要素なものでございますから、ちょっと分析が難しかったかなというふうに思っております。
 休憩時間とか持ち帰りの時間、トータルの件は、確認をさせていただいて、御報告をさせていただきたいと思っております。
 それから、最後の御指摘につきましても、これは私どもとにかくデータからフラットに回帰分析をしていただいた結果でございます。これはあくまでも回帰分析の結果の御報告でございますので、私どもこれらの教育課題が先生方の勤務の量、あるいは場合によっては質に大きな影響を及ぼしているということはあり得るんだろうなと思っておりますので、そこは更に見させていただきたいと思っております。
 以上でございます。

【妹尾委員】  ありがとうございます。

【小川部会長】  よろしいですね。はい。
 では、最後、この分析に携わってくれた青木委員から何か補足があればよろしくお願いします。

【青木委員】  ありがとうございます。相原委員がおっしゃったのは、総労働時間の推計に関してなんですけれども、これは2006年の勤務実態調査では、7月から6か月間やっていますので、その6か月にわたる時間の推移というのがありますので、そういったものを参考になさって推計されているということです。
 それから、これは個人的な意見ですけれども、ICカード等々でより確実な時間データが1年間にわたって、各学校や各地域で得られつつありますので、そういったものが蓄積されていけば、より精度の上がった推計もできるようになると思います。
 次に、川田委員がおっしゃっていたことですけど、平成18年には、短い人に注目した研究をしまして、そのときにはやはり持ち帰りができる子育て期の女性教諭が比較的残業時間が短かったというのが分かったということはあります。
 最後に、グッドプラクティスに関しては、この2016年の調査に関しても学校全体として短い学校というのに注目して、訪問してお話を伺いましたら、その中で幾つか分かったんですが、外形的な条件で、強制的に勤務のお尻が決まっているというような学校でした。例えばスクールバスを走らせている学校ですとか、部活の場所を地域や部活動間で共有しているというようなこと。いずれにしても、そういうような要素に注目して、これから議論ができるかなと思っています。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 それでは、これで資料1、資料2-1の意見交換を終わりたいと思います。
 続けて、きょうの本題である時間外勤務抑制に向けた制度的措置の在り方について、議論に入っていきたいと思います。
 今回は、前回、議論いただいたガイドラインの策定に向けた意見交換に関わって、前回の会議で委員から出された意見を整理したものがありますので、それを中心に最初議論していきたいと思います。その後にガイドラインの策定を含めた時間外勤務抑制に向けた制度的措置の在り方全体について、議論していきたいと思います。そのようにこの後は進めさせていただきたいと思います。
 最初は、ガイドラインに関することですけれども、資料3で、学校における働き方改革全体で、このガイドラインの策定をどう位置付けるかということを確認するために、最初、資料3について事務局から説明していただきます。
 その後に、前回の議論を踏まえたガイドラインの策定に向けての議論を資料4に基づいて、進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
 では、初中局の佐藤企画官から資料3、資料4の御説明をお願いいたします。

【佐藤初等中等教育局企画官】  よろしくお願いします。まず資料3の方をごらんいただければと思います。今御紹介ございましたように、教師の長時間勤務是正のために、総合的な取組を進めていかないといけないということの確認ということで、前回に引き続き資料5を出させていただいております。先ほど財務課長の方からもございましたけれども、この後御議論いただきます勤務時間の上限に関するガイドラインにつきましても、単純にこれだけ出して、これを守りなさいということで終わりということでは当然ございませんで、そこにございますとおり、例えば(1)業務の役割分担・適正化についても、「中間まとめ」の中でいろいろと示していただいたところでございますけれども、また、それに加えて、教育課程の弾力的運用についての検討ということも含めて、一層推進していく必要があるということ。そして、(4)勤務時間管理の徹底・適正な勤務時間の設定につきましても、これも中間まとめで示していただきまして、実際に今年度、学校閉庁日等の取組が進んでいるところでございますけれども、そういったことを一層進めていく必要があるというふうに認識をしております。
 また、本部会におきまして、中間まとめ以降、御議論いただいております(2)の学校の組織運営体制の在り方の改善。そして、(3)の学校の労働安全衛生管理の徹底ということについても、併せて対策を講じていく必要があると。そして、冒頭、財務課長の方から御説明しましたように、文科省としても、これらの取組を後押しするための予算を着実に確保、充実させていくということで対応していきたいということで、この資料を出させていただいております。
 また、ガイドラインの後に、(6)の時間外勤務抑制に向けた制度的措置の在り方の検討についての御議論を頂く予定でございますけれども、その制度的措置の議論に関しましても、それ単体でどうこうということではなくて、ここに挙げましたような様々なほかの施策と相まって進めていかないといけないということをまず確認をさせていただければと思います。
 そして、次に、資料4の方に移っていただければと思います。資料4でございますけれども、前回、公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインについての論点ということで、事務局から整理をさせていただきまして、委員の方から全体についての御意見を頂きましたので、その意見をまとめという形でまとめさせていただいております。
 1ページ目のところの経緯は、前回に続き、中間まとめの緊急対策の中で策定について触れられているということを述べております。そして、ガイドラインに盛り込むべき事項でございますけれども、まずガイドラインの対象者といたしましては、前回の御意見の中で、働き方改革推進法に定める時間外労働の規制が適用されない、給特法の対象者。すなわち公立の義務教育諸学校等の教育職員を対象とすべきという御意見を頂いております。
 1ページめくっていただきまして、2ページに移っていただきまして、上の方からでございますけれども、本ガイドラインにおいて対象とする「勤務時間」の考え方につきましては、御意見としては、「超勤4項目」以外の業務についてもしっかりと対象として把握をしていくべきであると。ただ、「超勤4項目」以外の業務につきましては、単純に職務命令の有無というところで外縁を管理できないため、工夫が必要であると。
 そして、例えばということで、学校に在校している時間を基本として考えてはどうかという御意見を頂いておりますし、関連しまして、在校していても、自発的な純粋な自己研鑽(けんさん)というものについては控除するべきではないか。また、在校時間以外につきましても、テレワーク等についても対象にすべきという御意見を頂いております。
 また、次の上限の目安時間につきましては、「働き方改革推進法」で、そこに記載のとおり、規定されておりますので、そういった時間に準じるべきであろうという御意見を頂きました。
 また、次の実効性を持たせるための方策でございますけれども、ガイドラインの実施状況を踏まえて、誰がどのような対応を取るかということを明確にしていくべき。また、国のガイドラインを踏まえて、それぞれの自治体の方で上限を示すようにしていくべきであると。また、これまでも御意見を頂いておりますけれども、監督機関である人事委員会、首長との関係についても明記をしていくべきであるという御意見を頂いています。
 その他留意事項でございますけれども、まず、何のためにこういったガイドラインを策定するのかという趣旨を分かりやすく明記するべきであると。また、勤務時間につきまして、タイムカード等で客観的に把握するということをより一層徹底すべきであると。また、上限の目安を示したからといって、そこまで働かせてよいという趣旨ではないことを明らかにしていくべき。そして、次のページに行っていただきまして、中間まとめの中でも記載いただいておりますけれども、上限の目安時間を守ることを優先して真(しん)に必要な教育活動をおろそかにしたり、虚偽の記録を残したりするようなことがあってはならないということを明記すべきであると。
 また、自宅等に持ち帰って業務を行う時間が増加してしまうということは本末転倒でございますので、そういったことはそもそも趣旨に反するということを明記すべきであると。
 また、先ほど御意見の中にございましたとおり、一日の中での休憩時間をしっかりと取ることの重要性についても明記していくべきであると。
 また、働き方改革関連法案の中で、勤務間のインターバルという観点も入っておりますので、そういったことも同様に言っていくべきではないか。
 また、先ほどの資料3にございましたとおり、ガイドラインを単体として示して遵守せよということではなくて、そういったことを着実に実行していけるための関連する総合的な施策と併せて、本ガイドラインについても示していくべきであるというふうな御意見を頂いたところでございます。
 資料の説明は以上でございます。

【小川部会長】  ありがとうございました。前回、委員から様々出された意見を、今言ったようなポイントを押さえながら整理したものが資料4でございます。きょうは更に資料4に基づいて、その内容を更に深堀りするような議論をいただければと思います。
 どなたからでも構いません。発言の際には恐縮ですけれども、名札を上げていただければと思います。それでは、どうぞ。いかがでしょうか。では、妹尾委員、どうぞ。

