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再建資金集めに苦戦 益城町の被災給食センター CF調達、目標額の3%

 熊本地震で甚大な被害が出た益城町が、被災した給食センターの再建資金を集めるのに苦戦している。4月にインターネット上で始めたクラウドファンディング(CF)で調達できた金額は目標の3%にとどまる。2度の激震で機能不全に陥った苦い経験から、防災機能を備えた施設として新築しようとしているが、町は重い負担を抱えざるを得ない状況だ。

 旧給食センターは一部2階建て鉄骨造りで1979年完成。町内7小中学校の給食約3300人分を提供していた。老朽化していた上、新しい耐震基準を満たしていなかった。

 町が再建計画を策定した翌年の2016年4月に地震が発生。建物が傾きボイラーが破損するなど大きく損壊したため、町は移転再建を決めた。新センターは来年3月に完成予定で、同4月から本格稼働する。

 用地買収や土地造成、建設費を含む総事業費は約20億7千万円。国の補助と民間の寄付を除くと、町の負担分は約10億5千万円で、多くの復旧復興事業を抱える町の財政にのしかかる。

 財政負担を軽くするため、町は4月、給食センター再建に用途を限定した「ふるさと納税型」のCFを立ち上げた。寄付した人は、いきなり団子やあか牛などの返礼品を選択でき、寄付は、ふるさと納税と同様に税控除の対象になる。11月23日までの約7カ月間で135人から計約355万7千円が集まったが、目標の1億円はほど遠い。

 町によると、地震直後に自衛隊から炊き出しのために「調理室を使いたい」と申し出があったが、施設が使える状態ではなく断るしかなかったという。

 また、昨年4月に熊本市から給食を運んでもらえるようになるまでの1年間、子どもたちの昼食は宅配弁当などでつなぎ、温かい昼食を学校で食べられなかった。センターの内村康成所長(51)は給食が再開した日に、クリームシチューを器に盛り、笑顔で食べる子どもたちの姿が忘れられないという。

 新センターでは、地震の教訓を踏まえ、約500食分を調理できる防災釜を設置するほか、炊き出しなどに使える非常用の調理室や、自家発電装置などの防災設備を充実させる。CFは本年度末まで受け付けており、内村所長は「少しでも支援していただけたら、町の将来にとって大変ありがたい」と寄付を呼び掛ける。

=2018/11/25付 西日本新聞朝刊=

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