英総選挙

メイ首相の最側近2人が辞任 不評のマニフェスト作成で引責 官邸の密室化に批判も

 【ロンドン=岡部伸】英下院選挙で保守党が過半数割れとなったことを受け、メイ首相の最側近とされてきたニック・ティモシー、フィオーナ・ヒル両首相補佐官が10日、辞任を表明した。2人は保守党の支持率急落の原因となった選挙公約(マニフェスト)作成に関与しており、「戦犯」として責任を問われた格好だ。党内からは2人を解任しなければ、メイ氏の退任を求めるとの強硬意見も上がり、求心力が低下したメイ氏には痛手となった。

 保守党内には、高齢者の在宅介護の自己負担を増額し、学校給食への補助制度を廃止するなどとしたマニフェストが「大敗の原因になった」(ナイジェル・エバンス議員)との見方が広がっている。公約作成に深く関わったティモシー氏は声明で、選挙結果は「大きな失望」だと述べ、選挙戦の失敗を認めた。一方、ヒル氏は自身の業績には言及せず、メイ氏を「優れた首相」と称賛した。

 ティモシー氏らはメイ氏の内相時代から仕え、昨年7月の首相就任以降も重用された。英メディアによると、メイ氏は他の閣僚よりも2人を信頼していたとされ、夫のフィリップ氏を含む4人が官邸のインナー・サークル(密室)を形成して情報が閣僚らに伝わっていないとの批判も出ていた。

 政権内部では、政策決定に大きな影響を与えていたティモシー氏ら2人には威圧的な態度が目立ち、誰も意見出来ない状況だったと指摘する声もある。

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