河村市政継続か、刷新か 名古屋市長選23日投開票
挑む岩城氏と太田氏 3候補が最後の訴え
名古屋市長選は22日、2週間の舌戦の最終日を迎えた。市政継続か、刷新かを争点に現職の河村たかし氏(68)と前副市長の岩城正光氏(62)の事実上の一騎打ちとなった今回。「あと一歩です」。土曜の人波を求め、両氏はターミナル駅や繁華街を巡って声をからした。230万都市の行く末を誰に委ねるのか。市民の審判は23日に下る。
夕方の大須(中区)の商店街。河村氏は「(岩城氏は)減税をやめ福祉にあてると言うが、ありえない。代わりに公務員の給料が上がるに決まっている」と市民税5%減税の継続を主張した。
午前10時からの金山駅を皮切りに、8カ所で街頭に立った。最後はこの日4回目の栄。百貨店「丸栄」前で「世界のシンボルをこの時代に造ろう」と名古屋城天守閣の木造復元を訴えかけた。
中区の男性会社員(64)は「コンクリート造りでは味気ない。早く木造に」と期待。岩城氏の演説も聞いたという南区の自営業の女性(28)は「市民目線で考え、名古屋経済を盛り上げる人に投票する」と話す。
「今こそ皆さんの力で名古屋を変えていきましょう」。顔を日焼けさせた岩城氏は午前9時から名古屋駅など繁華街中心に10カ所以上で街頭演説。自民、民進の国会議員も応援に駆け付けた。
守山区の小学校教諭の男性(37)は「子供たちの食を守るのはとても大事」と、岩城氏が掲げた小学校給食の無償化を支持する。今夏に第1子が産まれるという西区の県職員の女性(35)は「誰に投票するか決めていない。待機児童が生じないようにしてくれる人を選びたい」。
演説で「『1000年もつ天守閣』より今の市民の生活を守る」と強調した岩城氏。商店街を練り歩いては通行人らと握手を交わした。最後の演説はこちらも丸栄前。「最後の1秒まで気を抜かず、勝ちどきをあげよう」と気勢を上げた。
9日の名古屋市長選告示後、河村氏が行った街頭演説は陣営によると約80回。対する岩城氏は約100回にのぼった。
河村氏は毎日欠かさず、名古屋城を演説の場に選んだ。正門前や近くの地下鉄駅前に立ち、天守閣の木造復元を訴えた。市外からの観光客が多そうな地だが、陣営幹部は「木造復元に力を入れていることをPRしたかった」と語る。
岩城氏は「知名度の低さをカバーする」(陣営関係者)ため、平均で1日7回街宣。市内16区をまんべんなく回った。自民や民進など各会派の市議は自身の選挙区では岩城氏の街宣車に同乗し、後援会などを通じて集会でも支援者集めに協力した。
河村氏は定番の「自転車街宣」を5回ほど行い、親しみやすさをアピールした。岩城氏は「いわきダンス」を事務所開きと告示日に披露。19日の集会で求められた際は「当選したら踊る」と話した。
河村氏の陣営は「市民の反応はいい。投票率が伸びれば」と期待する。岩城氏の陣営は「後半は演説で若者から高齢者まで振り向いてもらえた」と手応えを感じていた。
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名古屋市選挙管理委員会は22日、市長選の投票日当日の有権者が183万5747人になると発表した。選挙権年齢が18歳以上になった影響などで、2013年の前回市長選より約6万4000人多い。