【妹尾委員】  最後に参考資料6ということで、私からの意見、提案はペーパーにしてきましたので、読み上げることはしませんけれども、ポイントについて補足等、御意見申し上げたいと思います。もちろんいろんな御意見があっていいとは思うんですけれども、議論のきっかけになればという思いで作ってまいりました。
 まず1ページ目なんですけれども、こういった上限規制なり、上限の目安を定める意義というのは非常に大きいということだと思います。日本社会全体で、高生産性社会に行こうとしている中で、学校はそんなこと、関係ないとか、ある意味、3Kといいますか、きつい、危険、汚いではなくて、経験と勘と根性で走っているみたいなところがありますので、これはもちろん悪いとは限らないんですけど、いい面もあるんですけれども、余りにも長く子供たちのためにやればやるほどいい教師だみたいなところもありますし、部活動指導をはじめとする、長く練習すればするほど強くなる的な根性論の強い職場でありますので、そのあたりを見直していこうという機会だと思います。
 あるいは、先ほども育児の話がありましたが、そういった育児とか介護とか病気とか抱える方が働きやすいかどうか。一部の熱血教師にとってのみしか働きやすい職場ではいけないということも確認しながら、こういった何時間がいいかは要議論ですけれども、一定の規制はやるべきだろうというふうに思います。
 2の勤務時間の範囲につきましては、先ほども説明があったので、特に異存はありません。ただ、この1ページ目の後半に私、書きましたように、幾つか、これを勤務時間に含めるのかどうかという意味ではグレーゾーンがあると思いますので、もう読み上げることはいたしませんが、これらのことをFAQとかQ&Aの形でもう少し明記しておかないと、現場は混乱するであろうと思いますので、このあたり、また必要であれば、意見交換したいなと思います。
 飛ばしまして、2ページ目の3の上限時間の水準というところをごらんいただけますでしょうか。これも先ほどありましたように、働き方改革の推進法で示されている月45時間ですとかそのあたりを基本線にしましょうということで、前回もあったと思うんですけれども、もちろん例外規定もこの項でもありますので、じゃあ、教員はどっちに行くのかというところはもう少し確認しておきたいと思いますが、ここにつらつら、もう長いので読み上げませんけれども、理想的には定時で帰ることができる学校を増やすということですとか、健康管理だとか、いろんな自己研鑽(けんさん)の時間ももっと充実させようといったような、先ほどの人材育成の部分もございますので、例外の方ではなくて、原則の方である月45時間ですとかそのあたりを基礎にして、この上限も考えるべきであろうと思っております。
 しかし、ここに書いてあるように、目いっぱい働かせることが本意ではありませんし、今の教職調整額は、これも御案内のとおり、昭和41年。これはビートルズが来日した年でありますけれども、このときから変わってないのは、まあ、ポール・マッカートニーと吉永小百合と教職調整額だと僕はよく言っているんですけれども、現役なのはですね。本当に非常に歴史的なもので、随分長い時間たっているということであります。やはり今の実態と全く合ってないので、4%がいいかどうかは、後の給特法の議論も含めて、もちろん財源は限界があるとは思いますけれども、ここもこれで是(ぜ)とするかどうかというのは要議論かなとは思っておりますが、とはいえ、一定の45時間以内にするとかいう規制は賛成ですということを申し上げておきたいと思います。
 あと、3ページ目なんですけれども、次に問題となるのは、仮にですけれども、月45時間以内に収めましょう、年間360時間以内に収めましょうというふうに理想論を言うのはいいんですが、本当にそれ、可能なのかとか、どうしたら可能になるのかということは一定のシミュレーションをしておかないといけないということは、前回もあったと思いますが、このあたりもまた是非事務局の方にも出していただきたいと思います。
 先ほども教員勤務実態調査の確定値が出ましたので、こういったデータも参考にしながら、どの程度可能なのか。月45時間といいますと、普通に考えますと、部活動を平日1時間やってまして、例えば営業日で20日ちょっとありますので、それだけでももう45時間の半分は使っちゃうんですよね。それを考えますと、それはしかも土日のどこかの部活動があったりとか、そう考えると、別に部活動だけやり玉に挙げたいわけでは全くございませんが、要するに、月45時間以内という目標はかなりハードルが高いということであります。こういったことを考えたときに、こちらの3ページの上の方の線を引っ張ったところに書きましたけれども、こういう目標を学校に課すということは、もちろん社会的な要請で大事だということは、先ほど来申し上げたようにあるんですけれども、とはいえ、何かやっぱり大きな選択を迫られるといいますか、言い換えれば、痛みを伴うような改革、改善であっても、やるぞという覚悟がないと、これはできないということだと思います。
 例えばの例ですけれども、部活動を大幅に本当に削減できるのかどうかということがスポ庁のガイドラインのとき以上に、もっと考えないと、この45時間といった目標は達成できない。あるいは、給食、掃除、昼休み等の時間を学級担任が全部見ましょうということでずっといたわけですけれども、これも大きく見直さないと、恐らくできない。先ほどの休憩時間の確保の観点もありますけれども、ここも大きな問題。行事も既に精選している学校が多いんですけれども、もっと見直そうとかですね。あとは読み上げませんけれども、いろんな問題について、本当に大きなメスを入れていかないといけないということを確認したいなと思います。このあたりもまた議論したいと思います。
 仮にこういったことが限界があるというのであれば、選択肢としては数を増やすと。教員の数を増やすとか、スタッフの数を増やすとか、特に小学校は非常に先生たちの持ちコマ数が多うございますので、そのあたりも焦点ですが、どこから財源を持ってくるのかということだと思います。
 関連する提案で申し上げたいと思いますけれども、以上述べた選択肢にもよるんですけれども、本気でこの目標をやるのであれば、私は残業時間の上限だけじゃなくて、持ち時間数の上限も併せて考えないと、正直、学校現場からすると、そんな45時間とか何か目標だけ立てられても1日で6コマも持っていますよという状態では駄目だと思います。
 ちょっと関連して申し上げます。資料2-3、先ほどの教員勤務実態調査のデータで、資料2-3というのがあると思うんですが、これの後ろの方に、後ろから2枚目、31ページに、あなたは1週間、何コマの授業を持っていますかというデータがございます。これは無回答を除くと、小学校の教員の約半数は26コマ以上持っているんですよ。つまり、1日当たり、空きコマが1コマあるかないか。ない日もありますという意味ですよね。26コマ以上ということはですね。こういった実態がある中で、勤務時間の中、あるいは月、せいぜい45時間しか残業できないというのは非常に厳しいという状態でありますので、これもこの26コマ以上持っているというのはどう考えても持ち過ぎだろうというところだと思いますから、ここも含めて、教員定数の問題もありますし、財源の問題もありますが、ここも本気で考えないとできないということだと思います。
 あるいは、ここのペーパーの3ページ目に戻っていただければと思いますが、先ほども標準授業時数の話がございましたが、緊急時等々のときは、もう下回ってもいいよということを認めちゃったらどうか。あるいは教育委員会の判断でそれはオーケーですよと。国としては規制しませんよと、もう宣言しちゃったらどうかと僕は思っているんですけれども、そのあたりもまた御意見いただければと思います。これは予算掛かりません。
 年間変形労働制も私は別に反対ではございませんが、これだけをやっても、恐らく上記の大幅な改善とか選択なくしては、多分、4月、5月に非常にしんどくなるというだけだと思いますので、よく考えないといけないなということを御意見申し上げたいと思います。
 以上です。

【小川部会長】  今後詰めるべき課題を中心に御指摘いただきました。ありがとうございます。
 稲継委員、どうぞ。

【稲継委員】  ありがとうございます。資料3、資料4に基づいて、意見を述べさせていただきます。
 資料3の四角の3つ目で、「今後、以下のような取組の検討を総合的に進めていくことが必要」ということで、「総合的に」ということが書かれていて、非常に重要なワーディングだと思います。(1)から(6)まで、それぞれ非常に重要なことが書かれていて、取り組んでいく必要はもちろんあるわけですけれども、いずれにしろ、ベースになるのはやはりエビデンスといいますか、何時間残業しているのかが今まで分からないところが結構あった。10年に1回の勤務実態調査をしない限り、全体像が分からないということが今まであったということが私は非常に問題だと思っております。普通の組織ならば、これは官公庁でも民間でもそうですけれども、どれだけの残業時間をしているか、必ず把握しているのが当たり前でありまして、これはマネジメントの観点から当たり前のことです。管理運営のためのマネジメントもありますし、職員の健康管理のマネジメントという観点からも、これは非常に必要なことで、そういう意味では(4)番の勤務時間の客観的把握の徹底、これは是非本気で取り組む必要がある。そこからほかの施策が出てくる。これなくして、施策の有無を言うのは空中戦をやっているような感じがいたします。これで1点目です。
 それと資料4のところですけれども、2ページ目の丸の3つ目、実効性を持たせるための方策。様々なガイドラインを設けても実効性がなければ全く意味がないわけで、じゃあ、それをどうやって持たせるのかということなんです。ここで国のガイドラインを踏まえ、各都道府県教委等で上限を示すようにするべきと書かれております。ただ、この上限を示したところで、それが本当に守られるのかどうか。実効性をどうやって担保するのか、そこがポイントになってくると思います。
 私は、一つは、公表する機会を設けるということが重要なことかなと思っておりまして、市町村別、あるいは場合によっては学校別の実態を公表するということで、インセンティブを持たせるということを考えられるかどうかだというふうに思います。
 あと、その下のポツのところに監督機関の話が書かれています。これは都道府県、それから、政令市については人事委員会が書かれていて、それが監督機関になるわけですけれども、それ以外のところは首長が監督機関になっているという、やや、前も申し上げたかと思いますけど、いびつな形になっております。これも含めて、学校現場における労基法の適用あるいは他の労働関係法の適用が非常に複雑になっているわけでして、学校現場にいる教員の方、それから、事務職員の方、学校用務員、公務員の方、それぞれ適用が微妙に異なってくるんですね。
 ちょっと事務局にお願いしたいんですけども、一度それを整理するような一覧表を作っていただけないでしょうか。
 以上でございます。

【小川部会長】  ありがとうございました。この後の御発言は、こちらから、佐古委員、天笠委員、相原委員、川田委員、冨士道委員の順でお願いいたします。

【佐古委員】  ガイドラインの策定について、私もあった方がいいと思います。ただし、その定め方については、先ほど妹尾先生がおっしゃったことと同意見でして、つまり、どれぐらいの時間数をガイドラインで示すかということについては、推進法で規定された時間に準ずるというのは適切だと思います。学校でそれがどのように実現できるのかが必要だと思います。つまり、時間外労働、1か月45時間ということで収まるようになっているのが前提なので、そうでないところでこれを定めても意味がないと思います。だから、そうなると、働き方のこの時間のデータ等がございますので、これぐらいの授業の負担とこれぐらいの準備と、その他の仕事を合わせても収まりますということの何か明示されたものをモデルとして出さないと、なかなか学校にとってのガイドラインにはなりにくいのではないか。ですから、時間数だけではなくて、その時間数に収まる仕事であるということのモデルを、正当なデータの実態に応じたモデルがないと、これはガイドラインの妥当性がない。そこはきちっとしないと、単に書いた紙だけに終わってしまうように思います。それが1点目です。
 2点目は、その時間数をどう把握するかということについては、非常に難しい問題があると思っています。学校の先生の仕事というのは、別に校長に命じられたからというわけじゃなくて、子供のために一生懸命教材研究しているうちに時間が遅くなることも往々にしてあるわけですので、その辺のことをどんなふうに把握するかというのは非常に困難な状況だと思います。
 それをあるところでやろうとすれば、基本的に学校に在校する時間を一つの目安にして考えていくのがいいのではないかと思っています。というのは、先ほどもデータにありましたけれども、勤務時間が短い学校というのは、例えばノー残業デーだったり、あるいは閉庁日があるようなことがあって、ある程度学校ぐるみで、時間を延ばさないということの行動が取れているところとは勤務時間が総体として短いということがございますので、そういうことを考えても、勤務時間の観点でいうと、学校の在校時間をベースにしてきちっと押さえていくというような、あるいはそこを基準にして考えていくということがいいのではないかと思っています。
 ただ、もう一つの側面として、学校の先生方の中には、ともすると、努力することで、つまり、長く子供のために頑張ることがいい教師であるというような、ある種、文化が残っているかと思いますので、そういうことも含めて、つまり、先生方の働き方として、まさに時間を掛ければいいんだというのではなくて、定められた時間の中できっちり終わるということが望ましいということを学校の中で浸透させていくようなことも考えていかなきゃならないことだと思います。

