給食トピックス

桑名市立長島中学校の、集会食育授業「和食のよさを知ろう」を取材しました!

P7040421学校名

 三重県の桑名市立長島中学校にて、集会食育授業を取材させていただきました。

 指導者は、長島中部小学校 栄養教諭 奥岡智子先生です。兼務校の長島中学校にて食育授業を取材させていただくことが出来ました。この様な貴重な機会を設けていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。

さて、どの様な食育授業なのか、とても楽しみです!


【 食に関する指導案 】
対 象 : 長島中学校 2年生(集会授業)
題材名 :『和食のよさを知ろう』

ねらい :
 ・和食の特徴について理解する。  
 ・和食を未来に伝えるために、どのようなことができるか考える。

本時の展開:
 1.和食にはどのような特徴があるのか知る。
 2.和食検定をする。
 3.私が伝えたい和食文化を考える。
 4.今回の授業を振り返る。

評価:
 ・和食について理解できたか。
 ・自分自身が、今後伝えていきたい和食文化を考えることができたか。


ユネスコ登録

 授業の導入では、2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを紹介し、和食の特徴(良さ)についてパワーポイントを用いて説明されていました。ここで重要な点は、登録されたのが和食のメニュー(単品)ではなく、「和食をめぐる文化」として登録されたということです。失いかけている日本人の伝統的な食文化に着目することで、改めて和食のよさを考える機会となっていました。


プリント表 

 「和食の特徴(良さ)とは何でしょう?」と問いかけ、だしを上手く活用していること、一汁三菜が揃った優れた栄養バランスの食事であること、おもてなしの心をもち合わせた美しさ・季節の表現などについての説明がありました。「しかし、なぜ文化遺産に登録されたのでしょうか?」と更に理由について追求し、日本の食糧需給率の低下や食の欧米化など、日本人の食生活をとりまく現状について分かりやすく教えて下さっています。

 そこで、『和食検定』が行われました! 生徒の皆さんは、和食についてどれくらい知っているのでしょうか??


ワークシート

 皆さん、真剣な表情で問題を解きます。5分後に採点して得点が分かります。答え合わせが楽しみですね!


うまみ いよいよ、 『和食検定』の答え合わせが始まりました。

【第1問】「日本でよく食べられている料理で、外国にルーツがあるものは?」の答えは、天ぷら(ポルトガル)、すし(東南アジア)、ラーメン(中国)です。和食の代表格である「すし」が外国から伝わった料理だということが意外だった様子でした。
【第2問】「日本人によって発見された第5の味覚は?」の答えは、「うま味(「UMAMI」)」です。こちらは正解だった生徒も多い様子です。

そこで「第5の味覚」を体験してみよう!と、各クラスの代表として室長2名が、3種類の「だし」を味わいます。


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 「だし」のみを味わう機会は少ないため、皆さん興味津々でした。3種類のだしを順番に味わいながら、慎重に飲み比べていました。ゆっくりと味わってみることで、香りや味の違いがはっきりと分かった様子です。


だし試飲している3種類の「だし」です。
左から順番に、①・②・③番となっています。


P7040379 学年主任の先生の御協力で、 クラス代表者のみではなく全員がだしを試飲することが出来ました。全員で体験でき、とても充実した授業ですね!こちらは、コップの底に何からとっただしであるか、答えが書いているそうです。味わった後で答えを確認し、いろいろな反応がありました。


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 それでは、代表者が試飲した「だし」の中で、一番美味しいと感じた番号の時に手をあげてもらいます。どのだしが人気だったのでしょうか。 
 結果は、③番が一番美味しいと感じた生徒がほとんどでした!では、それぞれ何からとっただしだったのでしょうか?

 答えは、①こんぶ、②かつお節、③こんぶ+かつお節でした!こんぶとかつお節の相乗効果によりうま味が感じられるため、③番が一番美味しく感じるようです。奥岡先生より、「長島中学校2年生の舌は肥えているね~!」との評価をいただいていましたよ。


 私も後ほど試飲させていただきました。それぞれ、とても美味しくだしがとられていました。流石、食のプロが調理しただしですね!素材の香り、味が引き立ち、それぞれの良さがあります。こんぶの磯の香りも食欲をそそりますが、やはり③の合わせだしが美味しいと感じます。人それぞれの好みはありますが、和食の基本である「だし」にじっくり着目してみると、とても楽しいですね。


行事食

 引き続き、和食検定の答え合わせが続きます。発酵食品や食べ物の旬、行事食などについてもしっかり学びました。

 和食検定の得点を採点したところ、95点以上の高得点だった生徒が数名いました!!先生から、「85点以上の人は、和食マイスターに認定だね!」と嬉しいお墨付きをいただいていました。


