世界の食文化、ゲームで理解 滋賀県国際協会が作成「違い知り、相手に配慮を」

 異なる食文化を知ることで相互理解を深めてもらおうと、公益財団法人「県国際協会」(大津市におの浜)などは、各国の食文化を紹介するカードゲーム「わたしん家(ち)の食事から」を作成した。イラストを交えて大人から子供まで楽しめる内容になっており、同協会担当者の大森容子さんは「食文化は一番とっつきやすい普遍的な文化。ゲームを通じて、互いを認め合うことの大切さを知ってほしい」と話している。

 カードゲームは、中国や韓国、エジプト、アメリカなど9カ国の食文化の情報がそれぞれ書かれた情報シート9枚と、食にまつわるイラストが描かれたカード54枚が1セット。参加者は、情報シートに沿ったカードを集める過程で、各国の食文化を学ぶ。

 情報シートは、県内に住む外国出身者からヒアリングして作成。各国の主食や食事のあいさつ、食べられない食品、食事のときに飲む物などが書かれている。5、6人でも遊べるが、学校の授業や地域の人権学習会などの教材として使われることを想定している。

 ゲーム作成のきっかけは、同協会に寄せられた相談だった。10年ほど前から、県内に住む外国人は急増。それに伴い、子供たちの給食や弁当について外国人から悩みを多数打ち明けられるようになった。例えば、食文化のちがいから食べられないものがあるのに、それを単なる好き嫌いと受け止められてしまうケースがあったという。

 こうした状況を受け、同協会などは平成18年に各国の食文化を紹介するかるたを200セット作成。北海道や九州など全国から問い合わせがあり、あっというまに完売した。

 しかし「外国人が食文化の壁に悩む現状は変わらない」として今回、より低い年齢層にも楽しんでもらおうと、イラストを中心にしたカードゲームにした。

 ゲームのポイントは、情報シートが個人のヒアリングをもとに作成されているということ。アメリカのクリストファー・キャンベルさんの情報シートでは、食事のときに飲む物に「水や牛乳」と書かれている。「アメリカに対するステレオタイプから『コーラ』を選ぶ子供が多いんです」と大森さん。食文化は国によっても違うし、同じ国でも一人一人考え方が違う。

 大森さんは「違いを知るからこそ、違う文化を持つ相手に配慮することができる。『違っていて当たり前』という見方ができるようになってほしい」と話している。

 カードゲームは、情報シートとイラストカード(54枚×6セット分)などのセットで2200円(税別)。問い合わせは、同協会(電)077・526・0931。

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