【小川部会長】  ありがとうございました。天笠委員、どうぞ。

【天笠委員】  失礼いたします。まず資料3についてなんですけれども、この(1)から(6)、これを総合的に取組を検討していくという、その方向性は私もその方向で進めるのが大切なんじゃないかなというふうに受け止めております。
 その中で、先ほど大変詳しい、また、実情等々がよく浮かび上がってくるデータの御紹介、御説明もあったかと思うんですけども、改めて(2)のところの組織運営体制の在り方ということについて、ここのところにいろいろ書き込むという視点としては、やはり今、佐古先生のお話にもありましたように、基本的にこれは学校ぐるみで、事柄の改善を図っていくという、そういう視点というのがやっぱり非常に大切なんじゃないかと。要するに、これはそれぞれの学校において環境を変えていく、改善していく、そういうところにターゲットを当てて、そして、そのために何をどういうふうにもろもろの諸資源を投入していくのかという、そのスタンスというところで、ポイントになってくるのはやっぱりその2のところで、一つは押さえておくんじゃないかと。
 そうすると、当然、学校のマネジメントの在り方ですとか、それぞれの校長のリーダーシップでなされている取組という事柄のこれまでというのがどうであったか。そして、これからはどういうふうに展望していったらいいのかという、そういうスタンスの書き込みというのが今後我々の議論の経過を通して、大変大切な柱の一つとして位置付けることの必要性があるんじゃないかと思いますし、更にこの間、組織マネジメントの名の下になされていた研修の在り方、マネジメントの在り方というのをここで議論しているようなことを踏まえたときに、どういうふうにそれを改善していくのか、修正していくのかという、そういう指摘というのもこの文脈の中に位置付けていくことの必要性、大切さがあるんじゃないかなというふうに思います。
 まずは資料3については以上です。
 もう一つ、資料4の方についてなんですけれども、このガイドラインということについては、できるだけ、今申し上げた観点からすると、学校に近いところにあるというのが実は大切なんじゃないかと思いますし、ある意味で、また、ローカルなところで、このガイドラインが押さえられるというようなことがポイントになると思いますし、更にその策定のプロセスの中に、社会の目と言うんでしょうか。社会の動向とか動きとかそういう策定のプロセス自体に、実は意味、意義を持たせるということも大切なんじゃないかなというふうに思います。
 そういう観点からすると、国の立場でこれをまとめるというのは、極めて限定的であるし、あるいはポイントを押さえたところにそれは限定すべきではないか。それが、あと、ローカルなところでどうそれが展開されるのかどうなのか。まあ、言うならば、学習指導要領の大綱的基準についての議論を散々してきたわけですけれども、その発想とか視点というのは、このガイドラインの策定についてもやっぱり同様のことがあって、事細かにこの場でいろんなもろもろを構築したとしても、先ほど御指摘がありましたように、結果的には守られないとか、浸透しないということになったとか、あるいは逆にそれぞれのローカルなところ、学校に近いところでのこの種の自助努力というか、自己努力を阻むようなそういうガイドラインの在り方ということについては、極めて私は慎重にあるべきではないかということでありますので、基本的に、国の立場で押さえなければいけないところを共通の理解するところというところに限定して、それを明確に提示し、そして、それぞれの学校に近いところでというのが基本的なこのガイドラインをまとめるときのスタンスにすべきではないかというふうに思います。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 相原委員、どうぞ。

【相原委員】  ありがとうございます。端的に2つだけです。1つは、学校の働き方を議論する際の環境条件についてです。労働関係の法律が大きく改まったことは御案内のとおりですし、前回もこの場で申し上げましたが、罰則付きの法律になったこと自身に大変重きを置くべきであると思っています。
 及び、公務、民間問わず、いかなる働き方や業種、業態であっても、クオリティを上げていく際には、労働時間の短縮を一つの起爆剤として働き方改革を進めましょうと、これが基本的なコンセンサスだと思います。
 2つ目がガイドラインの実効性を高める上では、法的拘束力が必要だと思います。ガイドラインの言葉だけが先行し、基準が基準として機能しないことが過去にも様々、私たちは見たり、聞いたりしてきていることです。これだけ時間を掛けて、本気で学校の働き方を変えようという議論を積み重ねているわけですから、法的拘束力を担保することは大変重要だと思います。
 ただし、給特法の議論も後ほどありますし、これはINGで今、進んでいるところでありますので、給特法そのものの議論をどう決着するのかということと同時並行で、このガイドラインを議論せざるを得ないと理解するところです。
 「超勤4項目」の取扱い、「超勤4項目」以外の残業も勤務時間とするのか、教職調整額をどうするのかなど、基本設計に関わるところもありますが、法的拘束力をどの法律でどう担保するのかということも給特法を視野に入れながら考えるのが現実的なところです。しかし、そこの解決の仕方がまだ見えていませんので、ガイドラインの法的拘束力の帰着をどこにするのかというのは同時に考えるべきだと理解しています。
 変形労働時間はまた後ほどの議論となりそうですので、そこで意見を申し上げます。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 川田委員、どうぞ。

【川田委員】  ありがとうございます。特に資料4関係のことについては、前回もかなり意見を述べさせていただきましたので、それに補足するような形で若干述べたいと思います。
 まず2ページの真ん中の時間数に関しては、やはり教員特有の事情を考慮する必要があるかもしれないとはいえ、社会一般の趨勢から見て、教員の労働時間が長くていいというメッセージにはなるべきではないと考えておりますので、これはほかのところで議論に出ている休憩についても同じかもしれませんが、時間外労働の上限の数字に関しては極力、少なくとも、一般の民間企業に対して示されている数字を超えることはないようにという点は重視すべきではないかと思います。
 ただ、その一方で、そこを前提として考えると、現状を変えなければいけないハードルというか、現状との関係で、それをどうやって実現していくのかという点のハードルが高いということも事実であり、そういう意味で、ガイドラインの中身としては、対象とする時間の考え方がどうあれ、単に基準の時間数を示すだけではなく、いろいろな方の意見で既に出ていると思いますが、それをどう実現するかという方策を示していくということが大事なんだろうと思います。
 そういう意味では、この先、実は言おうと思っていたことは、既にほかの方が言われたことと重複しているのですが、一つは、ガイドラインを作るプロセスはどう考えるのかということについては、先ほど既に御意見として出てきましたが、私も実際に使えるガイドラインにしていくという上では、ある程度現場に近いところで最終的なガイドラインを作るというのが一つの望ましい考え方なのではないかと思っております。ただ、その一方で、そうはいっても、目標のハードルがかなり高いということを考えると、国の役割として、例えばFAQであるとか、モデルケースとして幾つかの選択肢を示すとか、そのような道筋の、道しるべを示すということについての役割がかなり大きいというふうに思います。
 それから、もう一つは、ガイドラインができた後の対応で、これについては、いわゆるPDCAサイクルのような形が一つの例になるかと思いますが、実際に使ってみて、どうなったのかというデータをしっかり確認して、問題点を分析して、更に次の改善につなげるというような形で機能することが重要だと思いますので、制度的には、例えば記録の作成とか保存についてのルールをある程度明確にするとか、公表について考えるとか、そういったようなことを踏まえて、形式を整えることにとどまらない、実質的にPDCAサイクルのような形で機能する仕組みを整えるということが重要と思います。
 以上です。

【小川部会長】  最後、冨士道委員、お願いします。

【冨士道委員】  失礼します。ほかの委員の皆さんの意見とも重なる点もあるんですが、このガイドラインの在り方についての考え方、ちょっとお話をさせていただきたいと思います。
 まずこのガイドラインなんですが、私、一番心配しているのは、絵に描いた餅、人ごとになってしまうことです。学校においては、自分が何時に学校に来た、そして、何時に退勤をしたというのは分かるんですが、同僚が何時に来て、何時に帰ったというのは、ほとんどこれは分かっていません。まして、学校全体でどれぐらいの長時間の実態があるかというのはほとんど教員というのは分からないんです。やっと本年度になって、タイムカードであるとか、ICTカードを活用しながら、その実態が徐々には把握をしつつあるというのは聞いていますけれども、学校自体として、自分の学校としてはどうなんだろうかという議論はしてない。先ほどの資料2の調査ではあったんですが、学校間でなぜこれだけの差が出るんだろうか。これは一つのポイントなんだろうと思うんですね。したがって、やはりガイドラインが、先ほど天笠委員がおっしゃっていたんですが、国のガイドラインというよりは、自分の学校のガイドラインというぐらいの形を示していかないと、本当にこれは人ごとになります。ですから、これは時間も掛かりますけれども、自分の学校がどれぐらいの超過勤務があるのか。そして、なぜそうなっているのかそれを改善するためにはどんなことが可能なんだろうか。様々なモデルも参考にしながら、学校での議論もしていくことをしないと、いろんないいものを外から示しても、その学校という枠の中には全く浸透していかない。これまでのいろんな中ではそういうケースが多かった感想を私は持っています。
 そういう意味で、このガイドラインが本当に絵に描いた餅にしないためにも、自分の学校の実態をまず知ること。そして、学校の中でどういうことが可能なのか。自分の学校のガイドラインをどう作り上げてくるか。そういう校内での議論も必要なのかなと考えています。

