数字から見える千葉

栄養教諭数、全国7位 「質・量確保」が食育推進のカギ

 □ちばぎん総研調査部研究員・大塚裕美

 本県の「平成27年度学校給食実施状況等調査」によると、朝食を食べない県民の割合(「1週間に4、5日食べないことがある」と「ほとんど食べない」の合計)は、小学5年生が2・0%、中学2年生が4・5%となっている。背景には、メディア接触による生活環境の夜型化のほか、核家族化や共働き世帯の増加などによる社会環境の変化が考えられる。

 朝食をとらない食生活の習慣化は、大人になって健康面に影響を及ぼす可能性もあることから、子供のうちから、朝食を含めて望ましい食習慣を身につける「食育」の重要性が高まっている。

 食育を推進する上で、学校給食や食育教育が果たす役割は大きい。給食の献立を作成する学校栄養職員の配置数では、本県は全国2位とトップレベルを誇る。「千産千消デー」として地場産物を活用したメニューも提供されている。

 その一方、食に関する教育を行う栄養教諭数は全国7位と、人口順位(6位)を下回りやや見劣りする。

 栄養教諭は平成17年に導入され、栄養士と教員免許の両方の資格を持つ。給食の献立作成や児童生徒の栄養指導など、食育の推進について中心的な役割が期待されている。この栄養教諭が学校栄養職員に占める割合が3割弱と、栄養教諭制度の普及が遅れているのが原因だ。

 昨年12月に策定された「第3次千葉県食育推進計画」(29〜33年度)では、基本目標「『ちばの恵み』を取り入れたバランスのよい食生活の実践による生涯健康で心豊かな人づくり」が、第2次計画から継承された。

 前回計画との違いは、「世代別の視点」が盛り込まれた点で、小・中学生世代を例に取ると、「栄養教諭等を中心とした食育の推進」や「早寝・早起き・朝ごはんを合言葉にした規則正しい生活習慣づくり」によって、朝食をとらない児童・生徒の割合を33年に0%とする目標を掲げたのが特徴だ。目標達成のためにも栄養教諭の量と質を確保する取り組みが欠かせない。

 もちろん、食育の推進には家庭における食生活の意識づけも重要だ。わが家でも、子供たちと地元の食材を使った郷土料理や行事食を楽しむとともに、一日のスタートである朝食の大切さを伝えていきたい。(寄稿、随時掲載)

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