2016年(平成28年) 9月16日(金)付紙面より
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鶴岡市の海岸部、堅苔沢地区で受け継がれてきた在来作物「波渡(はと)ナス」の栽培に取り組んできた地元の小堅保育園(土岐邦子園長、園児22人)で14日、栽培でお世話になった地域のおばあちゃんらを招いた「波渡ナス収穫祭」が行われた。波渡ナスを使ったたくさんの料理を給食で一緒に味わうとともに、「ぼくたちが受け継ぎます」と地域の“宝”を受け継ぐ決意を新たにした。
波渡ナスは、堅苔沢地区一帯で自家採取、栽培されてきたナス。加賀野菜の「へた紫ナス」に似た丸みのある大型のナス。同保育園では今年初めて地域のおばあちゃんたちに種を分けてもらい、子どもたちがおなかで種を温める芽出しからチャレンジ。3度の植え替えを経て園庭で栽培し、8月4日の初収穫以来、順次収穫してきた。
この日の収穫祭には栽培でお世話になったおばあちゃんら約20人が参加。初めに園庭で丸々と実った波渡ナスを収穫。引き続き、屋外で波渡ナスクッキング。包丁を上手に使ってナスを切ったり、ピザ用に春巻きの皮の上にミートソースを敷いてチーズを載せるなどした。
その後、子どもたちが波渡ナス栽培で感じたことを発表。「小さな種が赤ちゃんで、私がお母さんの気持ちになった」「白いのが芽だと聞いてうれしかった」「ピッカピカでツルツルの波渡ナスがいっぱいできたね」などと3月の芽出しから収穫まで5カ月を振り返り、「今度は種取りを教えてね。ぼくたちの波渡ナスもつなげていくよ」と声を合わせた。
昼食は、食育アドバイザーとして関わっている海藤道子さんのオリジナルメニューなども加わって、波渡ナスのマリネやステーキ、ピザ、挟み揚げ、お好み焼き風、パスタと10種以上が並んでバイキング給食。おばあちゃんたちは「こんなに手間をかけて料理したことがない」と喜びながら、おなかいっぱい波渡ナスを味わった。
土岐園長は「何百年と地域で受け継いできたものに、保育園として参画できたのが一番の収穫。子どもたちとおばあちゃんたちのつながりもより深くなった。手間がかかるだけに、子どもたちの波渡ナスにかける思いもひとしお。来年度も引き続き栽培していきたい」と話した。