【小川部会長】  あと3名の手が挙がっていますけれども、今だんだん議論がガイドライン、個別のテーマではなくて、ほかのいろんな総合的な措置、施策等に関連させながらガイドラインを考えていかなきゃならないというふうな議論になってきて、後半に予定している資料5-1に基づくような、全体的な議論の中でそうしたガイドラインの意味を考えていく、そういうふうな方向にできれば今後持っていきたいと思いますので、そういう点を含めても構いませんので、少し議論を他のテーマにも関係づけて御意見を頂ければと思います。時久委員、そして、東川委員、そして、善積委員でお願いいたします。時間もありませんので、一旦ここで切らせていただいて、そして、残り1時間弱しかないんですけれども、資料5-1の全体的な議論の方に進んでいきたいと思います。
 それでは、よろしくお願いします。

【時久委員】  同様の意見なので、申し訳ないんですけれど、ガイドラインそのものが必要で、それを総合的にとか、上限を数値的に示すとかいうようなこととか必要だと思っています。学校規模だと先ほどおっしゃっていたようなこともありますので、基本的にはガイドラインを国、県、そして、市町村へというふうに、学校まで自分ごととして作っていくということをしないといけないと思っています。
 2つあって、1つは、同じような意見です。要は、日本国じゅうで、学校まで行き届いた議論が必要だと。学校と話をしていても、ここで議論していることが順番におりていっていますから、だんだんに意識が変わっていっているというのがあります。けれども、この時数の超過にならないようにというふうな議論になってくると、人が欲しいんですとか、こういう条件だったらとか、よく出てくるんですけど、自分のところでどういうふうにするかというところにはやっぱり突っ込んだ議論になかなかなっていない。そこを,ガイドラインを自分ごととして学校も作っていくということで議論をしっかりしていきながら、みんなで考えていくということをしない限り、多分変わらないだろうということが一つ。
 もう一つ、先ほど法的な拘束力というようなお話が出ていましたけれど、ここのことについては、私自身は、この法的拘束力についてはしない方がいいというような思いを持っています。それは本当に保護者とか児童の対応をしているときに、時間が非常に掛かるということもあったり、それから、何かをしているとき、途中で切ることができないというものもあったり、いろんなことがあるものですから、全体的には拘束力のあるようなことじゃなくて、やっぱり自分たちで努力して、時間の制限を自分たちで掛けていくというような方向に行かなければならないのではないかというふうに思っているところです。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 東川委員、どうぞ。

【東川委員】  失礼します。この「長時間勤務是正のための勤務の在り方」という、この資料3のところで、これは先ほど天笠先生がおっしゃったんだと思うんですけれども、まずその議論していく上では、(4)の勤務時間管理の徹底・適正な勤務時間の設定、これを第一義的に持っていくということも重要なんだろうなと思うんですが、一方では、ここは手法的な部分かなというふうに思いますので、やはり運営体制の在り方をどう改善していくのかという、その在り方の方を議論しながらガイドラインに盛り込んでいくと。
 これは個別具体的な、例えば学校単位で、学校教育目標のような形で、それぞれの学校が持っていくというところが、例えばそれを保護者も知るということになってくると、その保護者としてもこういう運営を学校がやっているんだなと。だから、勤務時間はここからここまでなんだなというところの理解が進み、例えば個別具体的な保護者対応であったり、先ほどの妹尾先生のにもありましたグレーなところにPTAの対応というところもございましたけども、そのようなところも含めて、保護者の理解というところが絶対的に必要な措置になってくるのかなというふうに思います。
 今いろんな調査ですとか、先ほどの冨士道先生にもありましたタイムカード等が今、導入されて、意識が高まりつつあると。この調査についても、一方で、しっかりとそのタイムカード、ICTですと、本当にリアルにそれが管理できるんだと思うんですけれども、タイムカード等ですと、一応打刻しといたことにしておくと。ただ、実態としては、まだまだ打刻して、まだまだ仕事をしているといったところも多分にたくさんあるんだろうなといったところもあろうかと思いますので、そういったことも改善していく上でもやはり在り方というところをまず大きく盛り込んでいく必要があるんだろうなというふうに思います。
 以上です。

【小川部会長】  善積委員、お願いします。

【善積委員】  失礼します。先生方が非常に自分の時間を使って子供たちのために一生懸命頑張ってらっしゃるという実態は、非常に大事なところとは感じるんですけれども、「子供に対して使う時間も思い切って削減しましょう」というメッセージを明確に出していっていただいた方がいいのかなと。先生方は、削減することに若干後ろめたい気持ちとかお感じになるんじゃないかなと思うんですね。だから、「バランスをとること」や、「必要なことの取捨選択をやらないといけない」ということをはっきりと書いていくということが一つあります。
 あと、私は、研修をさせていただくときに、30分削減するにはどうしますかというテーマを投げるんですね。30分という時間を作るというのは相当いろいろ工夫が要るんですが、一つ一つを5分間でも縮めれば変わる部分というのがあるわけです。だから、そのシミュレーション、せっかくいろんな調査でデータを取ってらっしゃいますので、よくできている学校と、そうじゃない学校の中で、時間差があるのであれば、例えばこれをこのぐらい削減することは可能ですよというようなシミュレーションをガイドラインの中に入れて、何から取り組めばいいかというイメージをきちんと持っていただくようにされると、実効性が上がると思います。
 それともう一つ、最後にお伝えしたいのは、ガイドラインを本当に着地させるのであれば、年次目標みたいなもの、いつ頃までに到達させるかというようなイメージはお作りになった方がいいと思います。相当、地域とか学校で本当にやり方が違っていますので、今そこを並べて、これだけの施策、支援をしますといって投げたとしても、受け止め切れない状況にあるのではないでしょうか。それぞれの地域、学校の課題を少しずつならしながら、その土壌を作って支援を入れていくと、多分効果は上がると思います。けれども、今全部投げてうまくいくかというと、多分そうではないと思っています。それぞれの地域や学校で、皆さんがおっしゃっていた学校ごとのプランだとは思うんですけれども、どう状況を標準化してから改善の方へ向けていくかという流れを作っていただかないといけないので、ある程度期間を見た中で、「国はこのぐらいの時期にこのガイドラインが達成できているようにしたい」というような、そういうふうな目標を置かれてもいいかなと思いました。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 短い時間でしたけれども、ガイドラインについて、前回以上に、更に詰めるべき課題を多くの委員から出していただきました。事務局の方で、きょう出された意見を更に精査して、次回以降の議論に引き続いていけるようにしていただければと思います。よろしくお願いします。
 時間が予定よりもオーバーしてまして、残り50分ほどしかないんですけれども、最初言いましたとおり、ガイドライン以外の方策についても時間外勤務抑制のための様々な制度的な措置について議論をやっていきたいと思います。
 これは資料5-1から5-4が関係すると思いますけれど、最初にこの内容について、初中局の佐藤企画官から御説明お願いいたします。

【佐藤初等中等教育局企画官】  時間の関係もございますので、資料5-3と5-4について、前回も配付させていただいて、説明をしておりますので、省略をさせていただきます。
 それで、資料5-1の論点例を中心に御説明したいんですけれども、資料5-2の給特法の仕組みのところがかなり関連するところございますので、先に5-2だけ少し御説明をさせていただきます。
 制定経緯から含めて、そこに書いてございますとおり、給特法については、1番にございます教師の職務と勤務態様の特殊性ということを踏まえて設定をされております。
 教師の職務の特殊性につきましては、子供の「人格の完成」を目指す教育ということを職務としているということで、専門的な知識、技能を有する教師につきましては、勤務命令が抑制的な中で、日々変化する子供に向き合っている教師自身の自発性、創造性によって、教育の現場が運営されることが望ましいという観点がございます。
 また、勤務態様の特殊性ということで言いますと、放課後や夏休み等の長期休業期間の時間の活用について、一般の行政職とは異なって、教員の自発性、創造性に待つところが大きいということがございます。
 これらを踏まえまして、2番でございますけれども、教師については、通常の(超過)勤務命令に基づく勤務や時間管理にはなじまないものということで、教師の勤務については、勤務時間の内外を問わず包括的に評価すべきであるという考えが取られてございます。結果といたしまして、3番に導入された仕組みということで、以下の3つがセットで導入をされているということで、まず教職調整額制度によって給与月額の4%が支給をされている。そして、時間外勤務手当は支給しない。また、時間外勤務命令については、いわゆる超勤4項目に限定をされているということで、これら3つが不可分一体の制度ということで導入されているということをまず確認をさせていただきます。
 そして、資料5-1の方に戻っていきまして、事務局の方から論点例ということで、大きく3つ出させていただいております。
 まず、教師の業務の在り方ということで、今御説明しました給特法については、その教師の業務の特殊性ということを踏まえて設定されておりますので、この点について、また再度確認が必要ということで設定をさせていただいております。
 3つございまして、一番上のところでございますけれども、教師については、本来業務に加えて、関連業務についても範囲が曖昧なまま担っているという実態があると。このような状況を前提とするのではなく、やはり業務を精選して、教師が本来業務に専念できるようにするということが本来とすべき教師の業務の在り方ではないかというのが1点目でございます。
 2点目は、給特法について、今御説明したように、日々変化する子供に直接向き合っている教師の専門性を基礎とした自発性や創造性によって教育の現場が運営されることが期待されているということも前提としておりますけれども、こういった考え方が現在においても当てはまるかということでございます。
 3つ目でございますけれども、給特法について、「超勤4項目」ということで、それ以外については超過勤務を命じることができないというふうにされてございますけれども、こういったあたりについて、教師の業務の在り方という観点から考えたときに、こういうものを廃止して全ての業務に係る超過勤務を職務命令の下で行うこととすべきなのか。それとも、教師の専門性も踏まえて超勤4項目を前提とした上で、教師が担うべき業務の精選を進めるべきかということがあると思います。
 そして、大きな2点目でございますように、勤務時間管理の在り方についてということで、1点目については、給特法があることによって、勤務時間管理がおろそかになっていったという一因もあるという指摘もございます。これに関して、勤務時間管理については、今般の働き方改革推進法の中で、勤務時間の把握が使用者の義務として法令上明文化されたということ、そして、先ほどございましたように、「超勤4項目」以外の業務も把握の対象とする勤務時間の上限目安を含むガイドラインを策定・提示していくということの絡みでどのように考えるかという点。そして、次のページに行っていただきまして、先ほど相原委員の方からもございましたとおり、民間企業については、働き方改革関連法の中で勤務時間の上限を法定し、罰則によりこれを遵守させる仕組みとなってございます。一方で、その仕組みが国家公務員や一般の地方公務員と同様に教育公務員に適用されない中で、勤務時間の上限目安の遵守、あるいは勤務時間管理の徹底について、実効性を高めていくためにはどのような方策が考えられるかということがございます。
 そして、3つ目の論点でございますように、教師の業務量の抑制等についてということで、教職調整額の水準が実態と掛け離れているという指摘がございますけれども、まずは今の業務の総量や長時間勤務を抑制することが重要であって、教師の業務の範囲が曖昧なまま長時間勤務となっている現状を追認することのないようにすべきではないかということが1点目でございます。
 2点目は、中間まとめの中にもございますとおり、公立小・中学校の教師の業務量の抑制に関しまして、服務監督権者である市町村教育委員会が給与負担者ではないということがございまして、給与面での措置は業務の抑制に直接的にはつながりにくいのではないかというのが2点目でございます。
 また、3点目については、前回、委員から御意見を頂いておりますけれども、教師の業務について、学期中と長期休業期間中では業務の状況が異なると考えられます。それについて、学期中の業務について現状からの抑制を断行しつつ、長期休業期間中の業務について一層の抑制を図ることを制度的に推進できるようにするために、変形労働時間制度等について検討してはどうかということで、3点目に書かせていただいております。
 事務局の方で用意させていただきました論点例については以上でございます。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 これまでも関係する議論は部会の審議では行ってきたわけですけれども、特にこれからは、今の制度的な措置の在り方について、少し集中的に議論を進めていきたいと思います。恐縮ですけど、発言の際には名札を立てていただければと思います。どなたからでも構いません。どうぞ。
 では、冨士道委員。どうぞ、お願いいたします。

