市立中学校の弁当注文「スクールランチ」の充実を目指す横須賀市では、今月13日から30日まで第3回の試行事業を行っている。昨年1月・6月の過去2回の試行では注文率の低さやアレルギー対策など課題も見られたが、今回は当日注文や公費の助成などの手法を取り入れ、来年度中の全校実施に向けた検証を行う。
中学校での給食実施ニーズの高まりを受け、これまで各校で個別に対応していた弁当注文を一括しようというのが、横須賀市の「スクールランチ(仮称・横須賀給食弁当)」実施事業。教育委員会の管理栄養士が作成した献立を元に、市内の弁当事業者が提供する形式で、3回目となる試行事業が行われている。
今回は、常葉中学校1校のみの実施で期間は30日までの14日間。過去2回のアンケートや実施結果などを踏まえ、当日注文の方式に変更し、検証する。価格は410円から350円(並盛)に値下げし、差額分を公費で助成している。試行初日(13日)のメニューはバーベキューチキンやナムルなどで、注文率は約7%だった。市教育委員会担当者は「注文方式や価格など、さまざまなケースを検証するのが今回の試行の目的」と話す。前回、指摘の多かったアレルギー表示に関しては、事業者に協力を仰ぎ、使用食材の表示を行っているという。
今後は生徒・保護者、弁当事業者、教職員に加え、市民へのアンケートも行う予定。計3回の試行結果などを検証したうえで、実施方針を確定する方向だ。
「全校実施」手探り
昨年12月に行われた市議会教育福祉常任委員会では、一部を公費助成することに関して「公平性が保たれない」「全校実施になった場合、公費負担の規模が分からない」という指摘が上がっている。「スクールランチ」は”給食”ではなく、昼食斡旋事業と言われるもの。選択制の給食で公費負担を行う自治体はあるものの、横須賀のような方式に公費を捻出するケースはないという。
また、完全給食の自治体では、1食あたり300円前後と言われることから、「割高感があり、ニーズに合っていない」という声も聞かれる。さらに、計3回の試行事業に参加した学校は計14校。試行未実施校が9校ある中で、「今後の注文の規模も分からない。全校実施は難しいのでは」という意見もある。教職員の負担を考えると、(従来の弁当注文同様に)当日注文が望ましいとされるが、これに対応できない弁当事業者もあり、手探りの状態が続く。
一方で、完全給食を望む声も広がりを見せる。昨年、市民団体が約3万筆の署名を集め、12月市議会に請願書を提出。結果的には不採択となったが、多くはその必要性を認めながらも、厳しい財政状況を理由に現状では実施困難という判断となっている。
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