2019年08月28日
魚を取り入れる工夫学ぶ
和食給食応援団迎え研修
東牟婁地方学校給食研
魚の臭みを抑える工夫などを実演で紹介する雲井利益さん(左)=23日、串本町文化センター

 東牟婁地方学校給食研究会(松本広明会長)が23日、串本町文化センターで研修会を開いた。前半は和食給食応援団の支援を受けて調理研修に臨み、魚や和食を学校給食の献立に取り入れる上で役立つ工夫を和食料理人から教わるなどした。

 この研修会は、会員の資質向上を目的とした夏休み期間恒例の取り組み。今回の調理研修はみくまの支援学校の栄養教諭・片山和希さんの働き掛けで同団の後押しを受ける形になり、同団は田辺市内で「召膳 無苦庵」を営む和食料理人・雲井利益さんの協力を得て魚が好きになる献立の提案をする機会を整えた。

 当日は関係する栄養教諭、学校栄養職員、調理員24人が出席。実施に当たり同会事務局の濵正和さんは「学校長として児童と接する中で自分と同じ感覚で和食が好きな子どももいる」と状況を伝えて和食の素晴らしさを再発見するよう呼び掛け。同団を代表して西居豊さんは活動紹介とともに、片山さんの思いの熱さと祖父が同町出身で地縁もあることで後押しを決めたことを伝えて同研修の進行役を務めた。

 雲井さんは調理の実演を交えて▽シイラ野菜餡(あん)かけ▽鯖(さば)と白菜と切干大根の和(あ)え物▽葱(ねぎ)と油揚げのすいとん風味噌(みそ)汁▽南瓜(かぼちゃ)の汁粉風―などを提案。学校給食ではもっぱら冷凍魚を食材にするがそのときに課題となる「臭み」を抑える調理方法、学校給食の現場でも目指せる味がいいだしの取り方など、献立に取り入れやすくする工夫を紹介しながら各メニューを仕上げ、出席者は試食をしてその味わいを確かめた。

 海産資源に恵まれた地域である一方、学校給食はもっぱら冷凍魚を食材にせざるを得ないのが同研究会管内の現状。その状況から子どもの魚食への苦手意識を取り除きたいと片山さんは同団に働き掛けた思いを語り、その応答となる今回の研修を経て「先生方からは子どもが食べやすい洋食を出してほしいと言われるが、僕や調理員がおいしいと言って出した和食の献立は子どもも絶対食べてくれる。僕らがやらなければいけないのは、食材を生かした和食を食べさせ子どもらに染み込ませていくこと。そのことが大切だと改めて感じさせてもらった」と話した。

 後半は衛生管理研修で、県職員を交えた座学で日々留意すべき点などを再確認したという。

(2019年8月28日付紙面より)

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魚の臭みを抑える工夫などを実演で紹介する雲井利益さん(左)=23日、串本町文化センター