【冨士道委員】  これまでいろいろな論点から議論は展開をされてきました。これからいよいよ大詰めの議論になっていくのかなと思っておりますが、私たち、これまで様々な働き方改革の議論をしてきたわけですけれども、ここで忘れてはいけないことというのは2つあろうと思うんですね。
 1つは、この日本型教育のよさの維持をしていく。そして、何よりも教育の質を担保した上で、改革をしていかないといけない。実はその2つを支えているのは、私は教師の専門性にほかならないと思っています。教師は毎日授業の中で、例えば語彙、そして、知識、そして、概念が異なる一人一人の子供たちに、しかも、その発達段階に応じて内容を理解させる。そして、考えさせたり、そして、表現をさせる。こういうことを通しながら学習意欲を高めている。そんな授業をしています。
 更にそれぞれ個々の子供たちの対応できるコミュニケーションを図っている。これこそ、やはり教師の専門職としての専門性であって、教師が仕事をする上での必須要件であろうと私は思っています。
 したがいまして、どんなに時代が変わっても、教師は本来その専門職としての自分で自分を管理しながら、自発的に様々な工夫と努力をしていくということが期待をされていることは間違いないだろうなと。それを、そういう職業であるということも踏まえながら議論をしていきたいなと考えております。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 では、相原委員、どうぞ。

【相原委員】  大きく2点ほど申し上げたいと思います。1つは、今後の制度的措置を考えていく上で、本当の意味で、学校の働き方の特殊性がどこにどのような形であるのかということは、よくよく吟味すべきだと思っています。各委員がおっしゃるように、学校の先生が高いモチベーションを持って生徒と向き合っていく。その姿を見て、さらに、人生を懸けて先生みたいになりたいという子供たちが増えていく、この循環は大変すばらしいことですし、高い意識を持って、最先端の皆さんや管理職の皆さんがよりよい学校運営のために努力されていることは痛いほどよく分かります。
 一方で、学校の先生の職務の特殊性、勤務態様の特殊性といったときに、学校の働き方に特徴はあると思いますけど、それを特殊性と整理した際に、本当の意味で学校の先生の働き方、一人一人の意識を転換していくにあたり、特殊性を余り強く肯定し過ぎることは、意識転換や制度設計をする上で障害になりかねないと心配しております。長い年月を掛けて積み上げてきた、学校現場における高いモチベーションや精神については否定しませんが、本当に重要な転換点に今、差し掛かっていると思っています。特徴を踏まえた制度設計、若しくは、特徴に沿った意識転換を図っていくというのが今回の制度的担保を考える上のスタートラインになると理解しているところが1点です。
 その上で、個別の話で1点だけですが、変形労働時間については、ここ数回、この部会でも安全衛生を中心に様々な知見を共有することができました。その中で言うと、疲労は、1日1日の中で適切な睡眠も含めリフレッシュしていくというのが大変重要な観点です。年間を通じてデコボコをそろえていくというのは、考え方としては分かるんですが、一人一人の働き方を勤務時間としてセットするときに、年間通じて疲れが取れるというのが本当かという疑問もあるし、夏に持っていくことがしんどいという、今の働き方や負荷もある中で、働き方の現実を見据えた対応が必要だと思っております。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 ほかに。風岡委員、どうぞ。

【風岡委員】  失礼します。私も今2人の委員の方がお話されたことと重なる部分もありますが、まずは教師の業務の在り方ということに関しては、給特法の制定の経緯の中にもありましたが、そもそも教育に携わるということ、教育とは何かということ、それを踏まえた教員の役割は何かということを考えたときに、どういう働き方が求められたことで、こういった経緯になったかというところを踏まえつつ、改めて検討していく必要があるだろうと思ったところであります。そうしたことからしますと、やはり一般の地方公務員である行政職員に適用されるような制度設計というのが、教員の勤務にはなじまないということもあるのではないかと改めて私自身は思っているところであります。
 それから、勤務時間管理の在り方についてですが、先ほどの罰則規定等々のお話もあったわけですが、やはり現行でも管理職の責務になっているというところを踏まえた対応ということになるのではと思います。その一つの対応策として、私はやはり学校の中で、この勤務時間管理と、学校の先生方の多忙化解消といったことを担保するような仕組み。そうしたマネジメントの仕組みが必要と考えます。
 現行の仕組みの中では、学校評価の中で、どう勤務時間管理とか、あるいは業務の軽減ということを踏まえた学校評価の制度設計ができているかというと、多くの学校では、そういった評価の観点は余りないというのが現状だろうと思います。まずは学校ごとでそういったことに取り組むということが一つあると考えます。その上でですが、私は学校任せでは、多分ですが、限定的にしか進められない部分もあるだろうと思っています。管理者である教育委員会あるいは人事委員会や首長といったところに、どういう役割を与え、そういった機関がどういうような学校の管理をしていくのかというところも今回大きな課題になるだろうと思います。そうしたことを法的な観点も含めて明示できるかということがあるだろうということです。
 それから、最後のところですが、教師の業務量の抑制のところについてですが、学校の先生方の勤務を見ていると、子供がいる学期中と、子供がいない長期休業中とでは、先生方の心理的な負担だとかについて、大きく違うことがあるという認識をしています。そうしたことからしますと、長時間勤務ということはありますが、変形労働時間というような形の導入ということも考え得るだろうというふうに思います。
 一方で、勤務間のインターバルや、週当たりの変形労働時間の上限だとか、そうした、より細やかな制度設計が必要かと思います。先生方の勤務が、例えば4月、5月はいっぱい働くから長期休業中に休みを取ればいいというだけの雑な制度設計にならないようにと思います。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございました。部会長から川田さんにお聞きしたいんですけれども、この部会の重要な論点の一つとして、先ほど相原委員からも出たように、変形労働時間制度の問題、教職とか学校というような場で導入するかどうかということが一つの大きな部会の論点にはなるかと思うんですよね。確かに、相原委員がおっしゃるように、一日一日でリフレッシュする、教員であれば、1日7時間45分という勤務の中で業務を処理するということが原則であって、本来であれば、そういう変形労働時間制みたいな、1年間で調整するということはやるべきでないというのは原則かもしれないんですけれども、現実、実態を考えると、今まで議論してきたような様々な業務改善をしたとしても、なかなか7時間45分という法定労働時間の中でそうした業務削減というのをすぐにできるような状況でないのも現実ですよね。やはり1時間、2時間という超勤がいろんな改善の努力をしても出てくるような状況というのはしばらく続くのかなというふうに思っています。そういう現状を踏まえたときに、1年単位変形労働時間制、今の学校や教員の業務量の現状をそのままにして、変形労働時間制を導入するということは、やはり私もいけないと思っていますが、業務量全体を大幅に減らすということを前提にしながら、繁忙期と閑散期のめり張りを更に付けることを前提にしながら、1年単位の変形労働時間制の可能性を探るということは、私は選択肢としてあっていいと考えています。 実際、厚生労働省のつい最近のデータで、平成29年の就労条件総合調査の概要という資料を見ていましたら、民間企業を含めて、変形労働時間制を導入している企業というのが57.5%。変形労働時間制度の中でも、1年単位の変形労働時間制を導入している企業というのが33.8%ということで、想像以上に民間でも多いんですよね。さらに、教育とか労働支援業に関わっては、変形労働時間制を導入している企業というのが39.9%ということで、やはり大きいし、企業数ではなくて、いわゆる労働者数の割合で見ても、変形労働時間制の適用を受けている労働者というのが50.7%。1年単位の変形労働時間制が20.9%となっています。1年単位の変形労働時間制というのは決してレアケースではないというふうに私自身は思っているので、その可能性を含めて、労働法の専門家からいって、その辺はどう考えられますか。

