“日本一の学校給食”の理由に迫る 「全国学校給食甲子園」優勝、埼玉県越生町立越生小学校(2)

〈献立が映す越生町の自然と文化〉
その思いは優勝献立に大いに表れている。地場産物の米や野菜、越生町の梅やゆずをふんだんに取り入れた献立で、「給食を通じて、越生の自然や歴史・文化に触れ、越生のことをもっと好きになってもらいたい」という小林さんの願いが込められている。

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細かくみてみよう。

〈1〉「山吹の花ごはん」は、近隣の山吹の里歴史公園をイメージしている。黄色いごはんはターメリックともちきびで山吹の花を、緑色のえだまめは山吹の葉を表現している。

〈2〉「越生うめりんつくね」は、越生梅林の梅で作った給食室特製のかつお梅びしおを中に入れている。

〈3〉「五大尊つつじあえ」は、つつじの名所「五大尊つつじ」をイメージしたサラダ。紫キャベツをボイルし越生産のゆず果汁でマリネし、赤紫色に変化させ、つつじの花の色を表現している。なんとも色彩的で美しい。

つつじの名所「五大尊つつじ」

つつじの名所「五大尊つつじ」

〈4〉「上谷の大クス汁」は、世界最小のパスタ「クスクス」で、埼玉一の大クスを表現した野菜をふんだんに使用したスープ。ごぼう、さといも、学校で栽培しているジャンボひらたけを入れて太い木の幹を表現し、クスクスと小松菜で神秘的な大クスを表現している。

〈5〉「ゆずの里ゼリー」は、越生産のゆずの果汁のゼリーである。

小林さんは語る。「越生町の地場産物を活用した献立で評価されたのはとても嬉しい。応援してくれた子どもたち、校長先生、給食の調理員の皆さん、町の皆さんに心から感謝している」。

〈給食は生きた教材、毎日が勝負 「ロシアワールドカップ」メニューも〉
献立の1つひとつに細やかな創意工夫が施され、様々な意味が込められている。断っておくが、これらのメニューは給食甲子園のために作られたものではない。過去に実際の給食で提供されたものである。献立のアイデアはどこから来るのか。

「献立を作るのは生活になっています。越生の給食に取り入れられるものはないか、取り入れるならどうすればよいか、味を良くするには、見かけを良くするにはどうすればよいか等、いつも献立のヒントを探しています」と明かす。

具体例を求めると、時事ネタを取り入れた子どもの食育につながる献立が挙がった。6 月にはサッカーのワールドカップ給食が提供されるという。6月14日からのロシアワールドカップに合わせて、「ピロシキ」や「ボルシチ」などロシア料理を提供。さらに、グループリーグで日本と対戦するコロンビア、セネガル、ポーランドの料理も、対戦前日に提供されている。

「ロシアワールドカップ記念給食」が書かれた献立表

「ロシアワールドカップ記念給食」が書かれた献立表

献立表には、「しっかり食べて元気な声で日本代表を応援しよう」と目標が書かれている。「サッカーが好きな子どもは多い。日本が試合に勝つよう給食を全部食べてしまおう!と思ってくれる。残食がなくなるだけでなく、給食を通して料理を覚えてくれて、その国にも興味を持ってくれる」と狙いを語る。また、大河ドラマ「西郷どん」が流行しているなら、小学校6 年生が幕末を勉強する時期に、鹿児島県の郷土料理を提供し、坂本龍馬が話題になった時には高知県のメニューを出すなど教科との連携も行っている。

さらに、児童が国語の授業で「姿を変える大豆」を勉強する際には、オール大豆製品給食を提供。豆が入ったご飯に、豆が入ったハンバーグ、お豆腐が入ったお汁と、大豆の変身模様を給食で紹介して、子どもたちをビックリさせたそうだ。「給食は生きた教材。子どもがその時に1 食食べて、食べ物の勉強になったらいい。意味のある献立になるよう毎日が勝負だ」。〈続きを読む〉

〈給食雑誌 月刊メニューアイディア2018年6月号より〉