新名物「あだち菜うどん」浸透 足立区特産の小松菜練り込み 給食にも初登場

 足立区で、特産品の小松菜を練り込んだご当地グルメ「あだち菜うどん」を同区の新名物にしようとする動きが進められている。地元の商議所や若手経営者らが開発し、区内で提供する飲食店も増えている。8日には区立中学校の給食のメニューに初めて登場するなど、新名物としての認知度は着実に広がっている。(今仲信博)

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 ◆広がる味と香り

 あだち菜うどんは、区内産の小松菜を小麦粉に練り込んだ太麺で、鮮やかな緑色が特徴だ。コシがあるもちもちとした食感に加え、一口食べると、小松菜の味と香りが口の中に広がる商品となっている。

 ものづくりのイメージが強い足立区だが、区内では農家が小松菜や枝豆などを栽培しており、区も地場産野菜のPRに力を入れている。特に小松菜は平成23年の収穫量が943トンと、江戸川区に次ぐ都内第2位の収穫量を誇っている。

 東京商工会議所足立支部によると、足立区の新名物を作ろうと、24年6月に同支部や区内の若手経営者らが「区新ご当地グルメ創造プロジェクト」を発足。同区が小松菜の産地としてあまり知られていないことや、区内に製麺会社が多くあることに着目し、小松菜を生かしたあだち菜うどんが誕生した。

 一昨年4月に1店舗で提供を始めた後、飲食店に呼び掛け、現在は区内18の店舗で提供されてる。

 最初に提供を始めた「ゑの木れすとらん」(同区西加平)では、ブランド鶏肉「東京しゃも」で出汁を取ったつゆとともに提供している。

 オーナーシェフの榎本憶人(おくと)さん(37)は「あだち菜うどんを目当てで店に来る人も結構いる。飲んだ後の締めとしても人気で、ランチでも好評」と話した。

 ◆乾麺も開発中

 区立入谷中学校では、8日からあだち菜うどんを給食のメニューに導入した。この日は「冷やしあだち菜うどん」としてかき揚げやサツマイモの天ぷらなどと提供され、同校2年の松縄栞奈(かんな)さん(14)は、「茶そばみたいな色だけど、食べると少しだけ小松菜の味がして、とってもおいしい」と笑顔だった。

 今後、区内の複数の小中学校では、入谷中に続いて給食に導入する予定だ。また、プロジェクトは「あだち菜うどん学会」に名称を変更。NPO法人化を目指しており、家庭でも味わえる乾麺の開発を進めるなど、今後も新名物のPRに力を入れる考えだ。

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