【川田委員】  それでは、今の点に絞ってまず御意見を述べさせていただきたいと思います。ほかの点は少し考えをまとめた上で、後でお話しさせていただければと思います。
 まず、今のお話の中にもありましたように、労働者一般に適用される労働基準法の下で、単位期間が1年以内の変形労働時間制は、もちろん制度として存在しておりますし、また、実際にそれなりに広く使われている制度であるということは言えます。そういう意味で、この変形制の下での働き方というのが一般的な日本国内の働き方として、一定程度広く見られるということは言えると思います。その上で、今、議論になっている、公立学校教員の働き方として、1年単位の変形制を考えているというときに、2つほど留意しなければいけない点があるというふうに思います。
 1つは、民間企業においては、当然時間外労働した場合には、割増賃金が発生するということが前提で、変形制の場合にもどの時間が割増賃金の対象になる時間外労働かという点が、原則的なルールの場合と違いますが、時間外労働になったら割増賃金を払うという点は変わらないわけです。
 それに対して、今、議論している公立学校教員について、給特法のような制度を前提とすると、割増賃金というものはないわけでして、そうすると、民間企業の場合と比べると、割増賃金によって時間外労働に対して歯止めを掛けていくという機能が発揮されにくくなるということがいえます。極論すると、変形制を導入した場合としない場合とで働き方の実態が全く変わらないとすると、変形制を導入した場合ではどの時間の労働が時間外労働になるかは変わってきますが、それに対する割増賃金の支払義務がないとすると、結局実態としては何も変わらないということにもなりかねないわけです。この後にお話しすることにつながる点ですが、時間を短縮するということに対する実効性を確保するという点について、特別な留意が必要ということです。
 それから、もう一つは、一般的な民間企業における1年単位の変形労働時間制というのは、正確なデータに基づいているわけではないですが、多くの場合、1日の所定労働時間はそんなに大きく動かさないで、所定労働日数を動かして、例えば1日8時間労働で忙しいときには、週休1日、週6日働く。その代わりに比較的暇な時期にその分、例えば週休3日にしたりして調整するというような使い方が一般的で、恐らく、今後具体的に教員についての1年単位の変形制をイメージしていくと、一般的な民間企業における変形制のイメージとはかなり違ったものになるのではないかという点は留意が必要だと思います。
 ただ、その上で、例えば、今、時間外労働に関してガイドラインを作って、労働時間を少なくともその範囲内にする、更に言えば、できるだけ時間外勤務、正規の勤務時間以外の勤務が発生しない方向に近付けていくということを考えたときに、現状の正規の勤務時間を維持したまま、それをやるとその実態との乖離(かいり)か大きくなり過ぎて、目標が遠い、ちょっと現実性を欠いたものになってしまうと考えられるときに、そこのところについて、ある程度現実的な目標として、このくらいだったら頑張れば何とかなるのではないかというようなところに近いラインを正規の勤務時間として示すという機能を、この変形制を使うことで実現できるということであれば、それを検討するに値するということになるんだと思います。ある程度現実的な目標となる時間を、変形制を使うことで示すことができるかどうかという点が大事だと思います。

【小川部会長】  すみません。不規則発言で。日頃発言できないので、部会の重要な論点なので、発言させていただきたいんですけれども、今の川田さんの意見、更に引き取ると、私自身は、一般の超過勤務の上限規制よりも厳しい運用を求められているというのが1年単位の変形労働時間制の原則だと思っています。
 当然御存じだと思いますけれども、一般であれば、月45が上限ですけれども、1年単位変形労働時間制を導入した場合には、月42、年間で、一般であれば360が上限ですけれども、1年単位変形労働時間制を導入すると、年間320ということで、一般の上限規制よりも更に1年単位変形労働時間制の上限規制というのはより厳しくなるわけですよね。
 今の教師の膨大な業務量を減らして、長時間勤務を減らすというふうな目標を目指す際には、むしろそういう1年単位変形労働時間制の厳しいルールを学校現場に導入してそういう長時間勤務を減らす一つのてこにしていくというような、そういう考え方は私あっていいんじゃないかと思うんですけれども、そのように引き取ってよろしいでしょうか。川田委員が、先ほどの発言の最後の方で、「正規の勤務時間として示すという機能を、この変形制を使うことで実現できるということであれば、それを検討する、検討に値するということになるんだ」の意見については、そのように引き取ることも可能かという点ですね。

【川田委員】  そうですね。1点補足すると、今、先ほど議論したガイドラインの数字というのは、まさにおっしゃったように、仮に1年単位の変形制で行くとすると、民間企業における1年単位の変形制の上限を使うということになるし、ここは結局、今後の具体化次第という点が大事だということではありますが、その限りでは、今おっしゃったとおりではないかというふうに思います。

【小川部会長】  有り難うございました。
 それでは、続けて議論を進めていきたいと思います。妹尾委員、そして、天笠委員、よろしくお願いします。

【妹尾委員】  資料5-1だとかに関連して、5つぐらいあるかなと思いますけど、申し上げたいと思います。
 1点目は、資料5-1の1ページ目の真ん中のあたりの論点例、教師の業務の在り方についての最初のポツで、業務を精選して教師が本来業務に専念できるようにすることが、本来の在り方ではないかということを書かれてありまして、これはおっしゃるとおりなんですけれども、結局、本来業務とは何ぞやというところが非常に人によってもぶれるし、自治体さんとかによってもぶれるというところだと思います。
 もう少し言い方を変えますと、教師が教職として専門性を発揮する業務と、そうではない業務は違いがあるのかとか、そういうこととも関係する。専門性とは何ぞやということとも関係する話だと思います。
 このあたりは中間まとめのあたりで一定程度整理はかなりされているとは思うんですが、先ほどの上限規制の話、上限の目安にもありますけれども、恐らく中間まとめ以上に、もっと今後この最終取りまとめ、答申になっていく上では、より踏み込まないといけないんじゃないかなという感じはしております。もうちょっとデータを見ながら申し上げますけれども、資料2-1、先ほどの教員勤務実態調査のデータ、資料2-1の4ページをごらんいただければと思いますけれども、これは先ほども申し上げましたように、週60時間以上と未満で、平日の1日の典型的な平均的な使い方の内訳が書いております。これは非常に貴重なデータで、忙しい、忙しいと言っていても、何に忙しいねんというところをよく見ないといけないです。
 これは赤のラインを引っ張っていただいているように、60時間未満と以上の差を注目するというのが一つの観点。プラス、トータルの、例えば小学校の先生であれば、週60時間以上の人は1日当たり12時間30分費やしているわけですけれども、これの12時間30分の中で、比重が重たいもの。つまり、割合が大きいものも見ないといけない。当然ですけど、授業とか、授業準備は重たいということであります。こういったところにメスを入れないといけないということですが、そこの関係でいいますと、善積さんなり、佐古先生なりがおっしゃっているように、授業準備とか、授業そのものだとか、成績処理だとか学校行事とか、いわば今までは先生たちの本来業務と思われて、当たり前だったところが実は比重が重いんです。これを減らすのか、減らさないのかとか、どこまでどう考えるのかということは大いに議論があってしかるべきだと思います。
 プラス、それ以外のものは本来業務と言わないのかどうかとか、そういうことも考えないといけなくて、もう具体的な話をした方が分かりやすいと思うので、給食、掃除、昼休み等の見守りは、これは1時間ちょっとぐらい、「生徒指導(集団)」ということであるわけですけれども、これは正直、先生には給食指導とか掃除指導は、もちろん今は学級担任のそれぞれ多少の専門性はありますけれども、本来の教職の専門性ではないので、これは本来業務ではありませんと言っちゃうのかどうか。あるいは生徒指導といっても、非常に幅広い概念なので、例えば家庭支援的なものも、今、生徒指導の一環として学校には付随しているわけですけれども、そこは先生の専門外でしょうということですとか、じゃあ、ほかの人にやってもらうとか、成績処理とか丸付け関係、採点関係は、もうこれはITにやってもらいましょう。つまり、先生の専門性が発揮する業務ではありませんよということだとか、そういうことも含めて、あるいは部活動指導も専門外ですよねといったようなことだとか、そういった本来業務外はどこなのかということをもうちょっと明確に踏み込まないと、さっき申し上げた週45時間なり何なりという目標を絶対達成できませんので、もっと議論していかないといけない。だから、むしろ本来業務以外は何なのかという話を考えたいなと思っております。
 2点目、この同じ資料2-1の表紙、1ページ目をごらんいただければお分かりのとおりなんですが、釈迦(しゃか)に説法ですが、1ページ目の一番上ですけれども、平均的な先生方は7時半から夜の7時ぐらいまで働いておりますが、正規の勤務時間は8時15分からです。まずここに矛盾があるわけです。つまり、子供たちが正規の勤務時間の前に来るから、先生も来ざるを得ないし、当然ですけど、8時15分に授業準備を始めたのでは、間に合わないという実態があるわけで、これも社会全体として、子供の登校時間をもっと遅らせようとするのか、あるいは先生の勤務時間を7時半からにスライドさせて、その代わりに、夕方、もうちょっと子供が早く帰るようにするのか、あるいは等々含めて、そのあたりも考えていかないといけないということを申し上げておきたいと思います。これ2点目です。
 あと3点目なんですけれども、さっきの資料5-1等に戻りますが、今後、結局、給特法を改正して、時間外勤務手当を出すべきかどうかということは要議論だと思います。しかし、私の個人的な見方を申し上げますと、時間外勤務手当を出すと。そもそも財源がどうなのかという問題はさておきまして、時間外勤務手当が出るということは、非常に生産性高く、効率よく、仕事を終えた方が必ずしも得をする制度ではないので、なので、違和感があります。それよりも調整額で一律でもいいから出しとくという現行の制度は一定の合理性があるだろうと思っております。しかし、問題は、今の4%というのが低過ぎて納得がいかないという先生も多いというところもありますので、これは繰り返しませんが、今の問題だと思います。
 4点目、年間の変形労働制については先ほどのようにいろんな検討があってしかるべきですし、選択肢としては非常に有効かもしれませんが、問題は、いくら8月に休めたとしても、5月、6月までもつかということです。4月は皆さん緊張しているし、子供も結構言うこと聞きますので、いいんですけど、5月、6月は一番メンタルがしんどい。このあたりはメンタルヘルスというか、先生方の休職とか病休が何月によく発生しているのかと。子供の自殺が夏休み明けに多いみたいなデータを、ちょっと私、確認してないんですけど、是非出してください。多分5月、6月、しんどい方もそれなりにいらっしゃると思うんですけれども、そこの問題を考えないといけない。しかも、病院になかなか行かないという先生も多いということでしたので、ある程度補充の人員を入れるなりして、ある程度、少し授業を抜けられるような制度的措置もないと、4月、5月等に残業時間長めというのは、結構しんどいだろうなと思っております。これは4点目。
 5点目、以上のことも関係しますが、働き方改革は結局、人材獲得のためにも非常に重要で、例えば8月に2週間、3週間、有給も含めて休めますよというと、企業と比べても、結構魅力的な職場になると思います。一方で、先ほどの5月、6月に結構ダウンしている人が多いということであれば、人材獲得上も非常にブラックな職場ということで魅力が下がるということですので、このあたりも国も教育委員会も学校も、本当に考えてやらないといけないと思いますので、このあたりも申し上げておきたいと思います。
 以上です。