プリント裏

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 本時の学習を振り返ながら、和食の素晴らしさについての動画を鑑賞する時間もありました。

 「日本の食文化が消えつつある今、この素晴らしい和食を守り、未来に伝えていかなければなりません。誰がその役割を担うべきでしょうか?」との先生からの問いかけに、皆さん真剣な表情で考えています。「食のプロとして働く栄養教諭がその役割を担う一部であるのはもちろんですが、将来を担う小・中学生が、その役割を担うべきであるという考え方もあります。「いただきます」「ごちそうさま」などの日本独特の人と人を繋ぐ挨拶も、日本の心ですね。」と、先生からの声かけが続きました。

 そこで、未来に和食を伝えていくために、自分ができることについて考える時間が設けられました。
 ワークシートにそれぞれの考えを記入しています。みなさんは、どの様なことを提案してくれるのでしょうか?奥岡先生も机間指導にまわります。


P7040416

 皆さんの考えを、いくつか紹介してくださいました。「洋食ばかり食べず、毎日和食を食べるように心がける」、「自分で和食を作る」、「家族で和食について話し合ってみる」などと、素晴らしい意見がたくさん出ていました。先生からも、「将来、皆さんにも家族が出来たら、子どもへ和食を作ってあげることで伝えていけることもあるね。」と助言がありました。

 皆さん一人ひとりが和食を伝えていくことで、しっかりと未来へ伝わっていきますね。和食マイスターも含む、和食をしっかりと勉強した皆さんから更に次世代に引き継がれていくと思うと、とても嬉しいです!


P7040418  今回の授業は、桑名市内の栄養教諭が各グループに分かれて行う、グループワークの一環だそうです。長島中部小学校 栄養教諭 奥岡先生、多度中学校 栄養教諭 高須直子先生、城南小学校 栄養教諭 渡辺朋佳先生の3名のグループワークにて指導案を作成し、各所属校で授業を行っているそうです。本日はその実践授業でした。今後、各グループの研究内容を、桑名市の教職員が行う教育研究大会(桑名教研)にて発表するそうです。先生方の教育熱心な姿を拝見することができました。


 栄養教諭 奥岡先生に、お話をうかがいました。 給食センター勤務のため日々の給食指導は行えていないようですが、本務校・兼務校の学年に応じて内容を変えて食教育の授業を行ったり、食育だよりを発行したりされているそうです。


奥岡先生 食教育を行う際に、特に意識すること、工夫されていることについて、「食べることは、生きるために誰もが行う行動です。ですから、私たちが行う食教育は、みんなが構えることなく参加できる授業だと思っています。『分からないから嫌だ!』とならないよう、クラスのみんなが『食教育楽しい!』『また、食教育したいな!』とワクワクするような授業展開を考えています。」と話して下さいました。

 理想の食教育について、お考えをうかがいました。「理想を言えば、授業後に理解したことを行動変容に移せることです。授業で『分かった!』『そうなんだ!』までは進めることが出来てはいるのですが、行動変容に至るまでには時間がかかります。桑名市が食教育を始めて11年。徐々に生活に取り入れていくようにはなってきてはいますが、まだまだ児童・生徒の食生活や生活リズムが整ったり、また生活習慣病患者数が減ってきてはいません。今後も、栄養教諭の頑張りが必要と考えています。」

 これまで行った食教育の中で、特に印象に残っている事柄を教えていただきました。「昨年と今年の7月に、小学校5年生を対象に『清涼飲料水について』の授業を行います。私が作った清涼飲料水の飲み比べや、日頃飲んでいるジュースにどのくらいの砂糖が含まれているのか、1日に摂取してよい砂糖の量等を知らせます。昨年は、『ドリンク日記』という夏休みの宿題を出し、夏休みにジュースの飲みすぎにならないよう、自分で気を付けることができたかを確認しました。授業後の児童の行動を知ることができ、今後の授業展開の参考にもなりました。」

 給食管理と食教育に大変お忙しい中、沢山の工夫と愛情をもって児童、生徒のために邁進されている姿が印象的でした。


 桑名市立長島中学校 大角宏二校長をはじめ、桑名市立長島中学校の皆様、栄養教諭 奥岡先生、お忙しい中取材にご協力いただき、ありがとうございました!

コメント

  1. 吉田真理子 さん

    中2道徳の授業にも日本食の良さについての題材があります。手間暇が十二分に掛けられていることをどのように伝えることができるかが本当に難しく、価値ある事だと考えています。
    安くて栄養がある物はたくさんあります。日本食だけでなくたくさんの働く人たちが携わって、自分の命があることも、伝えたい。

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