小田原市がなじみ薄い「低利用魚」活用 学校給食から消費拡大へ 神奈川

 小田原市や漁業関係者でつくる「小田原の魚ブランド化・消費拡大協議会」が、水揚げされたものの、認知度や収益性が低く、一般消費者にはなじみが薄い「低利用魚」を学校給食メニューとして活用する取り組みを始めた。鮮魚の消費拡大戦略の一環で、漁業者の所得向上にもつなげるのが目的だ。

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 市立早川小学校をモデル校に設定し、9月から毎月1回、低利用魚を使った給食メニューを提供している。9月10日に提供された「シイラのフライ・クリームソースかけ」は、「児童からはクセもなくとてもおいしいと好評だった」(市水産海浜課)。来年度以降、実施校を拡大する。

 シイラはさっぱりとした白身で、高級魚「ヒラマサ」に似ているという。鮮度が良いものは刺し身でも食べることができる。しかし、外見が変わっていることに加え、最大で体長2メートルに及ぶ大型魚のために店頭に並ぶことは少ない。セリにかけても売れず、家畜飼料用に引き取られるケースが多いという。

 早川小では10月に「ゴマサバ」、11月は「カマス」のメニューが給食メニューに登場。ゴマサバ、カマスともに豊漁が続いており、価格が下落している。低価格のために市場に出すことが難しく、現在は主に冷凍保存を行っている状態で、冷凍する費用もかさむため、「何としても消費拡大につなげたい」(同課)と、給食メニューとしての活用が決まった。これら低利用魚は水揚げ量全体の約2割を占めるという。

 市では学校給食での活用を契機に、低利用魚のメニューが市内の食卓に浸透すれば、「小田原の新たな名物になるかもしれない」と期待を高める。

 低利用魚の消費拡大をめぐっては、市や県などがカマスの背骨を簡単に抜いて「骨抜きカマス」に加工する装置を開発中で、同課は「将来的にはコンビニで『骨抜きカマスの空揚げ』を売り出すことができれば話題になる」と意気込む。「小田原の魚のおいしさを消費者に知ってもらうことで、市のブランド向上にもつなげたい」(同課)としており、あの手この手で低利用魚の消費拡大を図る。

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