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給食室、酷暑での調理常態化 久留米市、今夏488人が熱中症症状

 福岡県久留米市立の小中学校、特別支援学校(計64校)で、学校の調理室で給食を作る「自校方式」の42校のうち、36校の調理室にエアコンが配備されていない。調理室は厳しい衛生管理が求められ、外気を遮断しており、調理器具の熱がこもりやすい。学校に勤める栄養士らの研究会の調査では、今夏は延べ488人、酷暑だった昨夏は延べ817人の調理員が、頭痛や吐き気、めまいなど熱中症とみられる症状を訴えた。40度を超える中での作業が常態化した調理室もあり、早急な対応を求める声が上がる。

 市によると、市立の64校のうち22校はいわゆる「センター方式」を採用し、2カ所の「学校給食共同調理場」で給食を作る。内訳は中央調理場が14校分、田主丸調理場が8校分で、いずれもエアコンがある。

 自校方式の42校では、学校の建て替えや、調理室の改修をした6校だけにエアコンを配備している。

 市によると、小中学校、特別支援学校の普通教室は全てエアコンがあり、調理室は遅れている。

 エアコンがない36校(小学校34、中学校、特別支援学校各1)では2017年度から順次、試験的に冷風機(スポットクーラー)の設置を始めた。ただ3校は手狭で設置できておらず、設置した学校でも、調理器具の熱や、冷風が行き渡らない調理室の構造上の問題で、効果は限定的だ。

 栄養士らの研究会の調査は、センターを含む市内の全給食施設を対象に、7~9月の15日間実施。調理室の最高室温、湿度、体調不良を訴えた調理員数などを記録した。今夏は最も高い施設で室温46度、湿度95%だった。7月16日には計56人が体調不良を訴えた。

 猛暑日が続いた昨夏は最高室温が51度に達した施設があり、最高室温の平均が40度を超えた施設も4校あった。過酷な調理環境に、12月の定例市議会の一般質問では「命に危険が及ぶ、緊急を要する事態だ」との指摘も出た。

 市学校保健課は取材に「エアコン設置だけでなく国の基準を満たす工事も同時に行う必要がある。予算の問題もあり、改修は計画的に行っている」と説明。調理員にはエアコンのある休憩室でこまめに休み、水分補給するよう注意喚起しているという。市が給食調理を委託している業者も、経口補水液の常備や保冷剤付きベスト着用などの対策を取っている。

 同課は「熱が出にくい献立を工夫し、他自治体の取り組みも調べて、より効果的な改善策を検討したい」としている。 (山口新太郎)

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