【小川部会長】  残り、もう15分しかありませんので、今、名札が上がっている方に限定させていただきます。
そちらから佐古委員、青木委員、天笠委員、相原委員、そして、最後、川田委員ということでお願いします。

【佐古委員】  では、お願いします。この資料の5-1の論点例ですが、まず教師の業務の在り方については、先ほど冨士道先生のおっしゃったように、先生の仕事というのは自発性とか創意工夫に満ちたものであって、なかなか外から一律的に規制するということは難しいという性質を持っているということを申し上げたいと思います。そのことによって、いわば多様な子供に対応するという学校の仕事が成り立っているということも私は理解しているつもりであります。
 ただし、一方では、これまで強みであった日本の学校の先生の献身的な努力というものが、現状、ここに提示されているように、現実の働き方の中で持続することが危うくなっている。このような状況にあることが、まず現実の認識ではないかと思っています。
 したがいまして、実際上、これまで今までの学校の質を担保してきた先生方の頑張りというものをいかにこれからも損なうことなく、我々は適正な働き方を設計していくのかということが問題かなと思います。
 そのこととの関連で言いますと、小川先生がおっしゃいました変形労働時間制、年間を通しての変形労働制というのは、一定程度、方法としてはあり得ると思っておりますけれども、各委員がおっしゃったように、問題は、授業のある平常時の働き方の問題というのは依然として残るので、そのことについての抜本的な対応策を考えるべきではないか。平常時にどれぐらいの時間数をどんな仕事でやれば可能なのかということの目安なり、上限なりをきちんと設けるということが一方で必要ではないかと思っております。
 以上です。

【小川部会長】  青木委員、どうぞ。

【青木委員】  ありがとうございます。先ほどの勤務実態調査の訪問調査について、私お話ししましたが、その補足から始めたいと思います。先ほどお話ししたところでは、スクールバス等々があるという外形的な要因が見受けられたと申し上げたんですが、それは外れ値で、学校単位で物すごく短い勤務時間だったというところに行ったんですが、その外れ値研究からマネジメントが不要だということを言いたいわけではなくて、むしろ外れ値からマネジメントで採用できるものを、ヒントを得ようというものです。実際はその計量分析の結果から見ても、マネジメントの要素でかなり勤務時間の削減の効果が確認されていますので、そういう趣旨で申し上げました。
 それを踏まえてですけれども、かつて給特法ができた時代の議論としては、教師の専門職性と労働者性の間でどっちに行くのかということだったと思います。その観点から言うと、現時点で、なお、やはり専門職性というものを尊重するというようなことをベースに制度設計した方がいいと思うんですが、その後結果としてタイムマネジメントが効かず、個業化というものが進んでいき長時間勤務になっていったと思います。
 私、先ほど申し上げたように、計量分析の結果から見ても、タイムマネジメントは効くということがおおよそ確認できていますので、現時点においては専門職性を抑えた上でタイムマネジメントをどうしっかりしていくかというのが制度設計上、あるいは政策立案上は必要になっていくというふうに思います。
 その上でなんですけれども、論点例の教師の業務の在り方についての3つ目のポツについて申し上げたいと思うんですが、私の意見では、例えば超勤4項目を増やすというと、これはやはり管理する範囲が広がっていくという意味をもたらしますので、それはやはり好ましくないのではないかと。実際、給特法の成立前後の議論からすると、なるべくこの項目を、超勤項目を減らすということで決まっていった経緯があります。じゃあ、廃止、全廃してしまえというと、これはもう完全に専門職性を否定するような議論になっていきますので、これも好ましくないのかなと思います。
 4%に関して言いますと、これはやはり行政職等の比較で、実額で行政職がどのぐらい超過勤務手当をもらっているのかとか、管理職の割合がどうなのかというようなことも踏まえて検討すべきですし、そうなるとやはり中長期的な課題ということで引き取っておけばいいのかなと思います。
 やや私の個人的な意見を申し上げると、4%に関する言説を、社会の言説を最近見ますと、やや過剰に教員のモチベーションを下げる、低めてしまう効果をもたらしているのではないかと。要するに、そうした言説が余りにも教員の被害者意識を過剰に高めてしまっているのではないかと思います。この辺は他の職との比較の中で少し丁寧に情報を出していく必要があるのかなと思います。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 天笠委員、どうぞ。

【天笠委員】  1点申し上げさせていただきます。教育課程を維持するという、このことと日本の教育のよさを維持していくということはかなりつながっている部分じゃないかと思います。そういう点で、教育課程を維持していく、あるいは前提とするときに、一つ視点として何が大切になっていくかというと、その教育課程を分担する仕方と言うんでしょうか。ということがもう一段検討すべきこととしてあるんじゃないかと。今、御承知のとおり、それをこの国は小学校は学級担任制、それから、中高は教科担任制という、この分担の仕方ということをもう一度検討すべきところにあるんじゃないかと。実は昭和30年代とか40年代ですとか、あるいは平成に入った頃、TTが導入されたりですとか、一部教科担任制ということで、こういうことについてはこの国もそういう取組をした時期があったんですけれども、どうもすぼんでしまうと言うんでしょうか。元に戻るような、そういう意味で言うと、学級担任制と教科担任制は極めて根深い組織、根強い組織という言い方もできるかと思うんですけれども、その分担の仕方というところもまた検討すべきところじゃないか。
 どちらかというと、分担、28時間云々(うんぬん)というのは、一人の先生が全てを引き受けなくちゃいけないようなそういう構造になっているんですけれども、複数の先生でこれを分担し合うという、そういうこと等がもう少し検討されていいんじゃないか。そうしたときに一つ、日本の教育のよさということと非常に関わってくるのは、やっぱり学校行事の存在というのが大きな視点じゃないかと思うんですけれども、そこにおける指導の分担の仕方ということも、また一つの検討の事項としてあっていいんじゃないかと思うんですけれども、どちらかというと、この間、我々の議論は、部活動に集中して、その在り方ということを検討して、一定の方向性を出しているかと思うんですけれども、学校行事の在り方ということをもう少し部活を敷衍(ふえん)して、その指導の体制、在り方ということも検討することも大切なんじゃないか。学校行事を引き出してくると、学校の1年間ということの流れとかつながりとか、あるいは時間の集中と、ある意味で言うと分散と言うんでしょうか。あるいは時間を多く掛けるところと比較的勤務時間が短くなるところという、そのめり張りというのが、ある意味、学校行事と連動しながら動いているという視点もあるかと思いますので、そういう点からすると、今申し上げたようなところから学校行事等々の在り方ということについての分担の仕方ということも検討すべきことじゃないかと思います。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 では、相原委員、よろしくお願いします。

【相原委員】  ありがとうございます。働き方全体は、公務、民間含めて、日本が必ず進めなければいけない大きなテーマです。学校の最先端で働く先生たちが、世の中の働き方改革の大きな流れから取り残されないか、本当に心配しています。先頭を切って生徒に接しておられる、モラル高く仕事に就いておられる先生たちが生き生きと働いてほしいと本当に願うところです。
 高いモラルに依存してきたと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、先生一人一人の高い意識が職場を支えてきたというのは間違いないですし、管理職の皆さんとの共同歩調を取ってきたということだと思います。しかし、働き方改革は社会全体で進みますので、学校の働き方がほかの業種や業態より前に進んでいるならいいんですがビハインドだという状況について、深い認識を持った上で進めていくのが大変大事だと思っています。
 法的拘束力など締め付けるような話を先ほどしましたが、それぐらいのことをやらないと駄目ではないかというのが実感です。一番初めに2,000時間弱プラス1,000時間、2,000時間弱プラス800時間という膨大な労働時間の推計値を伺えば伺うほど、今回のチャンスを逃したらどうなるんだというのは、皆さんの共通の認識ではないかと思うところです。
 この部会の大きな流れでいけば、「超勤4項目」を廃止して、それ以外についても、しっかりカウントすること自体が基本線だと思います。制度設計する上での軸とすべきではないかと思っています。
 先ほど川田先生と部会長のやりとりがあったので、変形についてもう一点だけ言わせていただくと、民間における変形労働時間制は必要性が明らかです。商機を逃さないための年間を通じたカレンダーの配置、さらには負荷状況を踏まええた生産現場での平準化などです。ついては、変形労働時間制を学校現場に入れるときの目的をもう一回はっきりさせていただきたいと思っています。
 夏休み、休めるよという先生の働き方の魅力出しをそこでしていくのか、安全衛生をその観点でより高めるのか。部会長のお話を伺うと、今の働き方を前提にスライドさせるのは難しいが、業務量全体の削減を前提として変形労働時間制を入れるいう前提条件付きの説明が出てきた際に、本来の目的はどこにあるのかということをしっかり定めないと、制度設計できないのではないかと私は思います。
 以上です。

