O157食中毒の再発防止誓う 堺の集団発生から20年 追悼の「つどい」

 堺市で平成8年に発生した病原性大腸菌O157による集団食中毒から20年を迎えた12日、市役所敷地内の追悼碑前で、竹山修身市長や市立学校長らが集まり、「追悼と誓いのつどい」が開かれた。8~9年に小学児童が亡くなり、昨年には後遺症で25歳の女性が死亡した。この日に合わせ、市教育委員会は初めて全市立学校・幼稚園、認定こども園で黙祷(もくとう)に取り組むよう通知。多くの学校で、亡くなった4人を悼む黙祷が行われ、再発防止を誓った。

 「つどい」は平成10年11月に初めて開かれた。24年に市教委が集団食中毒が発生した7月12日を「忘れない日」に制定したため、この日に開催されるようになり、竹山市長や市議会関係者のほか、市立学校校長ら数百人が参加している。

 「忘れない日」に開いた「つどい」は5回目。今回は約300人が参加し、全員が黙祷した。竹山市長は追悼の言葉を述べた後、「すべての職員が安全安心な環境を構築する」と誓った。竹山市長や市議会の吉川守議長ら10人が追悼碑に献花し、ほかの参加者も次々に花を手向けた。

 今回は発生から20年を迎えたことから、「つどい」開催に合わせ、市教委が10幼稚園・認定こども園▽93小学校▽43中学校▽堺高校▽3特別支援学校-の計150市立学校・園すべてに、黙祷などを行うよう通知。堺区の市立市(いち)小学校では、体育館で行われた朝礼で、山本雅士校長(61)がO157食中毒について説明。ステージに写し出された追悼碑の画像を前に約350人の児童と、教職員が黙祷した。

 市役所では、26年に、8~9年に亡くなった小学生児童の冥福を祈る言葉が刻まれた追悼碑が敷地内に完成。「つどい」は25年まで中区の市教育文化センターで開かれていたが、26年から追悼碑前で開催するようになった。市と市教委、市医師会などでつくる市健康づくり推進市民会議が開いている。

 ◇堺市のO157食中毒 平成8年7月12日、学校給食を食べた小学生らが次々と下痢などの症状を訴え、児童7892人を含む9523人が発症。8年に市立久世小5年生と市立三原台小6年生、9年に市立新檜尾台小1年生の女児3人が死亡した。さらに昨年10月には、後遺症による脳出血で、当時小学生だった女性(25)が死亡した。市は遺族や被害者と補償交渉を進め、昨年10月に亡くなった女性を含め9108人と合意し、支払総額は約7億6660万円にのぼるが、11人がまだ合意に至っていない。また発症者のうち現在も、20人が診察や検診が必要とされている。

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