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第8回健康都市連合国際大会 静岡・袋井市の論文5本が受賞

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袋井市受賞トロフィー

 「第8回健康都市連合国際大会」が昨年10月17日から3日間、マレーシアのサラワク州クチン市で開催され、袋井市(静岡)の健康づくりの取り組みに関する論文5本が賞を受けた。
 健康都市連合は、健康推進に取り組む200以上の地方自治体や政府、民間組織などで構成された国際組織で、今年で8回目となる国際大会は、健康作りを推進するシステムや政策について情報共有を目的に開催されている。
 今回、袋井市が受賞したのは5本の論文で、52都市・団体からの応募の中、5つのカテゴリーで受賞するのは今大会最多となった。
 WHOベスト・プラクティス賞を受賞した2論文は「日本一健康文化都市~市民が『ともに進める』健康寿命の延伸」と「生産者が参加する食育活動と学校給食を活用した健康的食習慣の推進について」。
 後者は食生活の基礎を定着させ、生活習慣病予防を推進するため、安全・安心な地場産農産物を活用した学校給食による食育の取り組みを報告。食を通じた学びや地域とのつながりを通じた取り組みなどを論じた。

給食がつなぐ地域や家庭
 袋井市は「日本一健康文化都市」宣言をし、全市をあげて野菜の摂取を促す「野菜いっぱい運動」を開始したのを機に、学校給食でも地場産農産物の活用推進を始めた。
 取り組みの中心地は平成25年に市が開設した袋井市立中部学校給食センターだ。地場産物を使用した手作り給食、食物アレルギー対応も可能な最新設備を備える。
 平成26年には給食を統括する部署を新設。給食で使用する農作物の時期や量を分析し、よく使用される農作物を中心に市内の生産者に作付け依頼を行った。
 現在では地場産農産物の活用率は、主要10品目重量ベースで13・8%(平成24年)から31・8%(平成29年)へ、金額ベースでは350万円(平成24年)から2300万円(平成29年)と大幅に増加し、地域の活性化につながっている。
 さらに、生産者には学校の食育カリキュラムと連動した食育活動を呼び掛けた。収穫体験の場を学校に提供する、生産者と児童生徒がともに食べる交流給食を企画するなど、給食を通じ、地域とのつながりを実現した。
 各学校では学級担任や栄養教諭による食に関する指導を充実させた。献立表や給食だよりには原材料の表示や食に関する話題を記載し、家庭への野菜摂取、減塩の啓発を進めた。
 これらの取り組みを通じて、子どもたちの望ましい食習慣を形成するために給食を活用し、さらに家庭への啓発にも発展している点が高く評価された。
 同市教育委員会おいしい給食課の川村佳典課長は、これからの取り組みについて「人を良くすると書いて『食』。今後も給食を通して、望ましい食習慣、食べることの大切さを伝えていきたい」と話している。

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