「反捕鯨国に文化届ける」 下関市、クジラ給食拡充へ

下関市のクジラ給食をほおばる小学生
下関市のクジラ給食をほおばる小学生

 山口県下関市の前田晋太郎市長は18日、市内の公立小・中学校で実施している「クジラ給食」を、平成31年度に拡充する方針を明らかにした。ブラジルで10~14日に開催された国際捕鯨委員会(IWC)総会に、前田氏も政府代表団の一員として出席した。総会では、商業捕鯨再開を盛り込んだ日本提案が否決された。

 下関市は10年から、小・中学校の給食で、クジラ肉を使ってきた。竜田揚げやカレー、ケチャップ炒めなど、29年度は計10回、クジラ肉を提供した。30年度も同程度を予定し、当初予算に約330万円を計上した。

 前田氏は18日の記者会見で、来年度以降。予算を増額し、回数を増やすなど、クジラ給食の拡充を表明した。

 日本は、今回のIWC総会で、豊富な種類に限った商業捕鯨の再開と、IWCの決定手続きの要件緩和を提案したが、否決された。谷合正明農水副大臣は「あらゆるオプションを精査する」と、脱退も示唆した。

 前田氏は「資源保護の観点からかけ離れ、捕鯨そのものへの反対が強いと感じた。私たちは他国の食文化に敬意を払っているのだから、反捕鯨国にも同じことを求めたい」と述べた。

 その上で「近代捕鯨発祥地である下関から、(反捕鯨の急先鋒(せんぽう)である)オーストラリアなどに届くまで、クジラ文化を発信したい」と語った。

 市は水産庁に対し、調査捕鯨の母船である日新丸の後継船を、下関で建造することも求めている。

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