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中学校の給食 一律実施か、自治体別か 法学部2年生が討論

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意見を述べる学生たち
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議論する学生たち

 さまざまなテーマで大学生が議論する「18歳からの選択」。今回は、ある中学生が、給食のあった学校から、給食がなく弁当持参の学校に転校し、「同じ中学生なのに」と疑問を持ったという想定。中学校には全国一律で給食があるべきだという立場と、自治体によって違いがあってよいという立場に分かれ、関東学院大学法学部の2年生9人に議論してもらった。

栄養バランスや貧困対策で議論

 全国一律で給食があるべきだ(以下、一律) 学校でちゃんと勉強するためには、きちんとした食事が取れることが大事。全国一律で給食があるべきだと思う。

 給食のある自治体とない自治体があってよい(以下、容認) でも、同じ中学生でも体格や運動量によって食べる量は違うし、地域の状況も違う。一律に給食にするより、それぞれの地域に合わせて考えた方が良いと思う。

 一律 給食があれば、学校がある日は必ず1食は栄養バランスの良い食事が取れる。弁当持参だと、栄養バランスが偏ってしまう可能性がある。

 一律 学校給食は困窮家庭の子どもたちへの対策として始まったと聞いた。子どもの貧困が問題になっている今、改めて給食の必要性が高まっているんじゃないかな。

 容認 給食がなかったところで給食が始まって、給食費を払わなければならなくなった場合、経済的に払えない家庭も出てくると思う。

 一律 給食費が払えないほど困窮している家庭には、自治体が手当てすればいい。

 容認 困窮家庭にとっては、家庭で用意した方がやりくり次第で安く上げられるかもしれないし、かえって良いかもしれない。

 一律 それって、結局、菓子パンだけ持っていくというようなことになるんだよね。そうなると、育ち盛りの中学生には栄養が足りないんじゃない? せめて義務教育のうちは、全員が平等に学校のある日だけでもきちんとした食事を取れるようにすべきだよ。

 一律 全国一律で給食があれば、すべての保護者がお弁当作りの負担から解放される。共働きの家庭も増えているし、給食があった方が保護者は助かると思う。

 一律 転勤などで引っ越した場合、前の学校は給食があって、引っ越し先ではお弁当になると、生活を変えるのも大変だよね。

「全生徒の家庭に昼食代」

 容認 自治体によって財政状況には差がある。給食も財政的に無理ならばできないので、全国一律で実施しようとしても、できない自治体があるだろう。違いがあっても仕方がないんじゃないかな。

 一律 それなら、国が自治体の財政状況に合わせて補助金を出して、全国一律に給食が実施できるようにすればいいんだよ。

 容認 国が財政状況によって自治体からお金を取って、中学生のいる全ての家庭に昼食代を分配するというのはどうかな。そうすれば、困窮家庭でも給食、お弁当に関係なく、子どもの昼食代に困ることがなくなると思う。

 一律 でも、現実には、経済的に豊かな自治体でも給食がないところはあるし、さほど豊かでなくても給食のある自治体もある。財政状況の違いだけではないと思う。

 容認 たとえば、子どもの医療費についても、自治体によって制度が違う。給食だけの問題ではないので、自治体によっていろいろな制度に違いがあるのは仕方ないと思う。

 容認 自治体によって違いがあれば、もし、どうしても今住んでいる所の制度が嫌だったら、違う制度の場所に引っ越せばいい。最終的には引っ越すという手段があるのだから、違いがあった方がいいかなと思う。

 一律 でも、制度が全国一律であれば、他の地域と比較することもないから、問題ないんじゃない? それが当たり前なら受け入れざるを得ないし。どんな制度でも全国一律で、自治体による違いがない方がいいと思う。

 容認 その地域に住んでいる人たちがどう考えるかが一番大事なんじゃないかな。国の制度を変えるのは難しいかもしれないけど、自治体の制度は国の制度よりは働きかけによって変えることが容易だと思う。

 × × ×

 「18歳からの選択」は政治の基礎となる自由、平等、権利や、どのように社会に住みたいかを考えるため、架空の状況、賛否のある構想・制度、議論になっている社会の問題・課題について大学生に議論してもらうもの。今回は関東学院大の村上裕法学部長の協力で同学部の2年生が参加した。

 学生たちは自分の考えとは無関係に2グループに分かれて議論した。議論は結論を出すためでも、勝敗を決めるためでもないことを前提にしている。記事は学生たちの発言を基に再構成した。【ファシリテーター・構成 石塚淳子】

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