教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査の結果(速報値)及び学校現場における業務改善に係る取組の徹底について(通知)

29文科初第509号
平成29年6月22日

各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長

文部科学省初等中等教育局長       
藤原  誠      
(印影印刷) 

スポーツ庁次長             
髙橋 道和      
(印影印刷) 

文化庁次長               
中岡  司      
(印影印刷) 

教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査の結果(速報値)
及び学校現場における業務改善に係る取組の徹底について(通知)

   学校現場の業務改善について,平成27年7月に策定した「学校現場における業務改善のためのガイドライン」及び「学校現場における業務の適正化について(通知)」(平成28年6月17日付け28文科初第446号)等を踏まえ,各教育委員会ではその一層の推進に向けて取り組んでいただいているところです。
   この度,標記調査結果を別添のとおり取りまとめましたので,お知らせします。
   文部科学省では,小・中学校の教員を対象に実施した教員勤務実態調査(平成28年度)の集計(速報値)によって,教員の長時間勤務について看過できない深刻な状況が改めて明らかとなったことを受けて,新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について,中央教育審議会に諮問を行ったところです。教員の業務負担の軽減が喫緊の課題となる中,平成29年1月に「学校現場における業務の適正化に向けて」を公表し,「学校現場における業務改善加速プロジェクト」を新たにスタートさせるとともに,部活動の適正化等を進めていますが,これまでの施策を推進することにとどまらず,明らかになった課題に対し具体的かつ実効性のある取組を更に進める必要があります。文部科学省としては,学校現場における業務改善が進められるよう,引き続き,積極的な支援を行うとともに,業務改善の成果と課題を把握しながら,関係者の理解の醸成や施策の改善を進めていくため,各教育委員会の取組状況について定期的にフォローアップしていきます。
   各教育委員会においては,この度の調査結果及び下記の点に留意しながら,教員の長時間勤務を見直すことで,教員が自らを研鑽できる機会を持ち,意欲と能力を最大限発揮して教員自身が誇りをもって働くことができるようになるとともに,ひいては学校教育の質の向上につながるよう,学校現場の業務改善に係る取組の徹底をお願いします。
   また,各都道府県教育委員会においては,域内の市(指定都市を除く。以下同じ。)区町村教育委員会に対して,本件について周知を図るとともに,十分な指導・助言に努めていただくようお願いします。

1.教育委員会における所管する学校に対する業務改善方針の策定等について
   「教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査の結果について(通知)」(平成28年7月27日付け28初参事第7号)等により,各学校がその実態等に応じた業務改善に組織的に取り組むことができるよう,教育委員会内に業務改善を推進するための連携体制を構築し,業務改善目標を含む業務改善方針等を策定するとともに,そのフォローアップを行うようお願いしているところです。この度の調査結果において,「所管する学校に対する業務改善方針・計画等を策定していない」と回答した教育委員会は,都道府県で7(14.9%),指定都市(以下「政令市」という。)で9(45.0%),市区町村で1,587(92.4%)となっています。いまだ取組が十分に行われていない教育委員会においては,その徹底を図るようお願いします。また,都道府県教育委員会においては,域内の市区町村教育委員会における業務改善担当部署との連携体制を構築したうえで,取組に対する支援及びフォローアップを行うようお願いします。