【小川部会長】  では、最後、川田委員、よろしくお願いします。

【川田委員】  ありがとうございます。このお話は恐らく次回以降も続いていくかと思いますので、時間もありませんし、資料5-1に関する総論的な点を3点ほど述べたいと思います。
 一つは、5-1の1ページの1つ目の丸、教師の業務の在り方についての2つ目の点に関するところです。既に他の委員からの発言もあったかと思いますが、とりわけ子供に直接向き合うような場面で、その時々の具体的な状況に応じて対応していくというような活動というのは、恐らくそれが重視されているということが日本の教育のよい点だと思いますし、そのようなものは今回の働き方改革の中で、全体的な長時間労働への歯止めと並んで、そのような時間を確保していくということも同時に重要な目的になるのではないかというふうに考えております。
 そういう点からすると、この2点目のところで書いてある給特法の考え方が、制定当時示された考え方が現在においても当てはまるかという点については、基本的にはそのとおり当てはまると考えてよいのではないかと思うわけですが、その一方で、2つほど考えなければいけない点があると考えています。
 1つは、今述べたような働き方が、実際、教員の働き方の重要な部分として存在しているとしても、そうではない働き方というのもあって、ちょっと単純な二分法ではまずい面があるかもしれませんが、やや単純化して言うと、そうではない働き方が増えることで、ここで言っているような望ましい働き方に割ける時間が削られてしまっている状況があるのではないか。その点をしっかり捉えるということが大事ではないかと思います。
 それからさらに、この点に関わりますが、給特法のときから言われている自発性とか創造性という表現については、見直すべき点があるのではないかと考えています。幾つか問題点はあると思いますが、一つは、この給特法当時からの説明の仕方で、教員の働き方が全体としてそのようなものになっているというふうに捉えられてしまうような面があって、先ほど言ったように、実際にはそうではないものもあるのに、そうではない業務による負担の問題が捉えにくくなってしまうという問題があると思います。
 それからもう一つは、自発性とか創造性と言うと、あたかも教員が自由に働き方を決めているように見えてしまう面があるけれども、実際には子供と向き合う、先ほど来重要な業務と言っているものについても、あくまでも職務の中でやっているものであって、教員の現場での判断が重要であるという面はあるにせよ、あくまでも職務の一環であるという点が見えにくくなってしまい、ややもすると自発的にやっているんだから、別に長時間労働との関係では問題ないんじゃないかというような捉え方につながりかねないといったところがあると思います。この自発性、創造性という点については、基本的な考え方はいいとしても、自発性、創造性という表現については、もうちょっと職務の関連があるだとか、教員の働き方の全てがそのような性質を強く持つものではないということが分かるようなものを何か考えたらいいんじゃないかなということ、以上が1点目です。
 それから、2点目は、2つ目の丸、勤務時間管理の在り方についての1つ目の黒丸のところで、その給特法が時間管理がおろそかになったという指摘があるということに関連して、幾つかのことが書いてあるわけですが、この点は基本的には、特に前半はおおむねそのとおりと言えるのではないかと思います。
 給特法は、一面では時間外勤務手当が払われないということから、時間外勤務との関係での時間管理の必要性をなくしているというような面があると思います。それは法律の内容それ自体による影響という面もあると思いますが、それ以上に重要だと思われるのは、法律そのものというよりは、それを運用していく中での実際上の扱いとして、給特法は労働基準法の中の割増賃金に関する37条を適用除外にしているのですが、あたかもそれだけではなく、労働基準法全体が教員にとっては関係ないというような運用がされてきて、その結果、例えば適用が本来あるはずの労働基準法32条や、それと関連した労働時間管理の必要性といったところが見逃されがちになってきたのではないかなと思います。
 また、ちょっと違う観点からですが、給特法の仕組みの中で、明確な職務命令というものに重きが置かれており、それがその後の労働基準法の領域での労働時間概念に関する判例とか学説の進展があった後の現時点から見ると、このように給特法の下で、職務命令に重きを置いているというところがやや実態と合わない不自然さ、あるいはおかしな結果を導いているというようなところがあるのではないかということもあると思います。
 ただ、先ほど言ったように、給特法の下でも、例えば労働基準法32条に基づく労働時間管理の必要性などはあるわけで、これに今般の法改正を一つのきっかけとして、本来あるべき姿に戻るというような形で、時間管理を徹底する必要性を改めて確認することの重要性はあると思います。
 特に最近の民間企業の労働法制においては、制度の中身自体についてはいろんな議論がありますが、例えば裁量労働制とかいわゆる高度プロフェッショナル制のような、その働く労働者自身の現場での判断が一定程度尊重される結果、労働時間の面で特別な扱いを受けるような制度においても、様々な形で、健康確保の観点からの時間管理は必要であるということが労働法制における大きな潮流、流れとして存在していると思いますので、教員との関係でも、先ほど1点目で述べたような性質があるとしても、それと両立するような形での労働時間管理の仕組みを考えるということの必要性、重要性は大きいということになるのではないか、これが2点目です。
 それから、長くなってしまいましたが、あと1点。同じ白丸の2つ目の点、実効性確保に関して、先ほど資料4関係でもちょこっとガイドラインとの関係でのお話をしましたが、改めて、ガイドライン等を作る場合の法的な効力に関して、若干追加的に考えを述べたいと思います。
 法律そのもの、あるいはガイドラインのような何らかの仕組みを作る場合の法的な意義については、法律学的な観点からは、例えば行政法規の枠の中で問題があったときに、しかるべき行政機関が別の、例えば個々の学校に対して指導とか、場合によっては命令をすることで是正を図るということが考えられます。また、民事的な枠組みの中で、例えば関係当事者に職務上の注意義務を課す上での参考資料にする、あるいは強行法規として違反する扱いを違法にするという扱いがあります。さらに、これまでの議論の中で刑罰の話が出てきていますので、その点にも触れておきたいと思います。
 まず刑罰というのは、現在の改正された労基法の下での上限規制との関係で言えば、その実効性を担保する上での重要なツールとして位置付けられているものであり、その実効性確保の手段として強力にあるということは一面あるわけですし、民間企業ではそうなっているということが、教員に関しても参考にすべき点だと思います。
 一方で、実効性確保の手段にはいろいろあることを考えると、ガイドラインを作る場合に、刑罰法規としての効力を持たせない方がいいのではないかという考え方とも、幾つかの観点からあり得るのではないかと思います。そういった考え方もあることを踏まえて議論を進めていく必要があるのではないかということであります。
 具体的には幾つかあるので、かいつまんで述べますと、一つは、刑罰法規ということになると、その解釈にある程度厳格性が求められて、個別の事案への対応の柔軟性がその分犠牲になる可能性があるということです。例えばガイドラインでもグレーゾーンについて時間としてカウントするかどうかというのは、実際作ってみると、結構ややこしい問題が出てくると思いますが、そのあたりのところで刑罰法規のような一面で強い効力を持つ法規を作ると、その反面として刑罰法規は類推適用などの拡張的な適用を避けるべきと考えられてているため、個別の事案に柔軟に対応したり、場合によっては踏み込んだりというようなことがやりにくくなる可能性が出てくることになると思います。
 それからもう一つは、先ほど来述べている教員の自分自身の判断に基づく働き方が一定の重要なものとして存在しているということを考えたときに、もしかすると、刑罰法規のような強い効力を持たせてしまうと、そういった教員自身の判断を一定程度尊重すべきような場面にまでコントロールを及ぼす必要があるということにつながりかねない、そういう可能性があるのではないかとも考えられます。
 あるいは、そもそものところで言うと、罰則付きの民間企業における上限規制は、労働基準法36条に基づく時間外労働を前提としているのに対して、ここで今、問題にしているのは、33条3項という、公務員を対照とした、公務の必要性に基づく時間外労働であって、これについては、教員でない、一般の地方公務員の扱いなども参考にして考えていく必要があるのではないか。そのように考えると、33条3項については、今回の改正を踏まえても、形式的には上限規制がない状態であるわけですが、それには公務を遂行する必要性からどうしてもやらなければいけない場合というのがあるのという考慮が図られている面があるのではないかと思いまして、それについては、教員についても当てはまる面があるのではないかと思います。
 そうすると、将来的に一般の地方公務員も含めて罰則付きの上限規制というような方向に動いていく可能性というのはあるし、その場合にはそういった動きを十分に念頭に置いて対応する必要があると思いますが、現状では、33条3項と36条の違いというのも一定程度、意味を持つのかなというふうに考えられると思っております。
 若干長くなってしまいましたが、以上です。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 きょうも委員からいろんな今後詰めるべき新たな論点等々も含めて意見を出していただきました。事務局の方できょうの議論、更に整理していただき、次回、また継続審議をしていただけるようよろしくお願いいたします。 すみません。きょうはいろんな議論があると思いまして、通常よりも30分長い2時間半にしたんですけれども、それを更に上回る熱心な御議論いただきまして、本当にありがとうございます。
 では、これできょうの会議を終わりたいと思いますけれども、次回以降の予定について、事務局からお願いいたします。

【鞠子初等中等教育企画課課長補佐】  次回の日程につきましては、追って御連絡させていただきます。本日の資料につきましては、机上に置いていただければ郵送させていただきます。

【小川部会長】  それでは、これできょうの会議を終了いたします。ありがとうございました。御苦労さまでした。

―― 了 ――


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初等中等教育局財務課