2.勤務時間の適正把握について
   この度の調査結果において,教職員の勤務時間管理の把握方法について,「タイムカードの導入等で管理している」と回答した教育委員会は,都道府県で6(12.8%),政令市で8(40.0%),市区町村で139(8.1%)となっています。
   勤務時間管理については,労働法制上求められる責務であり,業務改善を進めていく基礎として,服務監督権者である教育委員会が教職員の勤務時間を適切に把握することは必要不可欠です。そのためには,まず各学校の管理職及びその他の教職員がそれぞれ勤務時間について改めて意識をもって勤務するような取組を実施していただくようお願いします。
   また,勤務時間の把握に当たっては,「平成27年度公立学校教職員の人事行政状況調査結果に係る留意事項について(通知)」(平成29年3月1日付け28文科初第1567号)等により,厚生労働省において定められた「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべきガイドライン」(平成29年1月20日。以下「ガイドライン」という。)に基づき適切に対応されるようお願いしておりますが,引き続き,次の事項に留意し,勤務時間の適正な把握をお願いします。
   ア 労働時間とは,使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい,使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たること。
   イ 使用者は,労働基準法第108条及び同法施行規則第54条により,労働者ごとに,労働日数,労働時間数,休日労働時間数,時間外労働時間数,深夜労働時間数といった事項を適正に記入した賃金台帳を調製しなければならないこと。
   ウ 使用者は,労働時間を適正に把握するため,労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し,これを記録すること。
   エ 使用者が,始業・終業時刻を確認し,記録する方法としては,原則として次のいずれかの方法によること。
       ・ 使用者が自ら現認することにより確認し,適正に記録すること。
       ・ タイムカード,ICカード,パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し,適正に記録すること。
   なお,上記の方法によることなく,自己申告制によりこれを行わざるを得ない場合,使用者は,ガイドラインに基づき適切な措置を講ずること。
   オ 労働時間の記録に関する書類について,労働基準法第109条に基づき,3年間保存しなければならないこと。
   カ 事業所において労務管理を行う部署の責任者は,当該事業所内における労働時間の適正な把握等労働時間管理の適正化に関する事項を管理し,労働時間管理上の問題点の把握及びその解消に努めること。

3.労働安全衛生管理体制の整備について
   産業医・衛生管理者等の選任,衛生委員会の設置,長時間労働者に対する面接指導やストレスチェックの実施等の労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)の規定は,公立学校にも適用されます。このため,各学校におけるこうした法に基づく労働安全衛生管理体制の未整備は,法令違反であり,これまで「公立学校等における労働安全管理体制の整備に関する調査について(結果)」(平成27年1月26日付け26ス学健第66号)等により,速やかに整備するようお願いしているところですが,引き続き,各学校における労働安全衛生管理体制の整備に万全を期していただくようお願いします。

4.部活動の適切な運営等について
   この度の調査結果において,運動部活動について「休養日等の基準を設定している」と回答した教育委員会は,都道府県で41(87.2%),政令市で14(70.0%),市区町村で737(42.9%)となっています。部活動の適切な練習時間や休養日の設定については,「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)」(平成29年3月14日付け28ス庁第704号)等により,お願いしているところですが,引き続き,適切な対応に努めていただくようお願いします。
文部科学省としても,部活動の運営の適正化に向け,平成29年度において,スポーツ医・科学の観点や学校生活等への影響を考慮した練習時間や休養日の設定を含む「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を作成することとしています。
   また,本年4月に制度化した部活動指導員については,上記通知により,その職務の留意事項等を十分に了知のうえ,適切な対応をお願いしているところですが,部活動指導員による引率等については,スポーツ庁から公益財団法人日本中学校体育連盟会長,公益財団法人全国高等学校体育連盟会長及び公益財団法人日本高等学校野球連盟会長に対し,主催大会の関係規定の改正を行う等の対応を要請するとともに,関係する各都道府県連盟等に対しても,同様の協力が得られるよう,十分な周知を依頼しています。
   ついては,各教育委員会においても,関係する各都道府県連盟等と協議を進めていただくようお願いします。


【別添資料】
   ○ 教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査結果(速報値)の概要
   ○ 教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査結果(速報値)
   ○ 教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査結果(速報値)
(都道府県別データ)
   ※都道府県別データは,各都道府県教育委員会に該当分を送付します。

≪通知全体について≫             
初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付
企画・学校評価係
TEL:03-5253-4111(代表)内線3705

≪1.教育委員会における所管する学校に対する 
業務改善方針の策定等について≫        
初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付
運営支援推進係 北島,仲宗根
TEL:03-5253-4111(代表)内線3704

≪2.勤務時間の適正把握について≫      
初等中等教育局初等中等教育企画課     
公務員係 鞠子,上田,齊藤,重田
TEL:03-5253-4111(代表)内線4675

≪3.労働安全衛生管理体制の整備について≫  
初等中等教育局健康教育・食育課      
企画調整係 藤田,久保
TEL:03-5253-4111(代表)内線4950

≪4.部活動の適切な運営等について≫     
スポーツ庁政策課学校体育室        
運動部活動推進係 伊藤,比嘉
TEL:03-5253-4111(代表)内線3777
文化庁文化部芸術文化課文化活動振興室   
国民文化祭担当 山口,藤本,河野
TEL:03-5253-4111(代表)内線2832

お問合せ先

初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付)